野鳥の撮影に凝り始めて4年目の父と、母、娘の3人旅です。
自然や田舎が好きな父が、イタリア側から見るアルプスに行ってみたいということで、夏のドロミテへ。
期間:2018年8月8日~2018年8月15日
中野 様
GON-001394
野鳥の撮影に凝り始めて4年目の父と、母、娘の3人旅です。
自然や田舎が好きな父が、イタリア側から見るアルプスに行ってみたいということで、夏のドロミテへ。
ミラノ中央駅から8:45の電車に乗ってヴェローナへ向かいます。
駅は100年近く前の建造物のようで、場所によっては70mを超えるという高い天井や壁などのレリーフが美しく、本当に重厚感がありました。建築好きな人なら、駅だけ見学に来るのでも楽しめそうです。
1時間ほど電車に揺られて、ヴェローナ・ポルタ・ヌオーヴァ駅へ。車内の掲示板にも駅名が出るので、慣れない旅行客にはありがたいですね。
電車を降りたら、ドライバーさんの車でアルペ・ディ・シウジへ。
ヴェローナの駅から3時間ほどかかりそうでしたので、山へ着いたら少しつまめるように、駅のパン屋さんで少しフルーツやピッツァを買って車へ乗り込みました。なんでもない駅のパン屋さんなのに、どれもとってもおいしそう。さすがイタリアで、カルツォーネのようなパンやピッツァなど、見るだけでワクワクしそうなおいしそうなパンがとてもたくさんありました。
移動中の車の中は、ぐうぐう、、と眠ってしまいましたが、目を覚ます度に美しい景色。延々と続く明るい緑の平原、小高い丘、濃い緑の山、山。白い壁のかわいらしい家の並ぶ集落。まるで絵本の中にいるような風景です。
ケーブルカーと並んで山道を登って行き、ようやくアルペ・ディ・シウジに到着。
周りは遮ることなく高原が広がり、そこかしこからウシの付けたベルのカラン、カランという音がのどかに響いて、空は青く澄んでいて、何という景色!!本当に「ここは天国だ!」と思えます。
ホテルの部屋に空調のボタンなどがないので電源を切っておこうと思い聞いてみると、部屋にはクーラーがないとの事。窓を開けると爽やかな風が入ってくるので、気持ちがよいのだそう。ホテルでも設備を過度に整えるのではなく、天然の涼しい風を部屋に取り込むのが当たり前という習慣が良いですね。
ホテルのテラスでごろごろしているだけでも夢心地ですが、せっかくなので高原のお散歩へ出かけました。観光地と言っても、来る人達は山を楽しみに来ている方達ばかりで、みなさん服が山仕様。自転車で高原を回るのが人気のようで、歩くよりも半分以上の人は自転車のように見えました。
持ってきたバイク(自転車)の人もいれば、レンタルの人もたくさん。冬の間スキー教室やスキー用具を扱うお店は、夏の間はバイクを貸し出してくれるようです。私たちは歩いて高原を回りましたが、見渡す限りの高原なので、自転車に乗ってスイスイ(なんとレンタルでも電動自転車)移動するのも気持ち良さそうです。
ゆるやかな登りや下りのコースがたくさんあり、父はカメラを2台、小型ビデオを1台持って歩いていましたが、平気のようでした。高原の中のコースの案内には、トレイルランの写真も載っていたので、歩く、走る、自転車、冬はスキーと思う存分山遊びができる場所なんですね。
日が長いので夕方6時でもとても明るく、午後からの散歩でも十分満足できるほど。夜ごはんはホテルのレストランで。そしてここでもさすがイタリアで、(本当にここは山のホテル?)と思うほど見た目も味もとってもおいしかったです。パーパスの西澤さんから、「ドロミテは景色はスイス、食事はイタリア」と聞いていたのですが、この後の旅程でも何度この言葉を噛みしめました。
一日アルペ・ディ・シウジ散策。
朝起きて窓を開けると、山の冷気がすーっと部屋に入ってきて、空気がしゃきっとします。まだ外には歩いている人などはいないので、昼間より一層静かな風景。牛はすでに高原に放たれていて、カラン、カランとベルの音をさせながら草を食んでいます。
父は前日、なかなか鳥が思うように撮れなかったようで、リベンジをしようと意欲満々です。冬はスキーができるからか、至るところにリフトがあり、リフトに乗ってホテルより北側のルートへ行ってみました。同じ平原なのですが、景色は前日と少し異なり、山の丘陵は少し穏やかで牧草地が遠くまで広がっています。牛も全身茶色い種類もいれば、白と薄い茶色のブチもいたり。馬もいたり。かわいらしい草花も咲き、今歩いているのに、現実とは思えないほど美しい景色です。
お昼はカフェテリアでご飯。
ヨーロッパの人は日光浴が好きなイメージがありますが、山のカフェテリアでも、食事のテーブルの外側には小さな椅子が並べてあり日光浴ができるようになってました。そしてもちろん、そこで寝て日差しを浴びる人たち。
食事を取った後、父は鳥撮影の続きへ、母と私は長距離移動できるゴンドラで少し山を下ってみることにしました。ゴンドラは片道15分ほど。山道をずーっと縫っていくので、高原を歩くのとはまた違った景色が楽しめます。
ゴンドラから真下を見下ろすと、山歩きのできるルートになっていて、バックパックを背負って歩く人もちらほらと見かけました。山の間に見える家々や小さなホテルの窓にはかわいらしい植え込みが飾られていて、楽しい空中散歩ができました。
◆ アルぺ・ディ・シウジで見かけた「タイリクハクセキレイ」(スズメ目 セキレイ科)
シウジ高原の花畑で何組かを見かけた。
日本のハクセキレイは本種の亜種で過眼線が入るとのことです。
◆ アルぺ・ディ・シウジで見かけた「カササギ」(スズメ目 カラス科)
シウジ高原のところどころに林があり、その一角にカササギのねぐらがあるようです。多くのカササギが出たり入ったりしていました。尾の短いものは幼鳥だそうです。飛翔したときの羽の白と青のコントラストがすごくきれいです。カチガラス又はコウライガラスとも呼ばれ佐賀県の県の鳥に指定されているそうです。北海道の苫小牧で見たことがあり、ここで再び会えて嬉しかったです。
◆ アルペ・ディ・シウジで宿泊した近くのホテルの軒先で見かけた「ニシイワツバメ」(ツバメ目 ツバメ科)
日本で見るイワツバメに似ているが、少し小さくてずんぐりしている。色合いはイワツバメに似て黒っぽい。日本のツバメのように光沢のある紺色は見られない。ツバメに比べ尾が短い。ツバメはヨーロッパに分布があるが、イワツバメはヨーロッパに分布がない。子育ての様子はやはりかわいい。
◆ アルペ・ディ・シウジの宿泊したホテル裏の坂道で見かけた「ホシガラス」(スズメ目 カラス科)
早朝、散歩をしようとホテルの裏の道を登ってゆくとホシガラスが忙しく木の枝を渡っていました。どうやら松ぼっくりがお目当てのようです。乗鞍岳でホシガラスがハイマツの松ぼっくりを集めめているのを見たことがありますが、それよりもっと大きな松ぼっくりです。
犬と散歩しているおばさんが落ちている松ぼっくりを集めていました。どうするのかな?
◆ アルペ・ディ・シウジで見かけた「コノドジロムシクイ」(スズメ目 ズグロムシクイ科)
スズメよりも小さく、ノドから腹にかけて白さが目立ちました。ヨーロッパで広く分布しています。まれに日本で迷鳥として見かけることがあるそうです。
◆ アルペ・ディ・シウジで見かけた「シロビタイジョウビタキ」♀(スズメ目 ヒタキ科)
日本で見るジョウビタキ♀ににているが、翼に白斑がありません。日本のジョウビタキはヨーロッパに分布していないようです。
◆ アルペ・ディ・シウジの宿泊したホテル裏の坂道で見かけた「アカゲラ」(キツツキ目 キツツキ科)
ホシガラスを見かけて宿に帰る途中アカゲラを見ました。日本ではおなじみの野鳥なので嬉しくなりました。
◆ アルペ・ディ・シウジの宿泊したホテル裏の坂道で見かけた「ヨーロッパビンズイ」(スズメ目 セキレイ科)
ホシガラスがいた松ぼっくりの木にヨーロッパビンズイもやってきました。日本のビンズイに似ていますが少し小さいようです。また日本のビンズイと比べると眉斑がはっきりしていないようです。
◆ アルペ・ディ・シウジで見かけた「ズアオアトリ」(スズメ目 アトリ科)
クロアチアのプリトビッチェでもよく見かけました。ヨーロッパではかなり一般的な野鳥のようです。♂は日本のアトリに似ていますが頭が灰色 (アオとは思えない) のところが異なります。
◆ アルペ・ディ・シウジで見かけた「イエスズメ」♀(スズメ目 スズメ科)
エーデルワイスが植えられた花壇にやってきました
。右の鳥は嘴から見て♀の幼鳥と思います。ドロミテでは♂を見かけることが出来ませんでした。
◆ アルペ・ディ・シウジで見かけた「チフチャフ」(スズメ目 ムシクイ科)
シウジ高原は広い草原の中に林が点在しており、林の木立にいろいろな野鳥がやってきました。チフチャフはユーラシア大陸の北側に広く分布しており、日本でもまれに迷鳥として見かけるとのことです。日本のメボソムシクイ、センダイムシクイと似ていますが、これらはヨーロッパには分布していないようです。ヨーロッパに分布するキタヤナギムシクイとかなり似ていますが体形に丸みがあることからチフチャフと思います。
朝アルペ・ディ・シウジを出発し、ドロミテ街道を通ってポルドイ峠、ファルツァレーゴ峠と経由しコルティナ・ダンペッツォへ向かいます。
朝ドライバーさんに迎えに来て貰い、出発。
ドロミテ街道の山々も、とにかく本当に美しい。途中でドライバーさんが車を停めて、山肌を指さして何か言ってくれるので見てみると、なんと断崖絶壁に見える山肌に人がいます。ロッククライマーの人たちでした。
一つ目の目的地、ポルドイ峠へ到着。
ここでケーブルカーに乗って展望台へ行けます。ケーブルカー乗り場ですでに標高2239mとのこと。ここから見上げると展望台は雲の上。すごい急勾配の斜面をケーブルカーで登り展望台へ。今までの緑の山の景色とはうって変わって、360度岩だらけ。雲も早く動き、見える山々の光の当たり方も刻々と変わります。
また車に戻り、お昼過ぎにコルティナ・ダンペッツォへ到着。
小さな町になっていて、道沿いのホテルの窓にはみんなかわいらしい植え込みがしてあります。
父はお昼寝タイム、母と私はお部屋のテラスから、山と街並みを眺めながらワインとチョコをつまんで充電。
夕方、ホテルから川沿いに歩いて少しお散歩し、夜は少し早めに町のピッツェリアへ。本当にシンプルにピッツァばかりのメニューで、マルゲリータとお勧めのスパイシーなピッツァを食べたのですが、とてもおいしかったです。
◆ ボルドイ峠で見かけた「キバシガラス」と「ベニハシガラス」(スズメ目 カラス科)
標高2,239mのボルドイ峠からロープウエイに乗って標高2,950mのサッス・ボルドイに着いたところに多くのキバシガラスがいました。その中に嘴が赤いベニバシガラスが2,3羽混じっていました。人を恐れる様子がありません。食べ物を貰ったりして慣れているのかな。
この日は、路線バスでトレ・チーメ・ディ・ラヴァレードへ。
チケット売り場へ着いたのが、バス出発5分前でしたが、チケット売り場にはまだ並ぶ人たちが。両親にバス乗り場に先に向かってもらい、チケット売り場の窓口の人にも「走って走って」と言われて急いでバスに乗り込みました。ちょうど日曜日ということもあってか、山登りの恰好をした人たちでバスはほぼ満席。人気の路線なんですね。
1時間ほどバスに乗って、トレ・チーメへ到着。
出発地点で標高が2,300mほどとの事で、コルティナ・ダンベッツォの町よりぐっと冷えて感じます。歩き始めてすぐにトレ・チーメの3つの岩が見え始めました。途中まで道はほぼ平坦。ラヴァレード小屋から、さらに岩に近づく登りのトレイルではなく、メインから外れた南側のトレイルであっちへ行ったりこっちへ行ったり、山の景色を楽しみました。
帰りのバスの前に、出発地点にあるアウロンツォ小屋でコーヒータイム。ここでもさすがイタリアで、山小屋なのにちゃんとエスプレッソマシーンでコーヒーを入れてくれます。少し疲れた体に、甘いパンとおいしいコーヒーが体に沁みました。
◆ トレ・チーメで見た「ハシグロヒタキ」♂(スズメ目 ヒタキ科)
ユーラシア大陸からアラスカまでかなり広い範囲に分布しているようです。♂は容姿にかなり特徴のあるようですが残念ながら♀しか見られませんでした。日本にもまれに迷鳥として観察されることがあるそうです。
山歩きのできる最終日。
コルティナ・ダンベッツォの町のバスターミナルそばに、ケーブルカーを見つけ、そこからファローリナ山へ登ってみることに。距離が長いからか、1度中腹で乗り換えがあり、15分ほどかけて到着地点へ。ここから、山々に囲まれたコルティナ・ダンベッツォの町がある盆地が一望できました。
◆ コルチナ・ダンペッツオの散歩道で見かけた「ニシコクマルガラス」(スズメ目 カラス科)
コルチナ・ダンペッツオの散歩道は景色もよく野鳥もたくさん見かけました。このカラスは散歩道沿いの民家の屋根にとまっていました。「魔女の宅急便」というアニメで主人公キキが森のカラスのショルダーバッグを持っている場面がでてくるそうですが、その森のカラスが首の周りが白いニシコクマルガラスだそうです。ヨーロッパではよく見かけるとのことです。
◆ コルチナ・ダンペッツオの散歩道で見かけた「ゴシキヒワ」(スズメ目 アトリ科)
左は成鳥、右は幼鳥のようです。クロアチアのプリトビッチェでも見ましたがきれいな鳥です。コルチナ・ダンペッツオの散歩道は廃線鉄道を散歩道にしたもので、静かで野鳥もたくさんいてとても素敵はところです。トレ・チーメに行くバス駅にもつながっています。ゴシキヒワのいた近くに水のみ場があり市民の休息所になっていました。
◆ コルチナ・ダンペッツオの散歩道で見かけた「ノハラツグミ」(スズメ目 ツグミ科)
クロアチアのプリトビッチェで見たウタツグミとよく似ていますが、頭部が灰色で、少し大きいように思います。日本のツグミと同じくらいと思います。
◆ コルチナ・ダンペッツオの散歩道で見かけた「ズグロムシクイ」♂と♀(スズメ目 ズグロムシクイ科)
見かけたとき一瞬「コガラ」かなと思いましたが、よく見るとノドに黒いエプロンがないので「ズグロムシクイ」のようです。♂は黒色 ♀は茶色です。
名残惜しいですが、最後にこの絶景を目に焼き付けて、ホテルに戻り、ドライバーさんと合流。
これでベネチアへ入り、帰路へ。
◆ ドロミテで見かけた「クロウタドリ」(スズメ目 ツグミ科)
♂はかなり黒色で嘴と目の周りのオレンジ色がよく目立ちます。♀は茶褐色で嘴と目の周りはあまり目立ちません。ヨーロッパではよく見かける鳥でスエーデンの国鳥とのことです。
◆ ドロミテで見かけた「クロジョウビタキ」(スズメ目 ヒタキ科)
クロジョウビタキは全部で7亜種に分類されるとのことで少しずつ違いがあるようです。
親子3人大満足の旅でした。
山といっても、ケーブルカーで行ける範囲でも景色を楽しめましたし、緩やかな道が多く、体調に無理をしないでいられたのも良い旅になったと思います。
また行ってみたいと思う、本当に素晴らしい旅行でした。
ほ~んと、お天気にも恵まれ、まさしくヨーロピアン的なバカンスをお楽しみいただけたようですね。
そう、アルプデシウジは、がつがつトレッキングをするというより、のんびりお過ごしいただく夢の世界みたいなところ、私はそう思いますので、そのような過ごし方をしていただけたのがとても嬉しいです。ありがとうございました。