ドイツ・ロケットの歴史をたどる旅

期間:2009年3月13日〜2009年3月22日
M.S様

GON-000263

ペーネミュンデ

あまり知られていませんが、ロケットの発祥の地はドイツです。

種子島で打ち上げを見て以来ロケットにはまり、ロケット関連の施設を訪ね歩くのが趣味となった私にとってドイツは長い間憧れの地でした。 この度ようやく旅行できる機会に恵まれたので、思い切ってロケット関連施設を訪ねる旅を計画しました。

今回の旅の一番の目的地はペーネミュンデです。ペーネミュンデには第二次世界大戦前にヴェルナー・フォン・ブラウンがロケットを開発・製造していた秘密工場がありました。現在は博物館になっていて誰でも見学することができます。

ペーネミュンデはドイツの北にあるウゼドム島の最北端に位置し、ベルリンからは片道四時間かかります。日帰りでは少々厳しいので、途中にあるヴォルガストという小さな町に宿泊することになりました。夏のリゾート地なのでシーズンオフの今は人も少なく閑散とした雰囲気でした。しかし、街はパステルカラーでかわいらしく、ホテルも三部屋も続き部屋のある広い間取りでとても素敵です。レストランでいただいた魚料理も抜群においしくて大満足。幸先のよい旅のスタートとなりました。

翌日、いよいよペーネミュンデの歴史技術インフォメーションセンターに向かいました。ペーネミュンデの敷地は広大ですが、終戦間際に爆撃を受けたため建物はほとんど残っていません。唯一残っていた工場は終戦後火力発電所として利用されていましたが、現在は稼動停止。残念ながら中に入ることはできませんでした。かつて研究者の防空壕となっていた頑強な建物がインフォメーションセンターと売店に、工場に隣接する学校のような建物(研究施設?)が現在博物館となっていて、中ではペーネミュンデとロケット開発の歴史が年代順に展示してありました。

当時の写真や資料、またロケットの部品などが豊富に展示してありましたが、技術開発の歴史だけにとどまらず、戦争の悲惨さや宇宙開発の今後の展望などにもしっかりスポットがあててあり、想像以上に見ごたえのある展示でした。 屋外には飛行機やミサイルの展示などもありましたが、やはり一番の見所はV2ロケットでしょう。入り口のすぐ脇に全長12メートルの巨体がすくっと立ち上がっている様はやはり圧巻でした。これを見て、「ああ、ペーネミュンデまで来たんだな」という実感をかみしめました。

ヴォルガストホテル
ヴォルガストホテル




シティナイトライン

ペーネミュンデから帰還後、二日間ベルリンでのフリータイムを満喫しました。美術館やデパート・ベルリン名所を巡りつつ、カリーブルストやベルリーナヴァイセなどのベルリン名物をいただきました。

その後、ミュンヘンへ移動。通常はICE(ドイツの新幹線)での移動になりますが、寝台列車に乗ってみたかったのでシティナイトライン(CNL)を利用することにしました。今回は一等二名個室寝台を予約。夜10時にベルリン中央駅から出発です。外国の寝台列車は何度か乗ったことがありますが、ドイツの寝台列車は華美さはまったくなし。しかし機能重視の無駄のないデザインで使いやすかったです。さすがドイツ!雰囲気としては、日本の寝台列車とよく似ていました。

ひとつだけ困ったのは、想像以上に狭くて部屋にスーツケースを二個いれると立つスペースがまったくないことでした。せっかくシャワーもついているのにとても使うゆとりがありません。結局なにもできず早々にベッドに入るはめに。しかしながら、ベッドが小さいながらも寝心地がよく、おふとんもふかふかで大変気持ちよかったのでぐっすりねむることができました。 翌朝、食堂車で朝食をいただきましたが、種類が少ないながらもちゃんとバイキング形式だったのには驚きました。車窓を楽しみつついただく朝食は大変おいしかったです。食事が終わる頃ミュンヘンに到着。あっという間の寝台列車の旅でした。

寝台列車
寝台列車

寝台列車ビュッフェカー
寝台列車ビュッフェカー

ドイツ博物館

ミュンヘンでは今回の旅の第二の目的、ドイツ博物館を訪れました。
宇宙航空関係の充実ぶりはさすがでした。ロケット開発の歴史から近年の宇宙開発までの資料・ジオラマ・実機展示がずらり。もちろんV2ロケットもありました。ただ、螺旋階段の吹き抜けに建物3階ぶち抜きで展示してあったため、大きさは実感できるものの全体を俯瞰して眺めることができません。これだけはペーネミュンデで見てきてよかったなと思いました。

飛行機についてはリリエンタールのグライダーからライト兄弟のライトフライヤー号、リンドバーグのスピリット・オブ・セントルイス号に始まって、フォッケウルフやメッサーシュミット、ユンカース、ジェットヘリやボーイング果てはツェッペリンまでよりどりみどり。実機がずらりと並ぶ様はまさに壮観でした。

それにしても、噂にはきいておりましたがドイツ博物館はとてつもなく広いです。
半日時間を取りましたがとても全部は見きれませんでした。駆け足で見た中でもおもしろいと思ったのは、航空宇宙部門の他には化学とマテリアルでしょうか?やっぱりドイツの得意部門については展示物が多いです。

マテリアルとは鉱物のことですが、さすがに重工業が盛んなドイツです。炭鉱の歴史を地下トンネルを模したジオラマを通り抜けながら見て行くのですが、これが通り抜けるだけで20分以上かかるという代物。進んでも進んでも終わらないのでどうしようかと思いました。じっくり見ていたら一時間以上かかるのではないでしょうか。

それからはずせないのがプラネタリウム。プラネタリウムもドイツ生まれです。現在使用している機械は1988年のカールツァイス製ですが、すでに4代目だそうです。
1925年の初号機は階段の踊り場にひっそりと展示してありました。

現在のものにくらべると大分ごつい感じで、精度も現在の機器に比べたら劣るのでしょうが、当時も今もプラネタリウムはドイツ博物館の人気アトラクションだそうです。私も見てきました。解説はドイツ語なので内容はよくわからなかったのですが、久しぶりにゆっくりと星空散歩を堪能してきました。

ドイツ博物館
ドイツ博物館


プラネタリウム
プラネタリウム

フリードリヒスハーフェン

ボーデン湖のほとりの町フリードリヒスハーフェンはリゾート地として有名なところです。もともと工業も盛んな場所でしたが、ツェッペリン伯爵がこの町で飛行船を製造・開発したことにより飛行船の町としても名が知られるようになりました。そして、ここでは現在でも飛行船の遊覧飛行をおこなっているのです。これは是非乗ってみたい!ということで、ミュンヘンから日帰りで足を延ばしてみました。

朝のミュンヘン駅で朝食がわりのヴァイスブルストとプレッツェルを仕入れ、コンパトメントの座席で車窓を楽しみながらいただきました。本場のヴァイスブルストはやっぱりおいしい。途中ウルムで乗り換えて、フリードリヒスハーフェンへ向かいました。

到着後、まずはツェッペリン博物館へ向かいました。
駅をでてそのままボーデン湖ぞいの遊歩道を散策しましたが、この日はお天気がよくてあたたかだったのでとても気持ちがよかったです。ボーデン湖の眺めは美しく、遊歩道沿いの公園にはクロッカスやスノードロップが咲き乱れ、ヨーロッパの春の訪れを実感することができました。

駅から20分ほどでツェッペリン博物館に到着。中にはツェッペリン博物館に到着。中にはツェッペリン号の内部を復元した実物大のジオラマがあり、中に入ることができました。想像以上に広く、ラウンジなどはモダンなデザインでびっくり。しかもしれが全体のほんの一部ということですから、ツェッペリン号がいかに大きかったかがうかがい知れます。

博物館見学の後はいよいよ飛行船体験です。駅前からバスに乗ってツェッペリンホールに向かいます。
今回乗るのはツェッペリンNT号。受付を済ませてウェイティングルームで待つ間に、乗船に関する注意事項の説明を受けました。今回の乗船は10名ですが、外国人は私だけだったので一人だけ別に英語で説明してくれました。

時間がきていよいよ乗船場所に移動です。外で待っていると、きたきたきた!向こう側からゆったりと飛行船がやってきます。
一見のんびりと浮かんでいるように見えますが、想像以上にスピードがあるようです。さきほどまで遠くにいたと思っていたのに、気がついたらもう頭上を旋廻しています。近づくとやぱり大きいですが、動力はプロペラ二基だけなので音もうるさくありません。
あくまで優雅に、ふわりと地上に降り立ちました。いよいよ乗船です。

全員乗り込んだところでまたふわりと浮き上がりました。
驚いたのは、上昇してもジェットコースターやエレベーターに乗ったときのような上昇感がまったくなかったこと。これならどんな人でも楽しめそうです。
飛行船はある程度まで高度に達すると、そのままフリードリヒスハーフェンの町を上空から眺めるのはとても気持ちがよいです。ボーデン湖の向こうにははるかアルプスまで臨むことができました。

上がってしまえば中を自由に動きまわれるので、いろいろな角度からたくさん写真をとりました。窓を開けても大丈夫なので風を直接肌に感じることができます。うーん、これは楽しい!30分がまたたく間に過ぎてしまいました。そして、下船するとなんとお祝いのシャンパンが待っていました。一緒に乗船した皆さんと乾杯した後は、ひとりひとりに記念の乗船証明書が手渡されました。
とっても楽しい乗船体験でした。今回は一番短い30分コースにしましたが、また乗る機会があったら今度はミュンヘンまでゆくコースに乗ってみたいですね。

その後はミュンヘンへ戻り、二日間のフリータイムを楽しみました。なんと二日でビヤホールを五軒もはしごしてしまいました。やっぱりミュンヘンのビールはおいしいですね!朝からでもぐびぐびいけてしまいます(笑)

ロケットと乗り物とおいしいものを満喫した、10日間のドイツ旅行でした。



ツェッペリン博物館
ツェッペリン博物館

飛行船
飛行船

飛行船からの風景
飛行船からの風景

今回の旅行は通常観光ルートに入っていないような僻地ばかり訪問したのですが、パーパスジャパンさんが細かくケアしてくださったおかげで何の不安もなく楽しい旅行を満喫することができました。
どうもありがとうございました。

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