マイナス何十度なんて、何を着ればいい??
まずは、マイナス何十度にもなるという今まで体験したことのない寒さを警戒して、何を着ていけばよいか悩みました。
登山ショップなどに行って聞いてみたりもしたのですが、フリースなどを何枚も重ねれば大丈夫だったとか、現地で防寒着を借りられるので心配しなくて大丈夫とか、意外に、本格的なウェアを買わなくても何とかなりそうだということが分かりました。
あったか下着やウールの靴下を重ね着したり、カシミヤセーターにフリースにダウンジャケット、マフラーは鼻まで巻き上げてニット帽も重ねたり、とにかく肌を覆ってしのぐことにしました。
実際イヴァロ空港に降り立ってみると、寒いというか空気がとても冷たいと感じましたが長時間のフライト後で、むしろ清々しい気分でした。すぐにお迎えの運転手さんがいてトランクを運んでくれ、イナリに向かいました。
オーロラが出てる!!
ホテルに着いて、夜ふと部屋から外を見ると、なんと、暗い空にぼんやり緑色の影が見え、「オーロラ出てる!」と大急ぎで服を着込んで外へ出ました。
初めて見るオーロラは、何の音もしない、まぶしさも温度もない、とても静かな、光というよりも不思議な影のようでした。
運のいいことに、次の日もその次の日も、少しずつ遅くなりながら同じくらいの時間に現れました。時には消え入りそうになり、時には突然強く現れてゆらめいたり、北から西の空にかけて形を変え続けるオーロラを、これが本物なんだと、不思議な気持ちで見ていました。
いざ!砕氷船 サンポ号へ
さてイナリを発ちロヴァニエミへ移動したら、次の日はオーロラに並ぶ今回のメインイベント砕氷船サンポ号です。
お迎えの車で港へ着くと、私たちのほかには人がいないように見えたのですが、しばらくしたら続々といろんな車やツアーバスが到着して、出発の頃にはサンポ号の中はたくさんの外国人でいっぱいになり、この旅ではなかなか珍しい賑わい振りでした。
船が出発するとすごい音がしてきて、氷を砕きながら進んでいるのが分かりました。デッキに出てみると、どこまでもどこまでも凍りついた海が広がっていました。どんよりしていた曇り空がやがて、沖に出る頃には快晴に変わり、氷が太陽を反射し始めました。
360度見渡す限り、目がくらむほど眩しいまっさらな氷平線と、青空と、船が砕いてきた道が後ろに一本あるほかには何もなく、「ここが世界の果てかもしれない」と思いました。
まるでオットセイみたい。
さて船内を案内され、ウェットスーツを着込み、全員でおかしな格好になったらいざ船を降ります。
分厚い氷を割って凍ってない海を開けてありました。淵に座ったらスタッフの人に氷の海に落としてもらいます。ぷかぷか浮かんでなかなか自由が利かず、みんなはしゃぎました。
デッキの上で順番待ちをしている外国人のおじさんにカメラを頼み、写真も撮ってもらえました。交代になったら無抵抗なオットセイのようにまた氷の上に引き上げられ、服に着替えてから、引き返す時間になるまで凍った海を満喫しました。こんな経験なかなかできるものじゃないと実感しました。
犬ぞりやサンタクロースエクスプレスも!
ほかにも現地で申し込んだ犬ぞりや、サンタクロース村や、氷のお城ルミリンナも、サンタクロースエクスプレスも楽しみました。団体旅行じゃないのにすべて送迎付きだったことがとても安心でした。
フィンランドは美しい寡黙な国でした。日本とは違う自然の動きが何か人にも深い影響を与えているのだと感じました。あこがれていたオーロラも見えて、本当に素晴らしい旅でした。
それでも私たちが見た日はオーロラレベルというのが10段階のうち1や2だったそうで、もっとはじけるような強いオーロラが見えることが、秋の初めや冬の終わりにあるといいます。 それを見に、いつかきっとまた行きたいと思っています。