今回の旅行の目的はずばり「ヴェネチア・ヴィエンナーレ」です。
当初はヴェネチアだけの予定だったのですが、パーパスさんから「ヴェネチアだけではもったいない」とフィレンツェ行きを勧めていただきました。行ったことがないのでヴェネチアとフィレンツェを組み合わせた八日間の日程にしていただいたところ、期せずして中世から現代までのイタリア芸術を追いかける旅となりました。
芸術が大好きな私には願ってもないコース。八日間、イタリアの芸術と街歩きをたっぷり堪能してまいりました。
期間:2011年8月11日~2011年8月18日
M.S 様
GON-000496
当初はヴェネチアだけの予定だったのですが、パーパスさんから「ヴェネチアだけではもったいない」とフィレンツェ行きを勧めていただきました。行ったことがないのでヴェネチアとフィレンツェを組み合わせた八日間の日程にしていただいたところ、期せずして中世から現代までのイタリア芸術を追いかける旅となりました。
芸術が大好きな私には願ってもないコース。八日間、イタリアの芸術と街歩きをたっぷり堪能してまいりました。
ホテルはアルノ川に面した好立地で、家族経営のアットホームなホテルでした。
昼間は暑いフィレンツェも早朝は爽やかで、早起きしてアルノ川岸をお散歩するととても清々しい気持ちになりました。教会の鐘が響きわたり、ヨーロッパに来たことを実感します。
一日目はドゥオーモを中心とした観光地をめぐりました。ポンテ・ベッキオを渡り、市庁舎前の広場を横切り、中世の細い道を通り抜けてゆくと、いきなり目の前が開けて視界いっぱいにドゥオーモが広がります。近くで見るとその大きさと美しさに圧倒されました。
午後はウフィッツィ美術館へ行きました。入口は大変混雑していて入場待ちの長い列ができていましたが、私はネットで予約チケットを購入していたのですんなり入れました。イタリアの美術館は人数制限が厳しいので、混雑しているとなかなか入れないようです。特に夏場混雑するウフィッツィ美術館とアカデミア美術館は予約した方が絶対いいですね。
中世から近世の名画がずらりと揃っているウフィッツィですが、回廊沿いの部屋を順番に進めば時代順に作品を見ていくことができます。宮殿自体もシンプルな作りなので、迷うことなく鑑賞できるのがありがたい。
それにしても、美術の教科書に載っていた名画が今自分の目の前にあるという感動はとてつもなく大きいです。さんざん写真で見ていたはずなのに本物はやはり全然違う。ボッティチェリの「ヴィーナス誕生」やリッピの「聖母子と二天使」、ダヴィンチの「受胎告知」やラファエロの「ひわの聖母」などなど、穴があくほど見つめてきました。
中世の絵は聖書に絵のテーマを求めたものがほとんどなので、受胎告知や聖家族、東方三博士の謁見、磔刑のキリストが何度も出てきます。同じテーマをどう料理するかは画家の手腕にかかっているので、見比べると画家の個性が出ていて大変おもしろいです。
名画をたっぷり堪能したあとは美術館に併設されているカフェで一休みしました。暑かったので思わずイタリア産のビールをチョイス。軽くて冷たくて、乾いた喉に染みとおるおいしさでした。
その後は一度ホテルに戻り、休憩したあとホテル近くのトラットリアで夕食にしました。
サンマルコ美術館に向かいました。前日のウフィッツィの混雑に懲りたので早めにスタートしたら、サンマルコ美術館はすいていてほとんど貸切状態。朝の清々しい空気の中、静かな修道院でじっくりとフラ・アンジェリコの絵を堪能することができて、とても満ち足りた幸せな気持ちになりました。
その後はメディチ家礼拝堂・市場を見学したあとアカデミア美術館へ。こちらもやはり混雑していましたが、予約していたのでスムーズに入れました。ここでの見どころはやはりミケランジェロのダビデ像でしょう。いろいろなところでコピーは目にしているものの、やはり本物の迫力や美しさは別格でした。
アカデミア美術館はややこぶりですが、いろいろな時代の名画がコンパクトにまとめられていてボリューム的には見やすかったです。また、個人的に嬉しかったのは楽器の展示。メディチ家の紋章が入ったグァルネリのチェロなど珍しいものがありました。
そして、最後はフェラガモ本店の地下にあるフェラガモ博物館にいきました。靴好きの私としては、フィレンツェにいったら絶対いきたいと思っていた場所です。歴代のフェラガモの靴が展示してありますが、時代が古くてもモダンなデザインが多くてびっくり。また有名女優の足型も展示してあり、ヘップバーンの足は結構大きかったなんてなどおもしろい発見もありました。
電車で移動する日でしたが、この日はトラブル続きで大変な一日でした。
まず朝。ホテルの人にすすめられて屋上のテラスで素晴らしい景色を堪能したのですが、戻ろうと思ったらなんとドアがオートロックで屋上に締め出されるという事態が発生。
まず道行く人に「助けてー!」と叫んでみましたが、誰も反応してくれません。屋根伝いに隣の家のベランダに移ることも考えましたが、一歩間違えれば不法侵入、それ以前にここは7階なので万が一落ちたら死ぬ、ということで却下。次にドアの回りを調べたところ小さな小窓があったので、最悪この窓をぶちやぶって中にはいろうか・・・などと考えていたときに、ドアの隅っこにボタンのようなものを発見。もしやと思い押してみたらオートロック解除、ドアが開きました!
この間約30分。なんとか自力で脱出できたのでよかったのですが、締め出しをくらったと知った時はほんとうに青くなりました。出られてよかった・・・・
しかし、このあともトラブルは続きます。屋上に閉じ込められていた分、出発の時間がおしてしまったため、慌ててスーツケースを持って下に降りようとするもエレベーターが待っても、待ってもこない。
結局10分近く待ってもこないのでフロントまで言いにいったら、ちょうどチェックアウトの時間で超混雑。やっと順番が来て対応してもらったときにはすでにヴェネチア行き列車の発車15分前。タクシーを飛ばして、スーツケースを転がしつつ駅の中を疾走。なんとか電車に乗れたのは発車3分前でした。
イタリアの電車はよく遅れると聞きましたが、その電車は時間ぴったりに発車しました。あぶなかった!
ヴェネチアまでは約二時間の電車の旅です。朝から慌ただしかったけれど、これでしばらくはのんびりすごせる・・・と思った時にまたまた事件が。
同じ車両に個人旅行と思われる日本人の若いご夫婦が乗っていたのですが、ボローニャの駅を発車する時に何気なく外を見たら、ご主人がボーゼンとホームに立っている姿を目撃。もちろん電車は走り出しています。なんと水を買いに降りたご主人はボローニャの駅に置き去りにされてしまったのでした。
一人残された奥さんの方は英語もできず、途方にくれていてどうしたらいいかわからない状態。結局ほっておけずに成り行きで私が助けるはめに・・・(私も英語は満足にできないのですが・・・笑)
車掌さんに事情を話し、ボローニャのカスタマーサービスにいえば対応してもらえると教えてもらったものの、ご主人は携帯も持たずに降りてしまったため連絡もとれません。結局ヴェネチアの駅でご主人が到着するのを待つしかないということになったので、フィレンツェからの次の電車がヴェネチアに到着する時刻を確認し、駅で待っていればきっと会えますからと言ってお別れしました。
後で偶然そのご夫婦と再会し、無事に次の電車に乗ってきたご主人と合流できたと聞いてほっとしました。
後でガイドさんに聞いたところによると、イタリアの電車はベルなどならず静かに発車してしまうため、タバコを吸いに外に出た乗客がよくホームに置き去りにされるらしいです。イタリアで電車に乗るときは要注意ですね。
、やっと今回の旅の目的、ヴェネチアに到着です!
噂通り、水の中から立ち上がったかのような不思議な街です。どこを写真にとっても絵になる、とても美しい場所。
今回はホテルにこだわってダニエリを予約していただきました。駅前の運河から船のタクシーでホテルに向かいます。途中キャナルグランデ沿いの風景を堪能し、運河側の入口に船を横付けしてもらいました。船からホテルに入るのも、ヴェネチアならではの経験ですね。
入口は小さいのですが、中に入るととてもゴージャス。有名な吹き抜けのホールの奥にフロントがありました。私たちの部屋は本館の左側の別館で、窓を開けると運河の見えるお部屋でした。広さはそんなにありませんが、部屋全体が赤いゴブラン織りのテキスタイルで統一されており、重厚かつ華麗。さすがは伝統ある一流ホテル、重みが違います。
荷物を置いてさっそくヴェネチアの街にくりだします。夏の観光シーズンということもあり、サンマルコ広場は大変な混雑です。広場からリアルト橋に抜ける小道も人でいっぱいでした。船と徒歩しか移動手段がなく、道もほどんどあまり広くないため、メインストリートはどうしても混雑してしまうのですね。しかし、ちょっと横道にそれるとだれもいない小道もんたくさんあって、思う存分迷子になりながら初日はサンマルコ広場~リアルト橋周辺を探索しました。
夕食はリアルト橋のすぐ近くのキャナルグランデ添いのレストランに入りましたが、ウェイターさんがとても親切で、言葉が通じないながらもゼスチャーでメニューの説明をしてくれました。この日はクモガニのサラダとペスカトーレスパゲティをシェアしましたが、おいしくて満足な夕食でした。
これは二年に一度ヴェネチアで開催される現代アートのお祭りで、世界で最古の国際美術展といわれています。今年で54回目。
会場は本島の東にあるジャルディーニ公園とアルセナーレです。通常の観光では行くことのないエリアですが、緑が多く広々としているのが気持ち良い。サンマルコ広場周辺はとにかく混雑がすさまじいので、人ごみに疲れた身にとってはほっとする場所でした。
ヴェネチア・ヴィエンナーレはメインキュレーターがテーマに沿っていろんな国のアーティストの作品をチョイス・コーディネートしたメイン会場と、国ごとのパビリオン展示と大きく分けて2種類の展示があります。がんばれば一日で見ることができるくらいの分量でしょうか。
印象に残った作品をいくつかご紹介します。
(1)メイン会場内に鳩がいっぱいいて「鳩が侵入してる!」とびっくりしたらなんとそれが作品でした。全部剥製です。これだけの数の鳩を剥製にしたのか・・・と想像するとげんなりしましたが、屋内でたくさんの鳩に見つめられていると、怖いような不思議なようななんともいえない気持ちになります。
(2)今回一番話題になっていたアメリカ館。ひっくり返した戦車のキャタピラの上でオリンピック選手が走ります。このキャタピラの音がすごくて動きだすと会場中に響きわたるのですが、その音を聞いて集まってくる人もいれば耳をふさいで立ち去ってゆく人もいて、いろいろな意味でアメリカらしい作品だなと感じました。
屋内展示では、飛行機のシートを模した作品を使ってオリンピックの器械体操選手が目の前で演技をしてくれます。目と鼻の距離で器械体操を実演してくれるので迫力がすごい。オリンピックだってこんなに近くで見ることはできません。筋肉がプルプルしていて、集中して演技しているのがびんびんと伝わってきました。
(3)フランス館はボルタンスキーの展示。越後妻有トリエンナーレなどで日本でも有名なアーティストです。また、スイス館やイスラエル館が印象に残りました。
(4)アルセナーレでは今回金獅子賞を受賞したクリスチャン・マークレーの作品を上映していました。これはいろいろな映画の時計が写っているシーンを集めて24時間のフィルムにしたもの。それを現実の時間に合わせて上映します。膨大な手間がかかった作品ですが、見る方も24時間なので大変です。もちろん全部みることはできませんので10分ほど見てきましたが、現実の時間と作品内の時間がちゃんと同じでびっくりしました。
一日ゆっくりと時間をかけて現代アートを堪能した後は楽しい夕食です。この日もまたリアルト橋近くのトラットリアに飛び込んで、スカンピのグリルとムール貝のマリナーラ風をいただきましたがとてもおいしかった!ヴェネチアで食べた夕食ではここのお店のお料理が一番でした。
いつもは食後にエスプレッソをいただくのですが、今夜は場所を移動してカフェ・フローリアンでコーヒーをいただきました。夜は外でクラシックカルテッドの演奏をしています。涼しい夜風に吹かれて、いい音楽を聴きながらおいしいコーヒーをいただく贅沢を堪能しました。
まずは鐘楼に上りヴェネチアの街を一望、次はサンマルコ寺院を見学しました。サンマルコ寺院は入場無料ですが、別料金でいろいろなものが見学できるようになっています。私は二階に入場しましたが、テラスからサンマルコ広場を眺めることができますし、大聖堂のモザイクを間近で見ることがができるのでおすすめです。
午後はグッゲンハイム美術館にいくつもりだったのですが、定休日で見れず。そこで予定を変えて、そのままザッテレに抜けるとバポレットに乗って島周辺を一周することにしました。ザッテレからローマ広場、そこからまたフォンダメンタ・ヌォーボ、そしてリド島まで足を伸ばしました。小さい島でも場所によっておしゃれだったり下町だったり工場地区だったりといろいろな顔を持っているのが良くわかり、また新たなヴェネチアの魅力に触れることができました。
夕刻、ホテルまで戻ってきてゴンドラに乗りました。ためいき橋の下を通って裏側の水路をぐるりと一周、ダニエリ前に戻ってくるというコースです。
表側はすごい混雑で賑やかなヴェネチアも、ちょっと裏に入ると人もほとんど通らないような橋や水路が続きます。人のいないヴェネチアで、聞こえるのはオールを漕ぐ音と水音、そしてたまに十字路を通り抜ける時のゴンドリエーレの掛け声が響くだけです。
日が暮れてだんだん暗くなり、このまま知らない世界につれていかれてしまいそうな錯覚に陥りました。やがて家の明かりが灯ると、その温かさにほっとした気持ちになります。船が船着場に戻る頃にはすっかり夜になっていました。30分の短い間でしたが、ひとときの幻想的な雰囲気を味わうことができました。
中世~近世の美術作品から現代アートまで、時代を駆け抜けて山のような芸術作品を鑑賞してきました。作品の量の膨大さ、質の高さ、歴史の深さにめまいがしそうでしたが、日本ではこのように一度にこれだけの作品を鑑賞することは不可能ですから、とてもよい経験ができて大変満足でした。
また、今回は八日間でフィレンツェ・ヴェネチアの二都市のみを回りましたが、時間をたっぷりとったつもりでも全然足りませんでした。イタリアの街は自分の足で歩くことによってその魅力を存分に味わうことができる場所なのだと実感しました。
いつかまたゆっくり時間をとって再びイタリアを訪れたいです。その時には、今回歩けなかった場所もゆっくり散歩して、心ゆくまで素敵なイタリアの街を体感したいと思っています。
今回も素敵な旅の手配をありがとうございました。
いつもありがとうございます。本来の目的のヴィエンナーレだけでなく、フィレンツェでもたっぷりとお好きな美術品、芸術品を楽しんでいただけたようで、とても嬉しく思います。イタリアは、街並みそのものが芸術のような所が多いので、ゆっくり見ていると時間があっという間に経ってしまいますよね。ご満足いただけて嬉しいです。今後とも、どうぞ宜しくお願い致します。