ジャマイカでのんびり過ごす休日 10日間

期間:2012年12月21日~2012年12月30日
Y.S 様

GON-000657

寒い日本を離れて、久しぶりのカリビア~ン*


【 1 日 目 】

成田からダラス、やっと取れたほとんど最後尾の席。満席できゅうくつな長いフライト。
ダラスでの乗継は1時間25分しかない。急ぎ足で前を歩く人をかわしていくと、Express Connection のオレンジ色の紙ばさみをわたしてくれた。入国審査の係員に見せて係員に声をかけ、割り込ませてもらう。
次は税関、ここは「ああ、いいから行って行って。」ラッキー!急いでゲートに行くと、もう搭乗している。はあ、何とか間に合った、やれやれ。しかし店を見ている暇もない、これじゃ帰りのマイアミ乗継は間に合わないんじゃないか・・・

ダラス発もまた満席、ほとんど最後尾。何だって今回はこんなに後ろばかりなんだ、ブツブツ・・
やっとジャマイカ到着。入国審査がこれまた長蛇の列。5~6列に重なっている。やっと抜け出すと、荷物のターンテーブルは既に止まっている。言われた番号のところに行くと、自分のが見当たらない。一瞬ぎょっ、これはロスバゲか・・誰に言ったらいいんだろうと、うろうろすると、別のところにあったーー!!よかったーと近づくと、何とスーツケースが開いたまま立っている。ベルトでかろうじて全開にならなかった模様。
全く、アメリカの審査官さー・・どうせ検査したんだろうけど、彼らはやることが実に雑。

たった1回の乗継なのに、到着してもウキウキ感ゼロ。気分的に浮かない幕開けとなった。
出口には出迎えの日本人係員 T さんが待っててくれた。宿泊地まで車ですぐ。明日からの予定等確認。ドライバーの J とは明日からも一緒らしい。「よろしくね。」

今回選んだのは、ダウンタウンのコンドミニアム。いわゆるバケーションレンタル式で、各部屋のオーナーから借りる。部屋は10階、キッチン付のオーシャンビュー。眼下の道を挟んですぐに Doctor Cave's Beach が見える。景色は最高、というかこの眺めのためにこの値段を払ったようなもの。

Doctor Cave's beach
Doctor Cave's beach

キッチンの食器は古くベタベタ。使い捨てのプレート、どんぶり、カップを持ってきて正解。さっそく、持ってきた台所用洗剤でなべ洗い。こればかりはお湯わかしに必要。学生時代もやかんはあったもんね・・
キッチンの天井はフレームがゆがんで宙ぶらりん、ガラスが既に一部割れてなくなっている。台所にいて、上からガラスが降ってきたら洒落になりませんな・・毎日「今日は大丈夫かな・・」と天井を仰ぐのが日課になった。

シャワーは半分壊れているけど、ま、湯と水が出てくるからいいか。トイレットペーパーはホルダーなし、あちこちのしみ・汚れは見ないことにして、タオルと石けんがあるから、ま、いいか。
海外に来ると「快適さは金で買う。」ということをいやというほど実感する。この立地でこの眺めでこの値段、しかたないと自分に言い聞かせる。

落ち着いたところで、2階のミニスーパーへ。明日の朝食用、ヨーグルト・パン・ジュースを買って¥300程度。十分十分。荷物の整理をして、シャワーを浴びたら、どっと疲れが出てきた。まだ夜8時なのにね。
今日はもう何も食べたくない。明日からいろいろ予定があるから、早めに寝よう。おやすみなさーい。

【 2 日 目 】

夜中からすごい風、ぴゅーぴゅー音がすると思ったら、ベランダへ通じる大きな引き戸がゆがんで隙間が空いている。道の反対側がバーらしく、明け方まで音楽ガンガン、車の急ハンドル・急発進の音が鳴り響いた。朝5:00をまわってやっと静かに。ヤレヤレ・・

7:00すぎに白み始め、昨日買ったもので朝食。なべでわかした湯でドリップコーヒー。ま、こんな生活もいいんじゃない。

breakfast at the veranda
breakfast at the veranda

9:00にロビーに行くと、すでに J が待っていた。私一人なのに、十数人は乗れる大型バン。あらまあ。

まずは市場へ。クリスマス直前で混雑する、という話どおり、小回りの利かない車を止める場所がない。青空市場なので、そこここで物売りと買い物客、行きかう車でごったがえし、無秩序状態。ま、途上国の典型ですな・・。J にとめる場所探すからといわれて、一人でバンを降りる。

ジャマイカの公用語は英語、しかし現地の人は英語ベースのパトワ語を話す。音楽ガンガンのところで、値段が聞き取れない。量り売りだと、これじゃボったくられてもわからんわな・・。
周りの客はどう見ても地元人ばかり、思いっきり目立っている外国人の自分。野菜がほしくて、レタス・トマト・キュウリと地元産オレンジ2種を買う。値段は高い。日本の自宅近くのスーパーと同程度かそれ以上。
迎えに来た J と雑踏を離れて、車に戻る。かなり遠くに止めたみたい。車の中にある冷蔵庫に買ったものを入れて、ホッ。ダウンタウンのベーカリーはケーキ類しかなくて、ボツ。

メガマートに向かう。アメリカタイプの大型スーパーで、駐車場も広く安心して買い物ができる。やっぱりこういう方が楽。まずはパンコーナーへ、数日分の買い出し。なるべく地元ベーカリーのものをあれこれ、土産用ラムケーキは結構高い。「1本買うと、1本ただ」こういうのに弱いのよね。
ブラックカラントジュース1本と、グアバ・パッションフルーツジュース1本、そうそう水も。水道水は飲めるらしいが、あのコンドの状態では給水タンクの掃除なんてしているはずない。10Fで水圧が落ちないのはたいしたものだが、塩素がきいているとは思えない。
なんのかんの、カートいっぱいの買い物をして駐車場へガラガラ押していく。

さて買い出しの後はクラフトマーケットへ。手工芸品を売る小さな店が並んでいる。こういうところは今まであちこちでさんざん見てきたので、元々長居するつもりもない。" Special price for you. " は聞き飽きた。値段交渉の練習にはいいかもね。ぐるっと一回りして、バスに戻りローズ・ホール・グレートハウスへ。

着くとちょうど、アメリカ人グループがガイドツアーに出かけるところで、一緒に加えてもらう。
その昔、イギリス統治時代、1770年に建てられた屋敷。ここが有名なのは、農園主に嫁いだアニーがここで3人の夫を次々に殺し、最後に奴隷に自らも殺されたという因縁の歴史のため。一時期、荒れ放題だったがその後見事に復元された。床や家具はマホガニー製、高台に立ち、風が吹き抜けて気持ちがいい。真正面にカリブの青い海と白波、2Fにはいくつものベッドルーム、ベッドはどれも天蓋付の英国風、いやーこんなところで暮らしてみたい。

しかし、ガイドの話によれば、3つのベッドルームで3人の夫がそれぞれ殺され、赤色が基調のアニー自身のベッドルームでは彼女が殺されたらしい。アニーのポートレートを見ると、長い髪の清楚な女性に見えるが、好みの色は「血の色」の赤だって・・。地下には牢獄跡があり、脱走に失敗した奴隷が死ぬまで繋がれたり、奴隷捕獲用の罠(トラかクマ用に見えた)が展示されていたり。彼女が " White Witch " と呼ばれるゆえんだ。

ガイドツアーは庭で解散し、歩いていたらアキーの木を見つけた。こぶし大の実がぶら下がっているがまだ色が薄く熟していない。これを使ったご当地料理 " Ackee & salt fish " を是非食べなければ!

Ackee
Ackee

敷地内の土産物店で、見覚えのある香水のパッケージ。ハッとした・・これは若いとき初めて海外で買った香水だ。その後どこにも売ってなかった。バハマにある香水店で買ったのに made in Jamaica だったっけ。
名前は " White Witch " ・・ん?ここで、アニーと話が繋がった。
ああ。そうだったんだ、もう20年も昔の White Witch が今よみがえった気がした・・。ちょっとタイムスリップした気分。香りをかぐと今の好みに合わない。当時はこんな香りが好きだったんだっけ・・

車に戻ると13:00、おなかもすいた。海辺の小さなフィッシュレストランへ。お勧めをきくと、Steamed fish というので、注文。メニューにある " Bammy " って何?と聞くと、「これ」と見せてくれた。キャッサバパンと判明。懐かしい、ベネズエラで食べたっけ。へえ、ジャマイカにもあるんだ。いっしょに注文。

しかし、おそろしく時間がかかった。30分以上待って、あきれたころに出てきた。アルミの包みを開くと、大きな30cmぐらいの赤めだいのような魚のおなかにオクラとキャベツ、唐辛子をつめて蒸し焼きにしてある。はあ、なるほど、これは時間かかるわ・・。
味は、こしょうと唐辛子でスパイシー&オイリー。いつも思うのは、魚はやっぱりシンプルに焼くだけが一番。海外ではたいていバターかオイルを使うので、魚本来の味がわからなくなる。無理に「ただ焼いて」と注文すると、加減がわからないので焼きすぎて台無しになるパターン。

おなか一杯にはなったが、値段もいい。日本でもランチでこれだけ出せばいいものを食べられるはず。観光客ばかりでなく、地元客も来ている。不思議なのは、この物価で現地の人は暮らしていけるんだろうか。しかも消費税は16.5%。全く不思議・・・

ランチの後は、昨年オープンしたばかりの Whitter's Village へ。
いろんな店が1か所に集まっているので、ぶらぶら。アイスクリームをデザート代わりに食べて、ちょっと買い物してコンドにもどる。5L の水、2L のジュース、野菜等大荷物を両手にぶら下げてよたよたとエレベータへ。このエレベータがまた古い。動くたびにガタガタ音がする。途中で止まったりしないか不安。

この夜も向かいのバーは大音量、02:00までガンガンなりっぱなし。

【 3 日 間 】

本日のアトラクション、メイフィールド滝へ。
海岸線沿いを少し走って内陸部に入っていく。途中から片側は崖の山道。道路はくぼみやへこみがいたるところにあり、J はスピードを極力落として右へ左へよけつつ走進める。「パンクさせないでね。」というと、「全くそれがこわいんだよね。2年前に来たときはこんなにひどくなかったのに・・馬の背中にのってるみたいだろう。」とのたまう。全くね。足をふんばって上半身が前後左右に揺れっぱなし。

1時間ほど「車」に揺られて、やっと着いた。急斜面を歩いてしばらく降りてやっと出発地点。荷物をすべてロッカーに入れて、手ぶらでガイドのショーンについていく。ボブマーリー似のほっそりした、見るからにジャマイカンのショーンと、カメラマンもついてきた。手を引かれておそるおそる川の中へ。水が冷たい!「すぐ慣れるから」といわれても、流れがあるうえにやや濁りがあって、川底にゴロゴロ石がよく見えない。手を引いてもらいながら、1歩1歩上流へ向かって歩く。大きな岩があるところは小さな滝となって水が流れ落ちる。

いくつか曾遊場所が写真スポットとなっていて、言われたように体を沈めてポーズをとる。後で気に入れば1連の写真を CD に落としてくれるらしい。自分でカメラを持ちながら歩くのは不可能なので、マンツーマンのガイドと専属のカメラマンを従えて何かお姫様気分。

だんだん水温にも慣れて、楽しくなってきた。ジャマイカで有名なダンズリバーの滝登りは、観光客が数珠つなぎになって手をつないでゾロゾロ歩くが、こちらはほとんど人がいないし、自然のまま。メイフィールドにしてよかった!ラストは " washing machine " と呼ばれる一段と大きな滝のような場所。息を止めて滝をくぐると小さな空間があり、息ができる。

戻り道を歩きながらもショーンは、ターメリックやミントの実や葉をとって説明してくれた。生のターメリックはパウダーにした時と全く同じ鮮やかなオレンジ色。

入口まで戻ってランチを待つ間にカメラマンのとった写真チェック。我ながらだぶついた肉が重力に負けて見苦しい。しかし、こんな山奥でブランドニューなノートパソコンにはびっくり。CD は高いけど、思い出だから買う人も多いだろう。いい商売ですな・・。お金は車においてきたので、ランチ後一緒に車まで行って支払うことで合意。

写真

ランチもジャマイカ国民食「ジャークチキン」。スパイシーだが、やや甘みが強いか。付け合せのライスも、なんだかわからない赤いジュースもペロリ。

ずっとまっていた J に礼を言って、急斜面をひーひー言いながら車に戻る。
さて、今度は少し遠回りだけどまともな道をひたすら戻る。J は電話対応におおわらわ。午後のいかだく下りの時間が押していること、他の仕事のこと、ついでに朝のクレームについても T さんから連絡が入った。オーナーも最初は自分が雇っているメイドを擁護していたが、こちらの言っていることは事実で、なくなったものが戻るわけでもなく、うそを言う理由がないこと、メイドが冷蔵庫の中をいじる必要はないことを説明したら、理解を示すようになったと。だいたいオーナーにとっても、自分の雇っている人間が信頼できるかどうかという問題である。オーナー自身のためにもよく見極めた方がいい。いずれにしても、手配会社の T さんはよく対応してくれた。お世話様です。

やっとグレートリバーのいかだ乗り場に到着。道すがら竹やぶをよくみかけた。けっこう自生しているのね。それをくくりつけて、座る台座をとりつけたいかだ。2名乗りを1名でゆったり。マーサブレア川のいかだが有名だが、場所的に遠く離れているので、こちらにした。
口コミには「船頭がうるさいほどしゃべりっぱなしで、わずらわしい」とのコメントが複数あったので、ちょっと警戒していた。でも、いくつか川岸の植物をとって説明した以外、ほとんど話さない船頭。午前中の滝登りで疲れていたのでちょうどいい。

静かにゆったり流れる川面や、川岸に高くそびえる木々をぼーっと眺めながら下っていく。
後できいたら、うるさい船頭はマーサブレアの方らしい。重ね重ね、今日の組み合わせでよかった。人込みや喧噪は苦手。自然の中に埋没したい。

写真

コンドに戻り、シャワーを浴びてベランダごしに日没を眺めて、夕食。旅行記を書いているうちに疲労で眠気。今日も有意義な1日でした。おやすみなさーい。

【 4 日 目 】

目覚めてすぐ眼下の海をみる。今日は波が穏やかだ。こちらに来てから決めたネグリル行きは、ボートが出せるかどうかにかかっている。この2日間、モンテゴベイでも風が強かった。

約束の8:30にロビーに行くとしばらく遅れてJがやってきた。朝食の Ackee & salt fish を届けてくれた。朝食付きの高級ホテルと違って、この国民食を食べる機会がないとぼやいたら J が自分の朝食がてらお持ち帰りしてくれた、ありがとー!代金を払ってそそくさと部屋に戻る。
アキーの実を食べるのはジャマイカだけ。これを食べずには帰れない。ベランダの丸テーブルに朝食の用意。眺め最高、でも下の通りは車が多い。波の音どころか、車の行きかう音を聞きながらで、ちょっと残念。

見た目はスクランブルエッグそっくり、食べると魚の塩味とよくあってなかなかいける。ちょっと油っぽいので、付け合せのヤムいもや、揚げバナナ、ゆでバナナといっしょに食べるとよろしい。中南米でよく食べられる揚げバナナ、好きなのよねえ。残念ながら日本では料理用バナナはみたことない。冷蔵庫からブラックカラントジュース、ジンジャーブレッド、ヨーグルトも出して、ぜいたくな朝食。

食べたら出かける用意。さっき、ネグリル行OK ただし別のドライバーが来ると聞いた。日焼け止めを塗りたくり、バスタオルやら着替えやら、今日は丸1日かかるからいろいろ荷物がいる。と、電話がかかってきた。ロビーからでドライバーが到着して待っているとのこと。「きゃー、あと5分で行きます~。」急いでロビーに行って、今日のドライバー E と会う。ちょっとそっけない感じ。

ネグリルは遠い。途中の海沿いの町は、車が数珠つなぎになってなかなか動かない。自分のペースで道を横断する人、車から降りる人、狭い道がごった返す。こっちで感じたのは、度を越したノロノロ運転が結構いること。対向車の隙間をぬって追い越しざまに見ると、ドライバーが助手席の人と話に夢中というケース。それから急な進路変更をする車。今日も急ブレーキ2回かけたなあ。

たっぷり1時間半かけてネグリルビーチに到着。T さんから紹介された I さんが4歳の娘さんとやってきた。レゲエ好きが高じてジャマイカ人と結婚してネグリル在住の I さん。いろいろおしゃべりしながら、ご主人のボートが戻ってくるのを待つ。Curry goat をどこかで食べられないか相談したら、道沿いのローカルな店に車で連れて行ってくれるって!なんて有難い。今日はモベイにもどるのが遅いし、明日はクリスマスで店やってないし、と思っていた。今更気づいたが、ジャマイカって日本と同じ右ハンドル。どおりで違和感ないんだわ。

店について注文、待っている間に I さんが調理場を指差して「あ、あれ、アキー」。テーブルの上に黄色いものがたくさん。皮むいて、種とって、下ゆでしてから料理するらしい。手間がかかるとはそういうことか、なるほどね。といってるうちに、ボートの準備ができた(1名では出せないので、別の客が見つかった)との連絡。あわてて戻り、つめてもらったランチボックスをもったままボートへ。しかし、波荒いわ、しぶきがザブンザブン降ってくるわで、食べるどころじゃない。お父さんと二人の男の子も黙って耐えている。
I さんのご主人が釣り糸を垂らして、ボートを進めてしばらくしたら、魚がかかった!引き上げると20cmぐらいの銀色の魚が勢いよくピンピン!へえ、擬餌針の釣り糸たらしただけでつれるんだ・・。

シュノーケリングポイントにつくと「泳ぎは得意か?」と聞くから「じぇんじぇん泳げません。でもシュノーケリングは好きなの。」といったら、大笑いしながらライフジャケットをおなか周りに巻いてくれた。フィンとマスクもかりて海の中にドボン!お腹のまわりだけというのは不安だったが、これが正解。普通に首を通して上半身をつけると、肩が浮いてスッポぬける感じになるから常に手で下に引っ張らないといけない。しかし、人間おなかが浮くと、体全体が浮くんだと今日発見!上半身は何もないから、自由に動かせるし、楽ちん。今度からこうしよう。

しかし、波が荒く水温も結構低め、体全体を大きくゆさぶられつつ岩場の方へ泳いでいくと、大きなうちわのような海藻がゆらゆら。魚はみたことあるものばかり、でもこのうちわは何だ?
しばらくして、船をみるともうお父さんたち、上がっている。体も冷えてきたので戻ることにする。船の傍までくると、スズメダイの大群が向こうから向かってきた。いやー数十匹は確実。魚の群れの中を泳いでいる気分、おもしろ~い、手を伸ばせば触れそうだけど皆、器用に除けていく。

ひとしきり魚の戯れて縄梯子から船に上がったとたん、エンジンかけてスタート。あら、時間とりすぎたかな・・冷えた体に風が冷たい。バスタオルを巻いてちぢこまる。「う~さぶい~!」結局ランチはそのまま持ち帰り。ビーチに戻って I さんと話しながら「いただきま~す!」
curry goat、その名の通りヤギカレー。うーん、肉の臭みはカレーで消されているが、骨が多い。味がない気がする。これは好みで塩ふるパターンか・・微妙ですな・・。付け合せのご飯はいつもこちら風の豆ごはん。これも味なし。赤飯から粘り気を全くなくした、ぱらぱらぽそぽそと思えばいい。ブラジルでも似たようなものが出てきたが、あちらは味があった。全体的にこちらは塩分控えめ傾向かも。

16:00に E のところに戻る。日本の視点からみたジャマイカ事情とかいろいろ話せたし、I さんに会えて今日は楽しかった。

今日はこれから Rick's Cafe へ。ここは高飛び込みと夕日で有名な場所。なるほど駐車スペースはもう満杯。敷地内は人、人、人。ひときわ人だかりの方へ行くと、やってるやってる。崖の上からセーフガードが下に人がいないことを確認して、一人ひとり飛び込ませている。青く澄んだ海へ大ジャンプ!

サンセットまで時間があるが、聞いている場所に陣取り、ひたすら待つ。日没を見るために何もせずに1時間も待つなんて、日本では考えられないこと。贅沢な時間の使い方。

周りは各国からの観光客でいっぱい。英語、フランス語、イタリア語、中国語、そして日本語が耳に入ってきた。インド人ファミリーもいる。いよいよサンセット間近になると、ライブミュージックが始まる。まあ、これもねえ、ホントは静かに眺めたいもんだけど、耳元でガンガン・ノリノリの音と崖に鈴なりになった人間たち・・ま、郷に入れば郷に従うか。

ずーっと待ったかいがあり、夕日の真正面の位置で眺められた。今日は雲が多かった割には、きれいな夕日がみられた。

jump at Rick's cafe
jump at Rick's cafe

sunset
sunset

さて、と振り返るといつの間にか E が背後にいた。そうですな、この人ごみが一斉に外に出たら大変。そそくさと車に戻り、一目散に出口をすりぬける。あたりが真っ暗になると、さすがに疲れが出てこっくり。途中でご当地の揚げパン「フェスティバル」を買いに店に寄ってもらった。揚げたてはもちもち甘みがあっておいしい。小さいのでさっそく車中でぺろり。

コンドにもどりチップを渡して E とバイバイ。もう遅いので、冷蔵庫の野菜でサラダをつくり、パンとコーヒー。満足満足。冷蔵庫は無事だった。

【 5 日 目 】

今日も快晴なり、眼下のビーチも波穏やか。こんな近くなのに、Doctor's Cave Beach には今日が初めて。朝食を済ませて、日焼け止めたっぷり、着替えて、さあ出動。エレベータにのると初老の男性。「 Hi!ビーチに行くんかい?」「そう!今日は波穏やかみたい。ここ2、3日は風が強かったですよねえ。」「ああ、そうだったねえ。今日は大丈夫だろう。」彼も行くみたい。ここのコンドはアメリカ人が多い。気さくな彼らと、何か同じアパートの住民みたいに感じてきた。

道を渡って、入場料払って、サンデッキチェアを借りて日陰に陣取る。昔、「玄関開けたら2分でごはん」という CM があったっけ。今「玄関でたら、2分で海中」ってホント、最高!

ネグリルはホワイトサンド、こっちはやや色がついて粗い感じ。海から我がコンドを見ると、いやー古い!見るからにボロボロの薄汚れたコンクリートビルディング。まあ、ここの建築基準で40年以上前に建ててそのままほっておけば、たいがいゆがんでくるってもの。

ビーチでは母親が男の子に「だからタオルの上に乗るなって言ったでしょ!人の話を聞きなさい!」とものすごい剣幕で怒鳴っている。はは・・どちら様も国を問わず子連れは大変ですな・・。体が冷えたのでデッキチェアに戻ってうとうと。

小腹がすいてビーチ沿いの店をうろうろしたら、パティを見っけ!中に具が入ったポーチ型の揚げ物。これもご当地のスナックとしてよく食べられるらしい。ビーフパティを一つ買って歩きながらさっそくパクつく。ふむ、結構いける。外側は大きく見えるが、中身は薄っぺらいのでぺろり。

昼近くになって人がどんどんやってきた。狭いビーチがパラソルの花で埋め尽くされていく。ここは、入場料に加えて、チェアもパラソルも何でもいちいち料金がかかる。ま、でもこんなにダウンタウン近くでごみひとつ落ちていないビーチ、シャワー・トイレ設備も清潔に保つには必要なんだわ、と実感。

デッキチェアに戻ると、隣のアメリカ人グループのおじちゃんが近づいてきて写真をとってくれないかと言う。OK ですよ。後からおばちゃんも「私のカメラも」と、ハイハイ、皆さん並んでこっち見てね~。おじちゃんが「これ、砂でお城作ったんだ。」と下を指差すので、「はいはい、んじゃこれも入れて写真撮るからね~、スマイル~」カシャっ。カメラを返しながら「確認してね、気に入らなかったら撮りなおすから。」というと、" You're so kind. " といって、おじちゃんが、腕をどうぞ、とおどける。そのままエスコートして、我がデッキチェアまで送ってくれた。はは、こういう気さくなところがいいのよねぇ。

昼過ぎにビーチに出て通りの土産物店をぶらぶら。今日はクリスマスにもかかわらず、どの店も開いている。どうやら大型客船が入港しているから休日返上らしい。店に入った途端、皆声をかけてくれる。" Special price for you! " といわれようが、" Best quality. " といわれようが、スーパーの価格を引き合いに出して、欲しいものにターゲットを絞って交渉。
ラムケーキとポストカードを合わせて、いったん合意したのに、売り子が店主に確認したらもっと高い料金を提示してきた。ちょっともみあい、それでも店主はガンとして聞かない。ああ、めんどくさい。「じゃあいい、別の店で探すから。」と店を出ると、後ろから店主が「○○ドルでいい!」と合意した金額を怒鳴ってる。やれやれ、世話が焼ける。店に戻ると、苦虫をかみつぶしたような顔の店主が商品を袋に入れて、「もってけ、ドロボー」の勢いで、こっちに突き出す。はあ、やれやれ。しかし、こんなのに負けていられません!旅行先ではこうして交渉スキルを日々訓練。

部屋に戻りシャワーを浴びて、軽めのランチ。市場で買ったオレンジ2種のうち、1種は夏みかん(はっさく)だった。なんせ見た目がほんとんど緑色で、何のかんきつ類だか分からず買ったもの。日本のものよりかたくしまっていて、皮をむくのが大変、でもみずみずしくておいしかった。

Carribean Sea
Carribean Sea

【 6 日 目 】

今日はキングストンに移動する日。のんびり起きて、冷蔵庫を整理しながら朝食。食べきれなかったオレンジ、ジュース、パンは持っていこう。

チェックアウト時間を少しまわったころにロビーへ。待ちくたびれたころにそれらしき車がやってきた。Knotsford バスターミナルまではすぐ。小さなオフィスに拍子抜け。予約済みなのでチェックインして、待合室に入るともう結構人がいる。行き先は一つしかないから、みんな一緒のバスだ。前方の席とりたいなあ。暑いのを我慢して外で待っていると、出発時間になっても係員は暇そうに同僚とおしゃべり。と、その時別の係員が「10分遅れます!申しわけありませーん。」と怒鳴った。オーイ、もうこんなに荷物も人もいっぱいで、ここが始発なのに何なのよ。まあ、日本のようにはいかんわなあ。

暑い外でしばらく待っていると、やっとバスが到着。スーツケースを預けて乗り込むと、前から座席がどんどん埋まり、バス中央ぐらいの席になった。座席間隔が狭い。ドライバーの挨拶が始まったところに大荷物を持ってやってきた若い女性が見えた。オイオイ、出発が遅れたから間に合ったようなもの、と、空いてる席が私の隣だけ。ああ、狭い狭い。大型観光バスが満席、前のカップルが席を倒すから本当に身動きできない。

左手に海岸線を見ながら先日行ったグレートハウスを過ぎ、オーチョリオスまで2時間。途上国によくあることだが、この国もまた道路わきのごみの量が目に余る。黒ビニール袋があちこちに産卵して景観を損ねている。遠くに見えるカリブのターコイズブルーが台無し。走行中の車内は大音量でアメリカ映画を上映。ホームアローンの悲鳴が響き渡る。やれやれ・・この国には騒音公害ということは存在しないらしい。

アメリカ人観光客も多いので、かなりアメリカ社会文化が浸透している。彼らにとっては、言葉も通じるし自国通貨も使える、でも異国情緒満点(異国ですから!)のジャマイカは人気スポットのようだ。日本人が冬、沖縄に行くような感覚か・・。

オーチョリオスで10分停車。ジャーク屋なので、時間があれば買って持ち帰りたいのに、なんせ皆一斉にトイレを目指す。しかも入口に1列に並んで前の人から、が徹底されていない。急いでバスに戻ると、案の定、人数確認せずに出発。これだからうかうかしていられない。

オーチョリオスから今度は右折して内陸部に入り、国土を縦断する。両側はうっそうと茂る山間道路になった。切り立った崖っぷちは道路がくずれたまま補修されていない。もし、脱輪したらバスごとここを転がり落ちるんだろうな・・日本人らしき名前が1名・・なんてニュースになるのかな・・ドライバーの腕だけが頼り。窓は、飛び出た木の枝に触りながら進んでいく。

ジャマイカの内陸部は起伏に富んでいる。斜面に無秩序に家が建てられ、朽ち果てた空き家も多い。放棄されたと思いきや、財源不足で未完成の家に人が住んでいたりもする。お金がたまったら、また残りを建築始めるんだそうな。まあ日本じゃ考えられない。トタン屋根のいかにも貧しい家の隣には、ビバリーヒルズにありそうな円形アーチ型バルコニーの家があったり。ちぐはぐでよくわからん。

さらに2時間ほど走ってやっと町らしくなってきた。この国の車はほとんど全てが日本車だ。古い車種も最近のものも入り乱れて走っている。地理的にはアメリカの方がよっぽど近いのに不思議。予定を30分ほど遅れてやっとニューキングストンのバスターミナルに到着。ネームボードを逆さまに掲げてドライバー T が待っていた。バス遅れるわ、満席で4時間もかかったわ、とブツブツいうと、T 曰く「初めてだからそう思うかもしれないけど、自分はもう慣れた。昔はトラック運転してモベイとキングストンを1日2回往復してたもんだ。」えー、そうですか。何でもTはしばらく日本にいて、ちょうど1年前の今日、ジャマイカに戻ったそうな。

宿に着くと、オーナーの Y さんが出迎えてくれた。コテージ風の各部屋は金属の鉄格子のような門がドアの外側についている。窓にも鉄格子。キングストンに入って、道沿いの家々や店も皆そういうつくりだった。宿の敷地の正門は金属の塀とかぎ付き扉があり、しかも夜間は門番まで置いている。やっぱり、治安が悪いのね、厳重警戒だ。
ふたこと目には Y さん、「安宿なんで。」・・まあ、そんなに繰り返さなくても。確かにエアコンなし、天井のファンだけ、ベッドは白いシーツと枕だけの診察台みたいだけど、キッチン付でスペースはかなり広い。ユースホステルみたいな感じか。あとから入口目隠し用のシーツと、蚊取り線香、タオル1枚、石けんを持ってきてくれた。

今日は年に1度のレゲエコンサート " sting " の日。21:30には手配したバスで、宿の人みんな出かけるらしい。事前に打診されたけど、私は No,thank you. 大体帰りが朝の8:00じゃ、観光どころじゃない。明日は楽しみなブルーマウンテンに行くんだもん。
出かける前に Y さん、コーヒーと、手作りしたというジャマイカ風クリスマスケーキ(フルーツラムケーキ)を差し入れしてくれた。あらまあ、ごちそう様です。持ってきたパンとオレンジが夕食替わり。

とにかく暑くて汗ベタベタ。シャワーを浴びてさっぱり。こちらは網戸というものがないので、窓を開けられない。蚊取り線香が煙くてのどが痛い。上にかぶるものがないので、朝方寒くて起きた。寝冷えしたかな。
天井のファンを止めたら、耳元で虫がプーン。一晩中、もらった蚊取り線香をたいていたのに。仕方ないので、ファンを回し、重ね着して「診察台」に横になる。どうも今朝からのどがやたらと痛い。持ってきたトローチは昼間のうちになめ終わった。蚊取り線香の煙で余計ひりひり。

【 7 日 目 】

持ってきた残り物で朝食。ガスで湯を沸かし(今度はやかんがあった)、インスタントコーヒーを入れる。今日もいい天気。PF50+ の日焼け止めを毎日塗りたくっていても、自分が一段と黒くなったのがわかる。紫外線が強いなあ。

9:30出発。今日も T といっしょ。まずは、ブルーマウンテンにあるクレイトンコーヒー農場へ。元々は1805年建設のイギリスの農場主の邸宅でその名前がついているが、その後持ち主がいろいろ変わり、現在は UCC コーヒーの直営農場となっている。山道をくねくねと登って1時間ほど。高台にある建物に入ると、設立者の故上島忠雄氏の写真と「忍耐 努力 感謝」と書かれた額が目に入った。

しばらく待つとガイドがやってきた。ここで働くこと16年というベテランに額縁の漢字の意味が分かるか尋ねる。ちゃんと社員教育はなされているよう。まずは座学。ガイドの説明を聞いて、自分がコーヒー大好きなのに何も知らなかったことを実感。
コーヒーの木はたった2種類( Arabica, Robusta )。 Robusta は標高に関係なく栽培でき、あまり手がかからないが品質的には劣る。 Arabica はより高い標高で栽培でき、その中でも特に標高の高い(800-1200m)のこの一帯で栽培しているものだけが「ブルーマウンテン」ブランドとして売られている。収穫期はちょうど終わったばかり。最盛期には200人が手作業で収穫していく。その後天日干しに約1週間、脱穀してふるいにかける。このふるいがまたいろいろ段階があり、豆が大きすぎても小さすぎてもいけない。それから一般にミディアムローストがベストなんだそうな。もともとアメリカとジャマイカ政府の依頼で UCC がこの地方の技術援助に入ったらしい。

ブルマンは日本では高品質・高額なコーヒーとしてよく知られるが、日本以外ではそうでもない。それもそのはず。ブルマンの大半が日本に輸出されているのだから。一通り説明が終わると、女性が入れたてのブルマン100%コーヒーを持ってきた。うーん、いいですな・・本場ジャマイカに来てやっとまともなコーヒーを味わえた。高地のさらに高台にあるグレートハウスのテラスで、専属ガイドと友人のような T と、たった3人。キングストンの下界の喧噪を離れ、静寂の中を風が吹き抜けて涼しい。ついついおかわりして、3杯もコーヒーがぶ飲み。この建物は2階建てだが地下にもベッドルームがいくつかあったらしい。今は倉庫と化しているので見学不可。2階にもベッドルームが3部屋、どれもやたらと大きいバスルームがついている。マスターベッドルームのバスルームを覗いてびっくり。何だってこんなに大きいの・・中に部屋がもう一つ作れるじゃん。がらんとしたスペースにはかつてクロゼットがあったらしい。それにしてもまあ・・。

その後ガイドと2人で裏山のコーヒー農場へ。これがまた結構な上り坂。石畳なので足場は問題ないが、体が重い。いい運動だ。7年たったら、コーヒーの木をバッサリ切って、休ませるらしい。幼木は17か月すると実がなりだし、最初の収穫が最高品質なんだそうな。収穫で取り残した赤い実がまだあちこちにあるので、歩きながら「一つとっていいですか?」「実だけなら OK、でも茎は折らないように。」ということで、一粒そっともぎる。中を割ると豆が1対入っている。舐めると甘い。昔、コスタリカで初めてコーヒー農場の見学をしたっけ。でもあの時は他のお客さんもたくさんいて、今回のようにマンツーマンでいろいろ聞けなかった。

息が上がったところで頂上到着。上島氏が「招福亭」と名付けた展望台があり。上ると付近一帯が一望できる。向こうの山には教会、こっちの山のてっぺんには学校、なるほどね。「コーヒーの木の間にある木は何?」「バナナなんだけど、サンディのせいでだいぶやられた。」そうか、ついこの間、季節外れのハリケーン・サンディがジャマイカかすめてニューヨークに行ってとんでもない被害をもたらした。どおりで小さなバナナの木。本当はコーヒーの木の日よけに植えていて、農園作業者が自由にとっていいらしい。

山の中腹にはいかにも貧しい建物を見かけた。作業者は住み込みとのこと。音のする方を見ると、養蜂家のいでたちの人影。ここでブルーマウンテンハニーも生産しているとのこと。へえ、初耳。「あっち行って見てみてもいい?」と聞くと「とんでもない、刺されるよ。」と却下・・残念。同じ道を下って戻り、コーヒー豆の小さな袋を買った。さすがにお高めなので、自分の味見用。

この後、焙煎工場に行くかどうかで迷う。見たいけれど行くのにかなり時間がかかるらしい。ダメ元でガイドに聞いてみる。「焙煎しているところを見たいんですけど、ここではやらないんですか?」すると、何と「いや。今日やろうと思ったんだけど・ちょっと時間かかるかも。」「え、本当!やってやってお願い。焙煎工程を見たい。ここで見られれば、別のところに行かなくて済む。」「んじゃ、準備するからちょっと待ってて。」うわ~い!聞いてみるもんだ!

プライベートツアーは確かに高額だけれど、自分の好きなように時間やルートが決められるから便利。学ぶことも多いし、一度その良さを味わうとやめられない。しばらくして呼ばれたので、外に行くとプールわきの小さな小屋で、がらがらと焙煎機が働いていた。白衣を着たさっきのガイドの傍にかなり年代物の焙煎機、よく見ると「 KOBE JAPAN 」の文字、ありゃ日本製。15~20分すると香ばしい香りがしてきた。小さな取り出し口から時々中の豆を取り出して焙煎具合をチェック。「これはとても重要な工程なんだ。」確かに、焦がしたら大変。「じゃ、ここから熱い豆が出てくるから。」というので、ちょっと後ろに下がってカメラを構える。ふたを開けると、いい具合に焦げ茶色になった豆がざらざらを受け機にでてきた。1回で15kgを焙煎できる。自動でかきぜつつ、このまま明日の朝までほっといて冷却するんだそうな。なるほど・・いやー勉強になりました。

もう13:00、礼を言って急いで車に戻り、山道を下る。

from Ovservatory
from Ovservatory

写真

ドライバー T は待ちくたびれておなかペコペコらしい。中腹の食堂に入り、T お勧めの Brown Stewed chicken を注文。言ってみれば「骨付きチキンの煮込み、豆ごはん添え」。こちらでよく食べられるものらしい、上品な量で大食いにはいまいち足らん。

それにしても T は大の日本好き。すし・豚の生姜焼き・カレー・アサヒビールが好物らしい。日本の食べ物の中で何が一番好きかと聞かれて言葉に詰まる。うーん、そうねえ、まあ内臓系と揚げ物以外は何でも食べるけど、特に「これ」というものはないし、その時によって食べたいもの変わるし・・「まあ、私はおいしいパンとコーヒーがあれば満足なんだけど。」といったらあきれられた。典型的ないわゆる「楽天系 foreign guy 」の彼。日本にいると女性にもてるらしい。はあ、そうですか。はるばるブルーマウンテンに来ているのに、なんで日本の話ばかりなのよ。もっとジャマイカの案内をしてよ。

ランチの後、Port Royal へ。1655年にイギリスの植民地になってから、イギリス王室公認の海賊(それも不思議だけど)の本拠地として繁栄した港町。ところが1692年の大地震と津波で壊滅。当時の人口約6500人のうち、2000人が即死、その後3000人がそのときのけがや病気で亡くなったらしい。津波が町を襲った時の絵や、使われていた食器等が展示されている。

1907年にも地震があり、傾いたまま砂に埋もれている建物や、入口がほとんど土砂で埋まった大砲の台座跡が残されている。東日本大震災を思い出す。当時は復旧なんて土台無理なことだったろうし、今は海の真ん中にたっている目印まで町があったなんて信じられない。
ジャマイカで複数の人から、東日本大震災を経験して人生の考え方が変わったと聞いた。栄枯盛衰。忘れたころに自然の力を思い知らされ、その前にあえなく屈服するのは今も昔も同じ。人生は短い、最後はある日突然やってくるかも。やりたいことをやり残して、後で後悔しないように生きたいとは常々思う。

tilted after earthquake
tilted after earthquake

さて、今日のラストはメガマート。土産物をそろえねば。しかし、なかなか made in Jamaica が見つからない。大抵の菓子類はトリニダード&ドバゴやドミニカ産。個人的にはそっちの方が珍しいけど。そうそう、最後の夜だから地元産ビール Red Stripe も飲まなくちゃ。
あちこち歩き回ってやっとレジに並ぶと前の客が支払で手間取っている。大カートに山盛りの買い物をして JS$15,000を超えているのに、小額紙幣で払おうとして何十枚にもなり、店員が何度も数え直し。挙句の果てに、いくらか足りないといわれ、連れの人がバッグをかき回して見つけたお金を出してみたり・・やれやれ。

やっと自分の会計を済ませて駐車場に行くと待ちくたびれた T が大不機嫌。「何時間かかってるんだ、もう信じられない・・」って、すみませんねえ。前の客のことを話しても、むっつりして口もきかない。しかし、ここであきらめてはいかん!今晩食べるものが見つからなかった。普通この手のスーパーにありそうないわゆる「惣菜」がほとんどない。チキンの丸焼きを買っていくわけにはいかん。
「あの~、もう一つお願いがあるんだけど・・」むっつり T は3秒ぐらいして「何?」とぶっきらぼうに一言。「帰り道にどこかパティ屋さんあるかな・・最後だからパティ食べたいんだけど、もうしまっていたらいいけど・・」
ダメ元できくとちょうど目の前にあった。そそくさと中に入り、今だけ特価と外に書いてあったエビを注文すると、ないという。んじゃ、soy というと、なんかごにょごにょとよくわからん。奥から英語をまともに話す人が出てきて「ビーフ」と「チーズ」しかないという。仕方ないのでそれをひとつずつ買ってあわてて車に戻る。

外はもうだいぶ暗くなって、車が混雑してきた。 T は早く帰りたいのか、運転粗いし、黙ってほっとくことにする。しかしそれほどかからなくて宿に着いた。部屋の中は熱気がこもって暑い。汗でべたべたなのに、ずっとくしゃみと鼻水がひどい。のどの痛みはなくなったが、下をむくと流れるほどの鼻水は何年ぶり。買ってきたパティとビールで夕食を済ませ、荷物の整理。

【 8 日 目 】

あまりに寝汗を掻いたので、4:00前に起きて再シャワー。くしゃみと鼻水は相変わらず。時々咳もでるので熟睡できず。外はまだ真っ暗、月と星が出ている。満月がきれい。

急ハンドルで時々からだがゆすられる、道の凹凸がひどく、スピードそのままで避けようとするから、左右に急ハンドルを切ることになる。と、暗闇に何か動物・・?と思ったら豚!?しかも子牛ぐらいの大きさでパンパンに太って、何か食べていた。なんだって巨大ブタが真っ暗な道路で、残飯をあさっているわけ・・・??もう少しでぶつかりそうだったじゃん。ありえないことがいろいろ起こる。

ガタボコ道も空港手前1kmほどからがらりと変わる。きれいに舗装され、夜間に光るものが定距離で配置されて安心して乗ってられる。まあ、国際空港は国の顔ですからね。とりあえず周辺は整備しとかないと。

キングストンの空港はグローバル水準に達している。2階には土産物店や飲食店が軒を連ね、小さいながらも必要十分な施設が整っている。
使い残したジャマイカイドルを使い切らねば。まずは土産物屋。アキーの実の缶詰を見つけ、重いけど購入。これで日本に帰ってまた食べられる。その他もろもろ買い足し。
それから朝ごはん。モベイで U さんが教えてくれた Island Grill という店。この時間帯は朝食メニューしかない、仕方なくまた stewed chicken とフェスティバルを注文。最後に入った店でパティを一つ注文し、残りの半端なお金をじゃらじゃら見せて、これで買えるものがないか聞く。フルーツはどうかと、詰め合わせを持ってきたので了承。手元には75セントのみ。無駄なく使い切れてうれしい。ゲートに行くともうみんな搭乗している。マイアミ行は満席で出発。

ほぼ定刻に着いたが、ここからが問題。何と言ってもトランジットに1時間50分しかない。急げーと前行く人をすり抜けて入国審査へ。当然ながら長蛇の列。アメリカはこの状況何とかすべし!と言いたい。
やっと入国、税関諸々通り過ぎて今度はターミナル移動だって?よりにもよって一番遠いゲート!わき目も振らず、せかせか急ぐ、あー何とか間に合った。せっかく久しぶりのマイアミ空港なのに、ジュース一杯飲んでいる暇なし、ほんとにぎりちょん。機内に入ると、ほとんどの乗客が既に座っていた。日本だったら、「○○様いらっしゃいますか?」と出国審査場まで探しに来てくれるが、この国では間違ってもそんなことはない。
席に座るとどっと疲れがでた。機内の冷房が効きすぎて、またくしゃみと鼻水が止まらない。ダラスまで3時間、朝早かったこともあって爆睡。

到着前の機長アナウンス「ダラスの気温、4℃」・・え、そんなに寒いの?今午後、1時だけど・・・。機体を一歩降りた途端、冷気が襲う。荷物が出てくるのを待つ間に、公衆電話の場所確認。ちょうど歩いてきた空港職員に、ホテルに行くシャトルの乗り場を聞くと、「まずホテルに電話して、あなたが待っていることを伝えた方がいい。乗り場は下に降りて○○というサインのところ。外はとても寒いから。まず電話してから待った方がいい。」と親切に教えてくれた。
アメリカに来て英語がクリアに耳に入るようになった。ジャマイカ英語はパトワ語が混じって、人によって聞き取りにくい。スーツケースのふたをきちんと閉め、ホテルに電話して、ピックアップを頼む。15分くらいで行くとののこと。OK。
1階に降りて、外に出ると、寒風が体にしみる。何人か既に待っている人も首をすくめてじたんだを踏んでいる。どうでもいい車は頻繁に来るのに、わがホテルのシャトルよ、早く来てお願い、さぶいよ~・・・と、20分ぐらい待ったところでやっと来たー。

客は私一人、でも人のよさそうなお兄ちゃんドライバー。おしゃべりしながら10分ぐらいで到着。フロントが出てきてテキパクチェックイン。明日のシャトルの予約、共有パソコンのこと、朝食案内、部屋の位置、すべてがスムーズ。
部屋に入ると、既にヒーターが入っていて、あったかーい◎ ほっとする。コーヒーメーカーも冷蔵庫もレンジも壊れてない(当たり前か・・)、照明は十分、ベッドは大きくてふわふわ、タオルもアメニティも豊富。自分の常識が通じるところは楽だわ~。

時計を見ると14:30をまわっている。朝食の後は何も食べていないので、ランチ兼ディナーを探しに外に出る。食べるところは結構あるが、道の向こう側に行く気力なし。車はびゅんびゅん飛ばしているし、風も冷たい。結局近くの Vito's pizza でテイクアウト。シーフードが食べたくて、よく確認しないで注文したら意図しないものがでてきた。ピザのはずだったのに・・ま、とにかく紙袋に入ったものを持って、セブン-イレブンへ。飲み物を探していると手がやけに熱い。「ん?」とよく見ると、紙袋の底から染み出している。ありゃ・・飲み物もってレジにいき、「あのー、なんかこれ漏れてるみたいなんで、袋もらえます?」と、別の店で買ったもののためにちゃっかりビニール袋をもらう。レジのお兄ちゃん、「もっと大きいのもいる?」と二重にしてくれた。ありがとうー!

急いで部屋に戻り開けてみると、クリームソースがべっちゃり漏れて、ナプキンもべたべた、とんでもないことになっていた。あちこち拭き掃除しながら、「いただきまーす!」。ぷりぷりの大きなエビの入ったフィットチーネ。思いがけなくサラダもついてきた。ぺろりと平らげ、デザートはジャマイカから持ってきたスパイスパンと、さっきロビーからもらってきたコーヒー。満足満足。

食事の後はロビーわきのパソコンで明日のフライトのチェックイン。ついでに日本のニュースもチェック。ずっと情報ゼロだったので、世の中の動きがわからない。よしよし、重大事件は起こってませんな。

しかしまあ、鼻のまわりはかみすぎで真っ赤。ひりひり痛い。日本を出てから初めて湯船につかった。ごくらく、ごくらく・・清潔なバスルームにたっぷりのお湯。やはり快適さは重要。さっぱりして、荷物の整理をして、最後の夜は早めにお休みなさーい。

【 9 日 目 】

朝6:57チェックアウト、テーブルに座って7:00朝食開始を待つ。アメリカのホテル朝食に出てくるワッフルが好き。焼きあがりを待つ間に、他の物を取って準備。空港近くのホテルはどこも競争が激しいので、施設・サービスが整っていてうれしい。シャトルの時間7:30まで、まだ大丈夫、レストルームも清潔で、歯を磨くのに抵抗なし。ロビーに戻るともう車の用意ができていた。すばらしいー!乗客は自分だけ、珍しく何にもしゃべらない運転手。アメリカ/カナダではよくしゃべる運転手が老若男女問わず多い。前回は若いときに出した音楽CDの話になって、それを聞きながら空港にむかたっけ。まあそれもいい思い出だけど、今回はなんせ体調が悪いし、静かな方がいい。

ふと、右手後方、きれいな朝焼けに気が付いた。珍しい、ああ、きれい。体をねじりながらしばらくみとれる。何年か前、乗継でダラス空港にいた時の夕焼けを思い出した。機体の向こうに、本当に美しいサンセット、思わずカメラを取り出しガラス越しに何枚かとっていたら、隣にも同じように写真を撮っている人がいたっけ。1時間も待って見た有名なネグリルの夕日もいいけど、こうやってふとした瞬間の風景はいつまでも鮮やかに記憶に残る。「あの日、あの時、あの場所で」なのだ。

空港到着、無事にチェックイン。成田行きは珍しく空席があちこち。前の一列ががら空きで、移動を申し出て、ゆったり。機内は寒くて乾燥し、くしゃみと鼻水が全く止まらない。どこからこれだけの水分が出てくるんだというくらい。いちいちティッシュを出していたのでは間に合わない。隣が空いていてよかった。トイレットペーパーと、ゴミ入れ様の袋をおいてかみっぱなし・・ああ、しんど・・。

日本に着いたら、まず風邪薬だなあ。

出発前は現地の手配に不確定なことが多くて、本当に大丈夫なんだろうかと不安のままでかけた。しかし着いてみると、現地の日本人の方々の連携により!毎日毎日本当に実りある時間を過ごせた。高級リゾートに滞在していたら、知りえなかった現実も垣間見えた。関係者の皆様、本当にお世話になりました。

ツアープランナーからのコメント

いつもながらの読み応えのある旅行記、ありがとうございました!パーパス初のジャマイカ・・・というか、中南米の旅行記でとても貴重なものをありがとうございます。国が違えば文化が違う・・・当たり前のような事でも、身をもって体験すると色々深みがありますよね。今後とも、よろしくお願いいたします。

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