昨年(2012年)11月に、10歳の娘を持つ妻と結婚した。
娘とは養子縁組をし、戸籍上の親子となったが、繊細な年頃の女の子の父になるというのは簡単なことではない。常にどこか距離を置かれていて、警戒されているような状況が続いていた。
そんな我々の家族としての一体感を高めようと、思い切って休みを取り、娘の希望であるスイスとイタリアへ旅行に行くことを決意したのである。少し遅めだが、家族3人で行くハネムーンとも言えそうだ。
エミレイツでドバイを経由してチューリヒへ行ったのだが、エミレイツのサービスは事前に聞いていた通り、大変素晴らしかった。娘はたくさんもらった子供用のお土産や、充実した機内エンターテイメントにすっかりご満悦。エミレイツのキャビンアテンダントの帽子を被らせてもらったりするくらい気に入ったようだ。
スイスでは、ベルンを少し散策した後、グリンデルワルトに二泊した。
あいにくの雨模様だったが、壮大な山々と新鮮な空気、おいしいチーズ料理に、家族一同すっかり魅せられてしまった。
特に、雨の日に行った「トルメバッハの滝」は圧巻だった。
また、「トロットバイク」という、ペダルとサドルがない下り専用の自転車は最高だった。カウベルの音と我々家族三人のはしゃぎ声だけが響き渡る気持ちのいい空気の中、娘と「ヤッホー」と叫び笑い合う。幸せを絵に描いて額縁に入れたような瞬間だった。
登山列車もまるでアトラクションのようで、三人で興奮が冷めやらなかった。
おススメしていただいたレストランでチーズフォンデュやラクレット、ワインなどをとことん堪能した。
スイスは英語もよく通じ、パーパスジャパンの方から聞いていたように、とても温かい人が多い国だった。3人にとって初のヨーロッパの舞台として、あらゆる条件を満たしていた。
イタリアは、ミラノとフィレンツェ、ピサ、ローマを回った。
大雪も降っていたスイスと比べイタリアは真夏のように暑く、穏やかな人が多かったスイスと比べイタリアの人は情熱的で熱く、電車で2時間くらいしか離れていないところとは思えない対比ができた。
特にフィレンツェは街並みが非常に美しく、ドゥオモもの上から見下ろした風景やポンテベッキオの風景に、3人とも大変優雅な気分になった。ピサの斜塔では、娘が希望していた「手で斜塔を押さえる写真」をバッチリ撮ることができた。
スリやジプシーが多いと事前に教えていただいていたので、娘もかなり警戒し無事故で終わらせることもできた。突然やってきた花売りに対し、迷わず「NO!」と言う娘の姿に、親に驚いた(笑)。
今回の旅で不思議だったのは
道中、まったくケンカなどをしなかったことだ。異国の地でずっと寝食を共にして、時に助け合って過ごすことが、こんなに良いものだとは、行くまで想像しきれていなかった。間違いなくこの旅を通し、家族の絆がグッと強まったと思う。
娘もどんどん大きくなっていくので、3人で海外旅行に行く機会は今後そうそう多くないだろう。今回の旅の思い出を、いつまでも語り継いでいきたい。