ドクメンタと北ドイツの旅

期間:2012年8月11日~2012年8月17日
M.S 様

GON-000815

ドイツでは五年に一度、カッセルで「ドクメンタ」と呼ばれる現代アートのイベントが開催されます。以前から現代アートには興味があり、いつかいってみたいと思っていました。ちょうど前年にイタリアのヴェネチア・ヴィエンナーレにいったこともあり、3度目のドイツ行きを決意しました。あわせて、今回はまだいったことがない北ドイツを巡る旅にしました。

*トラブル続きの出発

出発当日、思わぬトラブルが発生しました。
今回ベルリンでクラシックコンサートにいく予定だったのですが、出発直前に主催者側の都合で中止とのメールが届きました。初めてヨーロッパで本場のオケが聞ける!と友人と楽しみにしていたのでかなりがっかりしました。

しかし、これはその後も続くトラブルの前奏曲にすぎませんでした。
飛行機に乗って出発を待ちましたが、予定時間を過ぎてもいっこうに飛び立つ気配がありません。なんと、計器の故障で離陸できないとのこと。そのまま2時間ほど機内で待機しましたが、結局復旧できずその日の飛行は断念。出発は翌日に持ち越しとなってしまいました。

その後は再入国手続きや移動、宿泊手続き等でさんざん待たされ、やっと浦安のホテルに落ち着いたのは深夜二時過ぎ。翌日も成田への移動、搭乗手続きでまたもやさんざん待たされ、最終的に成田を出発できたのは午後四時過ぎでした。
パリに到着したのは夜。すでにフランクフルトへの乗り継ぎは終了していたため、急遽パリでも一泊するはめに・・・

翌日の早朝パリを出発し、昼前にやっとフランクフルトに着きました。
これで一安心と思ったらここでまさかの三度目のトラブルが!空港からは直通の特急電車で最終目的地のカッセルまで移動の予定だったのですが、この電車が突然運休。やむを得ずフランクフルト経由で行くことになったのですが、これがまた駅の移動が大変&乗り換えの接続が悪いということで、体力と時間の大幅ロス。結局カッセルに到着したのはまるまる一日遅れでした。

旅行のトラブルは今までも経験したことがありましたが、ここまでたて続けにトラブルに巻き込まれたのはさすがに初めてでした。自分ひとりだったらとても対応できないところでしたが、パーパスさんのサポートのおかげでなんとか切り抜けることができました。手配をお願いしてほんとうによかったと思いました。

*カッセルのドクメンタ

思わぬトラブルで滞在が一日短くなってしまいましたが、気を取り直して、精力的にカッセルの街をまわりました。

ドクメンタの作品は町中に展示が散らばっています。全部鑑賞するのは時間的に無理なので、今回は作品が集中しているメインの会場のフリチリアヌム・カッセル駅周辺・現代美術館にターゲットを絞って見学をしました。

ドクメンタの作品は難解で観念的なのが特徴ときいていましたが、実際想像以上に手ごわかったです。海外の美術展では言葉の壁があるのは仕方のないことですが、それでも前年訪れたヴェネチア・ヴィエンナーレでは説明がなくとも見ただけで作品の意図がすっと理解できる作品がいくつもありました。ドクメンタではそのように感じられる作品はあまりなかったのですが、むしろいままで見たことのないタイプの作品がたくさんあり、非常に刺激を受けました。
今回は実質一日しか見学時間がとれなかったので、映像作品や参加型の作品の鑑賞はあきらめざるを得なかったことが非常に残念でした。できればまた五年後の開催の時に再訪して、今度こそゆっくり鑑賞したいと思いました。

また、カッセルの街は緩やかな丘陵地帯が続く緑豊かな街で、グリム兄弟の故郷でもあります。今回はドクメンタの見学だけでいっぱいいっぱいだったので、次は街の観光もしてみたいですね。

ドクメンタ
ドクメンタ

ドクメンタ(2)
ドクメンタ(2)

*ハンブルグ

次に訪れたのは北の大都市、ハンブルグです。
ハンブルグといえばブラームスの故郷。実は私はアマオケに所属しており、次回のコンサートの曲目がブラームスの交響曲だったというご縁もあったため、ハンブルグではコンサート成功祈願を兼ねてブラームス詣でをしようと決めていました。

北の港町と聞いていたので暗いイメージがあったハンブルグですが、実際訪れてみると夏ということもあり大変明るく開放的な街でした。港をぶらぶらお散歩した後行きかう船を眺めながらおいしいサバサンド+ビールでランチをしましたが、川を渡る風が大変心地よく、すっかりいい気分になりました。おかげで旅のトラブルのイライラもどこかにすっとんでしまいました(笑)

ランチの後はブラームス博物館・ライスハレ・ブラームス生誕地のモニュメントを巡り、楽器店や楽譜店ものぞいたりと音楽三昧の午後を過ごしました。(そのおかげか、その後のコンサートは大成功でした)

ハンブルグ
ハンブルグ

ブラームス博物館
ブラームス博物館

そしてミニチュアワンダーランドにいったのですが、ここが予想以上に楽しく、軽い気持ちでのぞくだけのつもりが結局半日も滞在してしまいました。ここは HO ゲージ(1/87)の鉄道模型をベースとしたジオラマテーマパークなのですが、その規模や作りこみが半端ないのです。

電車だけでなく車・船・飛行機も動いているし、風景の再現も大変細かく、日常生活はもとよりコンサートやオクトーバーフェストや殺人事件の現場も再現されています。あちこちにボタンが設置してあり、見学者がそれを押すとジオラマ内でアクションが起きる仕掛けになっているのですが、チョコレート工場のボタンを押すとほんとうにチョコレートが出てきたり、アメリカのスペースではスペースシャトルが飛んだりと芸が細かいのです。ドイツ人の几帳面さとこだわりがいかんなく発揮された素晴らしい場所でした(笑)。

隅々までみていたら一週間あっても足りないのではないでしょうか。しかもこちら、現在も拡張を続けており、最終的に完成するのは2020年の予定だそうです。ぜひ日本のエリアも作ってほしいです。

写真

*ベルリン

最後の訪問地はベルリンです。ベルリン訪問は2回目なので、今回は前回見学できなかったところを回りました。

今回一番の目的はフューラー・ブンカーの見学です。ベルリンの地下には第二次世界大戦前に作られた防空壕が眠っています。すでに老朽化し崩落して中に入れないところもありますが、一部は東西冷戦時に万が一の時のためのシェルターとして改築され、現在一般に公開されているところもあります。地下好きとしてははずせない場所でした。

いくつかのコースがあるのですが、説明がわかったほうがいいと係の人に言われたので英語のツアーに申し込みました。そのコースはシェルターとして改造された比較的新しい部分を見学するツアーでした。

最初に入ったところはいくつかの大部屋を通路でつないだようなところ。通路にガスマスクがおいてあったり、空気を循環させるための装置(なんと手動)があったりするのですが、それが妙に前時代的で不思議な感じがしました。途中地下鉄に乗り一番新しいといわれるシェルターに移動しましたが、地下鉄乗り場の横にあるドアをあけるといきなりシェルターに入るという作りにびっくりしました。現代の生活のすぐとなりに歴史の遺産が残っているのですね。

こちらのシェルターは新しい分リアルでした。入口には分厚い鉄扉があり、なぜか外にはシャワーが並んでいます。万が一核戦争になった場合はこのシェルターに避難するのですが、あとから来た人はシャワーをあびて放射能を安全基準まで落とさないと入れない仕組みになっているそうです。
シェルターの中には台所・キッチン・寝室と生活するための施設が一通りそろっていましたが、あまり広いとは言えません。有事には何百人単位の人がここに避難して何年も生活する計画だったそうですが、それはとても耐えがたいものだったでしょう。ここが使用されるような事態が起こらずに済んで、ほんとうによかったと思いました。

ベルリンは歴史に翻弄された街ですが、その地下にも暗くて複雑な歴史が眠っていました。しかし、それを隠さずに一般公開することによって、過去の歴史から逃げずに前に向かって進んでいこうとするベルリンの人々の心意気が伝わってくるような気がしました。想像以上に重いフューラー・ブンカーの見学ツアーでしたが、いってよかったと心から思いました。

他にはベルリンの壁や DDR 博物館などをまわりました。今回は冷戦時代にまつわる見学が多くなってしまいましたが、おかげで前回よりさらにベルリンという街を深く知ることができました。

ベルリンの壁
ベルリンの壁

今回のツアーレポはこれで終了ですが、ドイツははまると奥が深い!ということを実感した旅でもありました。まだまだ行きたいところがたくさんあるので、ドイツはまた訪れたいと思っています。

ツアープランナーからのコメント

2年越しの旅行記、ありがとうございます!トラブル続きで大変だったと思いますが、前向きに楽しんでいらっしゃって、良かったです。ドイツは地域によって全く違う顔を持つ国ですよね。奥が深いので、何度もお出かけいただきたいと思います♪

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