「諦めないで良かった!憧れのイタリア旅行」
イタリア旅行は、50歳を過ぎた頃から妹と「定年になったら時間も取れるし子供たちも大きくなっているから、ヨーロッパにでもゆっくり旅行したいね。」という話をしていて、行くなら芸術、文化に触れることができ、食事が美味しいイタリアに行きたいと夢を膨らませていました。
そして、念願のイタリア旅行を具体化しようと旅行社に行くと、日本からの添乗員が付いての旅行は、団体行動で、1日何時間も歩くものばかりでした。妹は高校生の時の病気が原因で、両下肢に障害が残り、歳と共に歩行能力が落ちていて、旅行を考えるようになった時には杖をついて、長距離の歩行は難しい状態になっていました。
添乗員付きの旅行は難しそうなので、個人旅行にして、現地でオプショナルツアーに参加しようと考え、旅行社に相談すると、現地のオプショナルツアーを企画している会社に問い合わせてくれたのですが、どのツアーも歩く距離が長く、参加は難しいとの回答があったと伝えられました。また同時に妹のような障害者が参加する障害者向けの旅行があると紹介されました。障害者向けの旅行は、車いすで参加できたり、荷物の運搬等の配慮もされているようでしたが、楽しみにしていた美術館には入らないプランで、楽しみが半減するような内容でした。
イタリア旅行を諦めかけていた時、たまたまインターネットで、「パーキンソン病の父親と個人旅行をし、楽しい旅行ができた。」という内容の旅行記を見つけ、それがパーパスジャパンという旅行社が細かくプランを考えてくれたという内容だったため、相談してみようと訪問したのがパーパスジャパンさんとの出会いのきっかけでした。
旅行の日程も決めて、具体的な話になった段階で、前述のような形で暗礁に乗り上げ、相談していた旅行社の旅行を取りやめることになったのが出発予定の40日前でしたので、今回は無理だろうと思っていたのですが、日数の無い中、綿密な行程を提案してもらいました。
また、二人とも語学には自信がなく、二人だけでローマ、フィレンツェ間を電車移動することにはとても不安がありましたが、現地の日本語ガイドさんがホテルと駅までの移動と電車の乗降もフォローしてくれるというプランで、現地の移動には車いすの手配もしてくれるという手厚く、細かい手配をしてもらいました。パーパスジャパンの芦村さんにはこの短期間で動いてくれ、しかも丁寧な行程表を作ってくれたので、安心して旅行に臨むことができました。
10月17日(金)
楽しみにしていたローマ空港に降り立ち、弾む気持ちで迎えの人が待っているはずの出口へ。
名前を書いた紙を持った人が待っているはずなのに「いない!」
途方に暮れ、慌てる二人。電話しようにも、どこももう閉まっている時間。気を取り直してもう一度探す。それらしい人が、何気なく立っていた!「良かった!」
30分ほど早く飛行機が到着したため、いなかったようだ。それにしても、出て来る人が少なくなっているのに、慌てたり、探したりする様子もなく携帯を見ながら、のんびりとした様子の迎えの運転手さんに、早くもイタリア人気質を感じた旅行の幕開けでした。
10月18日(土)
ベテランガイドの M さんがホテルの車椅子を借りてくれ、専用車で、ヴィットリアーノ、フォロ・ロマーノ、パラティーノの丘、凱旋門を回り、コロッセオへ。
紀元80年、日本の弥生時代にこのような壮大な競技場が造られ、娯楽のある生活をしていたということにビックリでした。
コロッセオには、景観を壊さない場所にエレベーターが設置してありました!
真実の口、パンテオン、トレヴィの泉、スペイン広場へ。
どこでも車椅子に乗っているために優先的に入場させて頂き、申し訳ないような思いと、イタリアの人たちの温かさに、ほっこりとした気持ちで過ごすことができました。
トレヴィの泉は改修中で、彫刻は近くで見られたけれど、本来の姿は無く、残念。「またローマに来られますように!」という願いを込めて、「簡易トレヴィの泉」にコインを投げました。トホホ・・・
夜は、カンツォーネを聴きながらイタリア料理を食べるという現地のオプショナルツアーに参加しました。ポルチーニ茸のパスタがとても美味しかったです。
集合場所へ行くのに、地図を手にした私たちが不安そうに見えたのでしょうか、日本から長期滞在でローマに来ているという日本人の男性が声をかけてくれ、集合場所まで連れて行ってくれました。
10月19日(日)
テルミニ駅から列車に乗り、フィレンツェへ。
電車を降りるとそこにはフィレンツェの日本語ガイドさんたちが車椅子を用意して待っていてくれました。フィレンツェは、駅を出てすぐ、美しさに思わず声をあげてしまうほど素敵な街でした。ローマだけで良いと思っていたのですが、フィレンツェへの小旅行を提案してもらって本当に良かったと思った瞬間でした。
ドゥオモ、ヴェッキオ橋を見て、ウフィツィ美術館へ。
念願の美術館は、車椅子でじっくり時間をかけて回ることができ、大満足でした。
最後に美味しいと評判の行列のできるジェラート屋さんでジェラートを食べ、フィレンツェでの観光が終わりました。
夜は、二人で夜のフィレンツェの街を散策し、ドゥオモ近くのピザ屋さんの屋外テラスでイタリアの人たちに交じって夕食にピザを食べたのも楽しい思い出になりました。
10月20日(月)
列車でローマへ戻る。
駅では障害者専用の相談窓口( SALABLU )があり、車いすで列車に乗降するための専用リフトの手配等をしてくれました。
ローマ観光2日目は、ヴァチカン博物館、サンピエトロ寺院へ。
システィーナ礼拝堂では、ひとつひとつ詳しい説明をしてもらいながら、ゆっくり見ることができました。サンピエトロ寺院は、壮大さに驚くと同時に荘厳でもありました。また、全体が美術館のようでもあり、ただただ驚きと感心で見入っていました。
10月21日(火)
最終日。近くのスーパーやショッピングモール、テルミニ駅周辺を散策。気さくな露天商の人や店員さんと、つたない英語やイタリア語でやりとりをし、(現地のイタリア人に美味しいワインについても教えてもらいました!)最後までイタリアを楽しみました。
空港へ。
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ローマは行く前は雨続きだったようですが、旅行中はずっと晴れて、夏のように暑い日が続きました。おかげで、車椅子を使っての旅行も困ることなく過ごすことができました。
イタリアは石畳が多く、車椅子で押すのは大変と聞いていましたが、何とかなりました。(石畳が大きく、ゴツゴツしているところは、大変かもしれませんが・・・)
個人旅行は初めてで不安もありましたが
日本語ガイドさん、専用車の運転手さん、現地の日本人、イタリア人と多くの方の手助けや、気さくな関わりで快適に過ごすことができました。また、素のイタリア人の温かさや気さくさや適当な緩さも感じることができました。これも個人旅行ならではのものだったと思います。
妹は、普段、外歩きには1本杖を使うのですが、旅行のように長距離の場合には車椅子が必要という障害です。団体旅行では周りの参加者に気兼ねしながらの旅になり(実際に相談すると断られましたが…)、障害者向けの旅行では内容に限界があると感じた今回の経験で、個人旅行を丁寧にプランニングしてくれるパーパスジャパンさんに出会い、「イタリア旅行を諦めないで良かった!!」と心から思いました。
今後もきっと、障害のある人にも寄り添って旅行を提供してくれると思われるパーパスジャパンさんはとても温かく、頼りになる良い旅行社だと感じました。
芦村さんには、細かいところまで気を配って手配して頂き、大変感謝しています。次回もまたよろしくお願いします。