L'andanaに泊まる ローマ~ミラノを巡る旅8日間

期間:2015年5月19日~2015年5月26日
A様ご夫妻

GON-000926

ローマ ― カスティリオーネ・デッラ・ペスカイヤ(ランダーナ) ― フィレンツェ ― ミラノ

当人72歳、妻68歳にして初めての海外旅行を計画。

最初に相談した旅行代理店では、(高齢者の)初めての海外旅行はとてもお勧めできない、絶対に添乗員付の団体ツアーをお勧めします、とのアドバイスを受ける。

強い不安を覚えながら、それでも自由な旅をしたいと、パーパスジャパンに相談。
「大丈夫です・・・何とかなりますよ」との心強い?言葉と、充分なサポートを貰えそうな気がして、個人旅行断行を決定。

ミラノ・ドゥオモより市街をのぞむ
ミラノ・ドゥオモより市街をのぞむ

1. 成田出発 ― ローマ到着

通路側に席を確保したこともあり、案じていたエコノミー症候群の問題もなく、無事に飛行。機上で窓から見たシベリア、そして北極の流氷は素晴らしい景観。

出発直前にローマ空港が火事との情報あったが、別のターミナルに着陸。空港に送迎車で出迎えてくれた多田さん、ホテルまで充分にケアしてくれ、まずは一息。

■ ホテルマスカーニ

比較的小規模ながら、家庭的で温かい雰囲気のホテル。夜はお腹もすいてないので近くの軽く食事できるレストランなどないかとフロントで調べてもらい、和食店も含めいくつかの店を探してくれ、親切に応対してくれた。

朝食にはホテル特製のレモングラスとミントのハーブティーを貰ってリフレッシュ、ウエイターの細やかなサービスなど、いずれも心温まるものだった。

2. システィーナ礼拝堂、サンピエトロ大聖堂

ツアー予約してあったため、待つことなく長い行列を避けて入館。当日は法王謁見の日で(毎週水曜日)謁見希望者の長い列があり、その分普段より館内は空いているとのこと、お蔭でゆっくり見学できた。

システィーナ礼拝堂は旅行中最も感動した場所だったが、それはひとえにオプションツアーのガイド(たしか名前は松沢さん)によるすばらしいガイドがあった為。彼女は歴史的、美術的な背景をよく勉強している人で、絵画に対する見識も相当なもの。終始その説明に感心しながら興味深く見学できた。ミケランジェロの天井画、最後の審判など、圧巻。

システィーナ礼拝堂中庭
システィーナ礼拝堂中庭

システィーナ礼拝堂内にある回廊。天面はきらびやかな天井画
システィーナ礼拝堂内にある回廊。天面はきらびやかな天井画

教えて貰ったシスティーナからの近道をすり抜けて行けたサン・ピエトロ大聖堂は、カトリック教会のヴァチカン総本山。全世界のカトリック教信者に君臨する大聖堂として遠大かつ重厚なる歴史とパワーを感じられ、カトリック系大学に縁あった小生としては感無量。ヴァチカン市内では凡そ千名ほどの人が働いているのだとか。

サン・ピエトロ大聖堂の先端クーポラは、ミケランジェロの設計による。クーポラ内部より見た天井壁
サン・ピエトロ大聖堂の先端クーポラは、ミケランジェロの設計による。クーポラ内部より見た天井壁

■ ローマでのランチ

ヴァチカンからナヴォナ広場へ向かう時、タクシー運転手にどこか軽い食事のできるレストランはないか聞いたところ、手軽でおいしい、と紹介してくれたナヴォナ広場のすぐ近くの小さなレストラン。お腹は空いてないので軽いものをと頼んだら、前菜料理4品ほどの盛り合わせを出してくれ、これがとてもおいしかった。店名は Ditirambo

ナヴォナ広場方面から、カンピドーリオの丘に向かう道路をそのまま横切って直進、すぐに右折したら右側にある。親子で経営かと思われる感じの家庭的な店で、その後の道案内にも親切に応じてくれた。タクシードライバーと店に感謝。

■ ホテルランダーナ

グラビア誌で見て以来憧憬の地であったトスカーナ州にあるホテルランダーナは、今回の旅行で最も期待する宿泊地。鉄道でローマ・テルミニ駅からグロセート駅まで、田園の車窓を眺めながら1時間40分。ホテルの送迎車で、交通渋滞、信号など一切ない田園の中を走行、ホテルまでおよそ20分。

ホテルの周りは果てしないブドウ畑とオリーブ畑で、その広大な敷地はすべてホテルの所有下にある。敷地内にはワイナリーもあり、牛の放牧も見られる。

ホテル敷地内の眺望。手前はブドウ園で奥はオリーブ畑
ホテル敷地内の眺望。手前はブドウ園で奥はオリーブ畑

敷地内のワイナリー。ワイナリーは他所にも幾つかあるらしい
敷地内のワイナリー。ワイナリーは他所にも幾つかあるらしい

バスルームには豪華な洗面台が2台、分かれて設置されている。浴槽は畳1.5枚分位の広さ。お湯を張って入ろうと試みたが、時間がかなりかかりそうで湯船に入るのは断念
バスルームには豪華な洗面台が2台、分かれて設置されている。浴槽は畳1.5枚分位の広さ。お湯を張って入ろうと試みたが、時間がかなりかかりそうで湯船に入るのは断念

ホテル入り口前の風景。敷地内では、朝5時よりスプリンクラーが 作動、芝や植栽に給水される
ホテル入り口前の風景。敷地内では、朝5時よりスプリンクラーが 作動、芝や植栽に給水される

室内は広く、ベッドルームとバスルームは分かれており、その間をつなぐ通路を兼ねた小部屋には整理棚やロッカー等が配置
室内は広く、ベッドルームとバスルームは分かれており、その間をつなぐ通路を兼ねた小部屋には整理棚やロッカー等が配置

■ 食事

お昼のランチと朝食は、レストラン La Villa の緑に囲まれたガーデン、夜は室内のレストランで食事。

幸い他のお客は少なく、ゆったりと食事が楽しめた。夜のメニューは、前菜を2品目取ったが、少食の我々はこれでほぼお腹は満たされ、その後のステーキは、2人で一人前を頼んでいたにも拘わらずもの凄いボリュームで、少しだけ口をつけてあとはギブアップ。

ワインはもちろん自家製で、昼夜それぞれ飲んだ赤は、共に最高。ワインに限らず、牛乳、バター、チーズ、ヨーグルト、牛肉、パン、オリーブなど、出される料理はすべてホテルの自家製にて、新鮮。オリーブオイルは秀逸と妻が言う。朝食で出されたふんわりチーズのリコッタ、我々が席についてから好みの量を聞いて作ってくれた出来立てのスクランブルエッグなど、いずれも忘れられない味。

緑の樹木に囲まれ、木漏れ日の中で見慣れぬ種の美しい鳥たちが、木々の間を飛び交いさえずる声を聴きながらの食事は、まさに至福のひと時でした。帰りはお土産にワインを数本、別送手配をホテルに依頼。ホテルの総支配人リカルド・オルトーニさんと東京での再会を約してホテルを後に。

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外に出て、ホテルの散策コースを説明してくれたフロントのスタッフ。サイクリング用の自転車もある。
外に出て、ホテルの散策コースを説明してくれたフロントのスタッフ。サイクリング用の自転車もある。

レストランのスタッフと。ヘップバーンに似た20歳の可愛い女の子。
レストランのスタッフと。ヘップバーンに似た20歳の可愛い女の子。

5. フィレンツェに向かう時

更に鉄道でグロセート駅からフィレンツェへ。

途中乗換のピサ駅での表示板で、我々の乗るフィレンツェ行の6分前に、全く別方面に行く列車が同じホームに来ることが判明。ダイヤが遅れたり順番が変わったりするのは普通にありそうなお国柄。間違えては大変と辺りを見回すも広いホームに駅員はいなく、近くにいた客に聞いてみたが相手はイタリア語で、懸命に説明してくれるが結局分からずじまい。

その内列車がドーッと滑り込んできて、どちらの列車か分からず大慌て。するとさきほど聞いた人がこれに乗れ!としきりに合図している。それを信じて飛び乗ったところ、次の駅でどうやら正解だったことが分り、ほっと一息。

結局心配していた通り、別の列車とは順番が入れ替わっていたわけで、あとで冷や汗。この時ばかりはこの旅行で最大の緊張であった。

6. ウフィッツィ美術館

日本で友人にぜひと勧められた美術館。予約のバウチャー入手済みも、色々な順番待ちの列があり、物凄い人の行列。

やっと並んだ列は予約なしの人の列ということが分り、ようやく予約窓口の列に移動して、なんとか他の行列よりは早めに入ることができた。プリマヴェーラやヴィーナスの誕生など、ダ・ヴィンチ、ボッチチェリ、ラファエロのなじみのルネッサンス美術を鑑賞。

7. St.Marks Church, デュエットオペラ

劇場オペラを見るのが一つの目標であったが、どこもスケジュールが合わず断念、代わりに教会や小ホールで開かれているミニコンサートがあり、その中の標記教会のコンサートを予約。

演奏内容については正直あまり期待していなかったが、当日のソプラノ、バリトン、ピアノ3名によるオペラアリアの演奏は、予想をはるかに上回るなかなかのものであった。特にバリトン(名は Massimo Naccarato )の歌唱はすばらしく、この国の音楽界のレベルと底知れぬ厚みを感じた。

8. タクシードライバー

上記コンサートへ行くときホテルでタクシーを依頼。多分帰りは教会でタクシーを頼むのは困難と思い、ドライバーにコンサート終了のxx時に再度来てほしいと頼んだところ、ウンと返事はくれたものの、ここに電話してくれと彼から渡されたカードは、前にも他のドライバーにもらったものと同じ、いわば不特定のタクシーコールセンターの電話番号。ここは前にも連絡して通じなかったので、この時点で、彼を期待するのはほぼ無理だなと内心あきらめる。

終了後一応そこに電話したが、予想通りまったく通ぜず。暗い夜で辺りはとてもタクシーを拾えるような場所ではなく、雨は降り、他に大勢の人も立ち往生している。 途方にくれていたところ、偶々タクシーが1台侵入。待ってましたと他のグループがすかさず捕まえて乗ろうとしたところ、タクシーは乗車拒否・・・よくよく見ると、さっき我々の乗った車のドライバーではないか。 急いで行ってみるとすぐにOK ― なんと彼は約束をちゃんと守り、その時間に来てくれたのである。

地獄で仏の思い、見知らぬ旅行客への彼の誠実な対応に大感激。

9. 中央市場

食材を扱う市場で、色々なイタリアの食品が並んでいる。しばらく歩いたら日本人女性二人の店員がいる店に遭遇。二人は元々イタリア料理の勉強にきた人で、もちろん料理にも詳しく、妻は喜んで料理法も含めて色々相談。自家用とお土産用に、珍しい食材を少しばかり購入。しばらくは我が家でもイタリア風料理が出そうな気配。

10. サンマルコ美術館、アカデミア美術館、メディチ・リッカルディ宮殿

サンマルコ美術館は朝一番で訪問、見物客は少なく嘘のような静けさの中で鑑賞。
薄暗い階段を上りきってふと頭を上げると、正面に突然現れた「受胎告知」(フラ・アンジェリコ)の壁画。中学時代美術史で見て憧れていた妻は、それを目の当りに見て大興奮。

一転、アカデミア美術館は物凄い人の行列、同様に場所を探していた米国人夫妻とチケットの窓口を求めてウロウロ。結局彼らはあきらめて夕方に再来するとか。

リッカルディ宮は、すばらしく豪華絢爛、メディチ家の隆盛ぶりを伺い知る。

「受胎告知」(フラ・アンジェリコ)の壁画
「受胎告知」(フラ・アンジェリコ)の壁画

リッカルディ宮内部の一室。壁面は壁画、天井画で埋め尽くされている。奥のスクリーンと両サイドに並べられた椅子は何かのレクチャーで使われたのだろう。ひどく無粋な存在
リッカルディ宮内部の一室。壁面は壁画、天井画で埋め尽くされている。奥のスクリーンと両サイドに並べられた椅子は何かのレクチャーで使われたのだろう。ひどく無粋な存在

アカデミア美術館内ミケランジェロのダヴィデ像。おそらくこれがこの美術館の人気の理由。周りはすごい人だかり
アカデミア美術館内ミケランジェロのダヴィデ像。おそらくこれがこの美術館の人気の理由。周りはすごい人だかり

11. ミラノへ

フィレンツェからミラノへ向かった鉄道は、イタリアの主要都市間を300km/h で走る快適なフレッチャロッサ。車内ではおやつにビスケットと飲み物が出される。

ミラノの玄関・中央駅は、20世紀に建てられたそうだが、古代ローマを思わせる建物。

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■ ドゥオーモ

ローマのサン・ピエトロのような大聖堂を、と君主が考え、500年以上を要して建造されたというゴシック様式の大聖堂ミラノ・ドゥオーモ。

ミラノに到着後ホテルから直行するもここも長蛇の列。念のため入場券売り場で聞いてみたら、館内全てに入れ72時間利用できるフリーパス券があり、それは優先的に入場させてくれるという。72時間は不要だがとりあえずそれを購入したらほとんど待たずに入場。

すべてが大理石でできた堅牢・豪華な建物で、この大理石を遠方から運んでくる為に、なんとミケランジェロはそれまではなかった川を新しく造成したのだとか。その川が今では生活用水としてこの都市になくてはならない存在だという。

最上階には、このドゥオーモの頂点に立ち市内を見下ろしているマリア像があり、市民を見守っているといわれている。

大聖堂に入ると丁度日曜日のミサで、たくさんの信者がこの聖堂に集まり、熱心に神父の説教に聞き入っている。館内に響きわたる透き通るような児童聖歌隊の歌声の中で、神父より子供たちに祝福を与える儀式が行われる。廷内に入れて貰い、しばらくの間信者に混じってミサを参観。なんともいえない荘厳で清らかな雰囲気に包まれる。

ドゥオーモの屋上にて。後ろの塔の先端がマリア像
ドゥオーモの屋上にて。後ろの塔の先端がマリア像

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ミラノ・ドウォーモの観光が終わり、すぐ近くのヴィットリオ・エマヌエーレ2世のガッレリア内アーケードにあるカフェでしばし休憩。
町の様子や行き交う人々を眺めながら、ゆっくり過ごすコーヒータイムは、また格別なひととき。

この辺りは一流ブランド店などおしゃれな店が並ぶ買い物スポット。ショッピングでおみやげなど購入。少し先にはイタリアオペラの殿堂、ミラノ・スカラ座がある。

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12. 帰国

ミラノ空港ではストが心配されたが、長距離のフライトは幸い影響なしとのこと。空港まで送迎車で送ってくれた現地ガイドのカワクラさん、途上めずらしい話や、空港での適切な案内と座席の予約など、色々とお世話になり、無事帰国の途についた。

機内ではとなりの席にいたのは竹刀を抱えた若い外人女性。聞くとトルコ人とのこと、武道館で開催される剣道の世界選手権大会に参加するのだそうで、ご本人は2段の腕前。日本語がとても上手で、お蔭で退屈せずに楽しい時間を過ごせた。12時間のフライトを無事終えて、成田に到着。

かくて初めてのイタリア旅行は、数限りないすばらしい思い出と共に終了。

おわりに

イタリアの駅は不思議なことに、改札がなく誰でも出入り自由、しかも乗車中にも検札はほとんど来ない。これでは無賃乗車はいとも簡単にできそう。不思議に思い、帰りの送迎車の途上カワクラさんに聞くと、イタリア人は幼い頃から教会に礼拝に行き、そこで幼少時より、陰で悪いことをしても聖堂のマリア様にいつも見られていますよと教えられ、それを信じているからだとの話。
イタリア市民にカトリック宗教は、倫理道徳を含めた基本的な教えとなって人々の心に深く沁みわたっていることを痛感。 振り返ってそのような拠り所のない自分を鑑み、羨ましく思う。

初めて訪れたイタリアの旅、それは、ローマ帝国から中世に至るイタリアの壮大なる歴史の重みをずっしりと感じさせるものであった。そしてカトリックはこの国の文化の中枢にあり、それは物凄いパワーとなって数多くのすばらしい芸術作品・建造物を産み、この地の溢れるような詩情を形作っているように思える。

イタリアの空は澄み渡ってきれいだった。 ローマのレストランで窓越しに見た夕暮のパステル風の青い空・淡いピンクの雲の色は、なんと美しかったことか!今でも忘れ得ぬすばらしい情景。

名所旧跡だけでなく、色々な場面で出会った人々との触れ合い、そして美しい自然との遭遇は、我々に旅の限りない喜びを与えてくれた。

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このすばらしい旅をすべてに渡り準備してくれたパーパスジャパンに感謝です。芦村さんには色々と細かいことまで対応して頂き、帰国前にはミラノ空港でストがあるとわざわざ国際電話をくれ、なにかとフォローをして頂きました。また迫田さんにはレストランや名所旧跡の詳しい情報をいただき、大いに助かりました。

また海外旅行の機会がありましたら、迷わずお願いしたいと思います。

ツアープランナーからのコメント

初めての海外旅行という事で、ご出発前は大分緊張されたことと思いますが、ご旅行記を拝読する限り、初めてとは思えないチャレンジに溢れた内容ですね。100%とはいえないまでもご覧になりたかったもの、体験されたかった事、沢山の収穫と思い出を得られたのではないでしょうか。微力ながらそんな旅のお手伝いができた事、大変嬉しく存じます。

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