ロンドン&コッツウォルズ地方滞在!イギリス周遊紀行10日間
期間:2015年4月29日~2015年5月8日
Y.S. 様
初めてのイギリス旅行、感想をまとめると:
(1) ロンドンは一言で言うなら、東京都と同じ。
公共交通機関がよく発達し、どこへ行っても人、人、人、皆せかせか。
(2) 喫煙者が多い、よってポイ捨てが目につく。
(3) 歩行者の信号無視当たり前。目の前を横切っても、車の運転手は文句を言わない・・
日本だったらクラクション+怒鳴られる
(4) 人にぶつかっても、基本的に何も言わない・・日本と同じ、アメリカならあり得ない
(5) 意外に時間に正確・・日本とかわらない
(6) 基本的にチップのやり取りがない・・旅行者には楽
(7) 他の英語圏(米・加・豪・新)に比べて、人種「区別」がない。
店員が多国籍外国人旅行者に慣れている。
(8) コッツウォルズは時間が止まったよう。ロンドンとは好対照、両極端。
(9) 犬連れが多い。レストランでも電車の中でもどこでも入ってくる。
(10) 変わりやすい天気は本当・・傘は必携。
「イギリスの食べ物はまずい」は間違い・・バラエティに富んでいるから選択可
(11) 円安で物価高。ロンドン市内のホテルは古い、狭い、高い。
日本のビジネスホテル並みかそれ以下の設備機能で、倍額~3倍の料金。
英語圏ながら、最後に残った国。大都会と人工美が苦手ゆえ、後回しになってしまった。ロンドンは基本的に予想した通り、でも意外な発見もあった旅だった。
4/29 (水)
ブリティッシュエアウェイズで一路ヒースローへ。機内は満席、12時間半のロングフライトにしてはミールサービスがやや貧弱。7-8時間のフライトと同じ内容。途中、隣の日本人ご夫婦の入国カード記入をヘルプ。娘さんがロンドンに暮らしていて、第一子を出産したので会いに行くらしい。それはそれは、楽しみですなあ・・入国審査が難所といって、ベビーの写真も用意、いざとなったら審査官に見せるのだと・・大丈夫、そんなに心配しなくても。なんとかなりますって。
空港発着便が多すぎとのことで、しばらく上空で旋回した後少し遅れて着陸。入国審査の長蛇の列。荷物を引き取り、ヒースローエクスプレスのカウンターで手続きして、電車に乗る。フランクフルト空港よりは構造がシンプルで新しく、あちこち行かなくて済んだ。パディントンまで20分、やはり日本もこのくらいに設計すべき。オリンピックまでに。
空港から都内に電車1本で30分以内、が常識です。それでもパディントンについたのは17:00過ぎ。日が長いのでまだ明るい。広い駅構内、でも見覚えのある(?)出口が目に入る。Google map 様様ですよ、生まれて初めての所でさえ、いつの間にかデジャブ。昔はホント大変だった・・迷わず歩いて hodes Hotel へ。
案内された部屋を見てがっかり。え?これスーペリアですか?半地下の薄暗い部屋。バスルームだけリノベーションしたのは明らか。シャワータワーがメタリックでやたらと斬新。説明されてもあちこち触って、とんでもないところから水が出てきてびっくり。湯の出し方、温度調節が斬新すぎて「何これ」。客室は古い&狭い。床の板張りは歩くたびに軋むし、ドアチェーンもない。窓の外は壁だから天気がわからない。曲がりくねった狭い廊下に無秩序に配列された客室。狭い土地に長年にわたり、建て増ししていったらこうなりました風のヨーロッパ典型例。防音も防火も関係なし。非常口なんてものはどこだかわからんし、配電盤の下に客用PCがあったり。上階の足音と隣室の音は全部響いてくる。まあ、古い友人宅に泊まっていると思うか・・ホテルの評判と HP だいぶ差がある・・
荷物をおいて、駅に引き返す。イギリスの伝統的 Cornish pie を見つけ、小さなスーパーで買い物。楽しみにしてきた pie、でもなんかいまいち。ビーフの肉じゃが、味は塩こしょう少々、外側の pie 生地はサクサクでいいんだけど。これがやたらと胃にもたれて、寝る前に胃薬飲み。
4/30 (木)
イギリスの朝食は遅い、このホテルは7:30から。ロンドンの真ん中にあるのに、ビジネス客は困るだろう。時間ぴったりに地下の小さなダイニングルームへ。普通のコンチネンタル、トーストは焼いてくれる。プレーンヨーグルトと切り身のグレープフルーツがおいしい。一番乗りだったけれど、すぐ5組ほどがやってきた。給仕は一人だから、誰かが English Breakfast を別に頼むと、もう手一杯。
さて、ロンドン観光の初めはバッキンガム宮殿。パディントンの地下鉄駅は、一昔前の東京みたい。タイル張りの壁、古い、低い天井。イギリス人は総じてそれほど身長が高くはないこと発見。Circle 線で真っ直ぐ Victoria で降りればいいと思っていたら、車内アナウンス、え?これ District 線だって?地図を見れば Circle 線とかぶっている。じゃあこのままでいいやと乗っていたら、High Street Kensington 駅でまたアナウンス、Victoria へ行くなら乗り換えろ・・え?頭混乱してあわてて降りてキョロキョロ・・日本との違いは駅員が構内に全くいないこと。近くにいた人に尋ねると次の電車が Victoriaへ行くと。はあ、ヤレヤレ・・全くいつもこうだ。方向音痴に加えてお上りさんの自分、たまに東京メトロに乗ると同じ事が起こる。自国でも他国でもキョロキョロ、ウロウロ、人に聞いてばかり。いつものことだ、と気をとりなおす。
Victoria 駅について、地上に出て、またまた人に聞きつつバッキンガム宮殿方面へ。市内はあちこち工事中で、地図上では迷うはずのない1本道が、あちこち入り組んで交差点が不規則。信号を渡ると方向がよくわからなくなる。
Royal Mews の開館まで少し時間があるので、先にオープンしていた付属の shop に入ってみた。土産類がこまごまと多種多様なのは日本そっくり。パッケージも高品質で繊細。日本人女性が好みそうだ。昨日、ホテルにチェックインした時、ハロッズだのショッピング街だの、聞きもしないのに地図上で説明してくれたっけ。全く予定外なのでスルーしたけど。大体、物価高のこのイギリス、Royal Mews の名前が入った薄っぺらな板チョコが日本円で¥1,000超ですから!
開館時間になり、ドアが開くのと同時に中へ。王室で使われた馬車が展示してある。さすがにどれも豪華。オーディオセットを聞きながら厩舎に入ってびっくり。今は使われていないみたいだけれど、ふわふわの干し草、1部屋(!)毎に馬の名前と生まれた年が書かれた立派なプレートがかかっている。柵も装飾され、馬特有の臭いは全くない・・馬具は一か所に集められ、専用の手入れ職人が革ロープを磨いていた。1頭1頭大切に飼われているのがよくわかる。馬の名前は女王が決めるんだそうな。ま、何ですな、次の世に人間以外に生まれ変わるとしたらイギリス王室の馬か犬がいいな。世界中で何百万人が、ここの馬以下の生活をしているんだろうと思うと複雑。
このあと、バッキンガム宮殿へ。衛兵交代式目当ての見物人が既にたくさん、フェンス周りはもう隙間がない。少し離れた記念碑の上で待っているとぞくぞく人が集まってくる。今日は風が冷たい。薄手のコートを着ても寒い、足元が冷える。手袋持ってくれば良かったかな。11:30ぐらいからやっと音楽が聞こえてきたが、遠すぎてよくわからん。子供を肩車する親やら、自撮り棒やらがじゃま。人が多くて身動き取れないし、「ざ~んねん」でした。これはネットの動画で見るのが正解かも。
早めに引き上げて、近くのパブへ。ウェイトレスとカウンター内に一人ずつしかいない。後から後から見物終わった客が押し寄せてきてあっという間に満席。ウェイトレスは後からやってきた客を優先させて、アイコンタクトを取ろうにも、これは完全無視と確信。1名客だからか、いずれにしてもこの人数を彼女一人では無理だ。待っていても時間の無駄なので、さっさと店を出て別の軽食店へ。メニューがしょぼいけど、Fish & Chips ならと注文。男性二人で切り盛りしているけど、若い方のお兄さんは見習い中か。いちいち支持されてマゴマゴ、何か心もとないなあ、大丈夫かな・・後から入ってきたアジア系の女性が隣に座った。彼女が注文しようとスタッフに「スミマセン」・・へ?あら日本人でしたか・・この人も一人旅かな。料理はレンジでチン、タラの衣がやたらと固い。グリーンピースも缶詰だわね。
さて午後は、Victoria 駅から Leicester 駅へ。London Pass を引き換えねば。このパスはうまく使えばお得だけれど、わざわざ地下鉄乗り継いで引換所に行って ID を見せる手間、なんとかならんか。無駄な時間と労力。事前に手に入れたければ有料で日本に送付って、それも何かね・・ と思っていたら、このカードの特色ゆえと分かった。各アトラクションでスキャンすれば履歴が分かるようになっている優れもの。へえ。アトラクションが多すぎて、1日の限度額もあり、紙ベースでは管理が難しい。うーん、であればもう少し引換所を増やせばいい。ロンドン市内でたった1か所というのが不便の元。空港はもちろん、主要駅にブースを設ければいいだけの話。
やっと pass を手に入れてすぐ駅に引き返す。まだ13:00か。この駅周辺は小さな店がごみごみとたくさん。ランチもう少し我慢して、こっちで食べればよかった・・どうも今日はついてない。
時間に余裕があるので、後日の予定だった大英博物館に行くことにする。ロンドンの地下鉄は、路線によって古い車両と新型車両が混在している。新型は日本とほぼ同じ。しかし古い方はその名の通り、天井が低いうえに、ドア付近が丸いからなおさら狭く圧迫感がある。ちょっと背がある人は、頭上注意。さて、やってきた列車に乗ってもなぜかドアが閉まらない。・・・と、アナウンス。何か聞き取れない。隣の客がそのまた隣の客に「アナウンス、何ですって?」と聞いている。何やら「乗客の一人が○○ですって」、とこの会話もノイズでよく聞き取れず、様子見。ま、誰か具合でも悪くなったのかな。急ぐ人は何人か降りて行った。どうしようと思っていたら、よかった動き出した。
2駅乗って、Holborn で下車。またまた人に聞きつつ、大英博へ。着いてみて、自分の思い込みと勘違いに気づく。よく白亜の正面入り口の写真が使われるが、これだけの大きな建物だから入口からだいぶ歩くのだと思っていた。実際は、フェンスの小さな入口からすぐ、そのフェンスは狭い道路に沿っているし、建物は薄汚れてグレーがかっている。小さな前庭はゴミが散乱、皆飲食してポイか・・何ですかねぇ・・マナーも清掃員もない。まあ、これだけの展示品で入場料無料、寄付でまかなっているのはわかるけど、途上国ならいざ知らず、大英帝国の誇りはいずこに・・
中も写真撮り放題、フラッシュたき放題、荷物検査もなし、学校の教科書に載っていたロゼッタストーン、ラムセスⅡの胸像が無造作とも思えるくらいに配置されていて、監視員もいないし、拍子ぬけ。あまりに無防備なので、最初レプリカかと思った。これほどの貴重な世界遺産、もう少し保護した方がいいのでは・・世界にはこういう偶像を嫌がる集団も大勢いるので。2Fのミイラコーナーは興味津々。人型の木棺にきちんと包帯巻々でおさめられたものから、粗末な木箱にそのまま入れられ骨がバラバラのものまで、いろいろなタイプ・サイズがあり、この人たちの人生はどんなだったろうと思いをはせる。また、リアルな人骨の前では、死亡後砂をかけて砂漠に置き去りにされたため、自然の高温乾燥でミイラ化した男性で、左肩を鋭利なナイフで刺された傷が原因で若くして亡くなったらしい。これこそ古代の法科学だと。たまたま居合わせたグループの英語説明員の話。使われたと推定されるナイフの写真も覗き見、へぇ、なるほどねぇ、面白い。さすがは大英帝国、品ぞろえが違う。本家のエジプトの国立考古学博物館は、これまた管理が行き届いていなかった。温度管理もなく説明も不十分で、粗末な箱がたくさん並んでいたっけ。
しかし、歩き疲れて足が痛い。座るところが全然足りない。外に出てソフトクリームで一息。今日はもう早めに帰ろう。人込みはホント苦手、それだけで疲れる。交通量も多いし、歩行者の信号無視にはびっくり。集団で赤信号を堂々と渡る。途中で車が動き出し、道の真ん中で立ち往生も。日本だったらクラクションの嵐だわよ、危ないじゃん。人にぶつかっても何も言わないし、後ろから押されるし・・いや~この2日間でイギリスのイメージは大転換だ。ソフトクリームのごみはちゃんとゴミ箱に捨てましたよ、当然。
ホテルに戻って、夕食は昨日買っておいた野菜とパン。部屋の冷蔵庫にこだわるのはこのため。もうじっとしていたい。明日から2泊3日のコッツウォルズ小旅行だし。荷物まとめなくちゃ。
5/1 (金)
7:30に1番乗りで朝食。ぼろ部屋の唯一の長所は、フロントとダイニングルームに近いこと。メニューは全く昨日と同じ。試しにコーヒーを注文してみたら、意外と普通においしい。ブリテッシュエアウェイズの薄いコーヒーに懲りたので、恐る恐るだったけど、普段コーヒー党なのでうれしい。チェックアウト時に、大きなスーツケースを預かってといったら、「そこ置いといて」って、いや「戻ってくるの明後日ですよ。」「えっ、明後日?名前は?」って、オイオイちゃんと管理してね。
Paddington は大きな駅。ホームが12もあって各方面の電車が発着する。電光掲示板を見て待つ。問題は出発ぎりぎりにならないとどのホームか表示されないこと。10分前になって表示されたとたん、乗客がわさわさ改札へ。各ホームの次2-3本をまとめて表示してくれればいいのに・・予約表示のない席に座る。4人で向き合ってテーブルを囲むような作り。後からどやどや人が乗り込んであっという間に満席。早めに動いてよかった。意外に時間に正確で、定刻発車。時間になると黙って動き出すから怖い。本当にこの電車で間違っていないか、あちこちキョロキョロして確認。日本の「この電車は○○時発、○○行です。」という出発前車内アナウンス、これは本当にいいサービスだと思う。他国では経験がない。モートンインマーシュまで1時間40分の旅。途中コックリコックリしながら、窓の外をぼーっと眺める。羊、馬、牛とのどかな田園風景。
11:00に定刻着。疑っていた英国鉄道、なかなかやるじゃん。バスが10分後にでるので、急いで外へ。しかし、バス乗り場がわからん。駅舎に戻り、窓口で聞こうとしたら係員は一人。アラビア語のお兄さんがトラぶっている。イライラして待って、もう11:05。待ちきれず後ろから係員にバス乗り場を聞く。言われた方向に行こうとしたら、同じ列車で着いてアメリカ人らしき乗客に「あなた、今、バス乗り場聞いたの?何の表示もないんだもの・・」そうですよねえ、あっちの方みたいだと言いつつ外へ、他にも数名ぞろぞろ後をついてきた。小さなバス停には、これまた小さな日本語の表示が・・それより「← BUS」の表示を駅舎内につけて。すぐバスがやってきて、40分ほどかけて Bourton-on-the –water 下車。ここからは Google map で何度も確認済み。
12:00に予約しておいた Mary’s Rest Tea Room へ。まだ誰も客がいない。今回はここが唯一アフタヌーンティーを楽しめる余裕がある。口コミ評判がダントツによいので楽しみにしてきた。アールグレイ紅茶と、スモークサーモンのサンドイッチ、キャロットケーキを選んで、出てきたものは・・・うーん、ちょっとイメージと違うなあ。紅茶はティーバッグ、皆が言うほど量が多いとは思わないし、だいたいアフタヌーンティーに何でポテトチップ(そう、袋入りの中身そのまま)が出てくるか・・? Clotted Cream は小さなパックに入った出来合いのものだし、ふたのシールをはがすと表面の水分が抜けて黄色くなっている。仕方ないから表面をナイフで剥ぎ取り、中身をスコーンに塗ってみた。店主の対応はいいんですけどねぇ・・・ と、次に入ってきた夫婦が犬を連れていてギョッ。とにかくここは犬連れが多い。今日の電車の中でも、隣の女性が黒いもこもこしたセーターかマフラーをわきに抱えているなと思ったら、いきなり動いてびっくりした。ネコ嫌いの私はイヌ派ではある。障碍者用の補助犬はよく訓練されているし、ご主人の目そのものだからどこでもいっしょにどうぞ。しかしながら、食事するところに一般の動物がいるのは不潔だと思う。犬は人間にじゃれ付き、ここの店主がその犬を触り、その手で料理をサーブするのだから気持ち悪い。だいたい、その犬にドッグフードまで持ってきた。やれやれ、彼らが私の後でよかった。
ともかくもお腹がいっぱいになったので、今日泊まるところに荷物を置きに行くと、入口はロックされ呼び鈴を鳴らしても応答なし。はあ・・まだちょっと早かったか・・仕方ないので、荷物を持ったまま周辺歩き。ホントにこじんまりしたところで、小さな店が軒を連ね、日本人らしき観光客もあちこちにいる。浅い川というか、用水路がメインストリートに沿って流れていて、カモがそこらじゅうにいる。川岸は芝生でベンチがあちこちにあり、お年寄りも多い。後で聞いたらここの住人は60-70%が退職した人らしい。ロンドンとは全く時間の流れが違う。地下鉄の人込みラッシュに疲れたので、ちょうどいい息抜き。
14:00をまわり、寒くなってきたのでまたホテルに行ってみる。今度は誰かいますように・・入口に赤い車が見えた。期待して呼び鈴を鳴らすと、ドアが開いた、よかった。名前を言って、中に入る。まるで個人宅を訪ねているよう。チェックインシートに記入して、部屋に荷物を置いて、サーブしてくれた紅茶をソファで頂く。ああ、やっとほっとした。そのうち、別の客がチェックインして同じところでお茶のみ。カップルの女性の方がサーブされたティーセットを写真に撮ろうとして「ちょっと失礼」というので、自分のトレイをどかしながら「私も同じことしましたよ。」と笑った。ねえ、皆考えること同じ。何かきれいなティーポットでサービスいいし、カップがないなと思ったら、同じガラのポットが上に乗っていたので一体化して見えていたし。彼女たちは、ウィンザーに住んでいて2時間かけて車で来たらしい。家族親類が多くて、何だか忙しく息抜きに3泊するそうな。日本から一人で来たといったら目をまるくして、「日本にも行きたいけど高い」、というので全面否定。いいえ、物価はここの半額です!
そのうち、さっきチェックインの受付した人とは違う女性が声をかけてきた。この人がマネージャー夫人か。この Villa のビジネスの話やら、付近の情報やら・・そうそう明後日のタクシーの予約を思い出し、お願いした。目の前で電話してくれ、日曜の朝1名というのがネックらしく、1件目に断られ、別のところに電話して、9:40で予約・・って、えっ?9:15と言ったでしょ。電車10:11で間に合いますか?・・ここから車で20分だと。ふーん、まあそう言うなら・・ぎりぎりバタバタはいやなのよね。遅れないでね。
で、彼女曰く、その時間帯は朝食つくりで自分も夫も忙しいので、支払いは前の日にしてくれと・・・「は?いやもう全て支払い済みですけど。」「何も記録ないけど。」・・はあ?またそういうトラブル?あわててバウチャーを示すと、記載の地元エージェント名を見て理解してくれた。ヤレヤレ、チェックイン時にもう私の名前がプリントされていたじゃない、支払い済みなのかこれからなのか、ちゃんと管理してよ。この手のトラブルは枚挙にいとまがない。大概は PCソフトのメカニカルエラーか、情報伝達ミスか、勘違いではある。こちらも慣れているが、それでも「またか」とうんざり。ひどい経験では、「払った、払ってない」の応酬で、相手がガンとして一歩も引かないので、一旦支払い、領収書を発行させ、帰国後に旅行会社に大クレームをつけたことがある。もうこうなると、「だからあれほど、バウチャーなり、支払い済みを証明するものはないのかと言ったでしょうが!」ということになる。基本的に「行けば大丈夫」とか、「向こうもわかっている」などということは、危険極まりない。カードも使えず、手持ちに支払いの現金がなかったらどうするのか?その場で国際電話をかけて、問題を報告するのか?
だいたい、海外では、係りのシフトが変わったらそれで終わりである。「自分は聞いてない、知らない」ということが過去に何度もあった。旅行会社にとって自分は、事前に細かいところまで気にするので厄介な客と思う。その意味ではパーパスさんはこれまでいろいろ対応してくれて、お世話になってきた。念には念を入れて、がリスクマネジメントと思うのである。
さて、今日は夕食に食べたいものがある。あらかじめチェックしておいた Chestnut へ。オーダーしようとすると、kitchen close だという。へ?Dinner は営業なしだって、ガーン。だって All Day Menu ってあるじゃない・・オイオイ。なんか、ボタンのかけ違いばかりの旅だなあ。どおりで店の店員が暇そうなのに、席についても呼ぶまでオーダーを取りに来なかったわけだ。今いる客が出て行ってくれれば、店を閉められるってわけ。明日は1日出かけて戻ってくるの夕方だし、ああ結局食べずじまいか。ここまで来て Italian だの Chinese だのいらない。世界中ほんとどこに行っても存在する代物。仕方なく入ったところは、これまた「ただ今サーブできるのは、これかこれ」状態。何だってまた Fish & Chips・・とほほ。内容・量は昨日のランチと全く同じだけれど、こちらは紅茶付で料金半額だから、まあ良しとするか。
Bourton on the Water
5/2 (土)
久しぶりに静かな夜、夕べはぐっすり眠れた。ロンドンのホテルの隣室は、夜中2時過ぎまで大音量TVだった。ロンドンよりさらに遅い朝食、8:30から。ラズベリー、ブラックベリー、ブルーベリーにプレーンヨーグルト、出来立てサクサククロワッサンも小さいけどおいしい。満足して食べていたら、さらにオーダーを取りに来た。そうか、温かいものも作ってくれるんだ、追加料金なし、これはうれしい。とりあえず、伝統的 Full English Breakfast にしてみよう。よく見かけるグリルドトマト、ソーセージ、ベーコンに卵焼き。ベーコンはかなり厚みがある。アメリカで朝食に食べられているものの3倍ぐらい厚そう、しかもかなり塩味が濃い。豆はついてこなかった。ふーん、ま、一度食べればいいか。コーヒーはよろしくない。フレンチプレスで入れるから、濁りが出る。これは苦手。明日は紅茶にしよう。朝からおなか一杯、やっとまともな食事ができた。
9:30、時間通り今日のガイド Jenny が迎えに来た。やはり客は一人だけ、観光シーズンにはちょっと早いんだそうな。2名分支払わなければいけないけど、専用車に専属ガイド、予算さえ許せば全部これにしたいくらい。今日は一日かけて、いろいろな村をまわる。 Jenny は地元出身で個人でツアー会社を経営している。きっと何でも知っている。 Lower Slaughter - Upper Slaughter – Bibury – Eastleach – Burford - Stow-on-the –Wold が主なところ。 Slaughter の名前の意味、2007年の大洪水、羊毛産業で発達したこの地方の歴史、宗教対立等など。イギリスの歴史については、勉強不足で、ノルマンディー人から始まり、ヘンリー○世やらリチャード○世がどうしたこうしたといわれても頭がついていかない。年代から、その頃日本は○○時代のころだと思いをはせる。ロンドンからの日本語日帰りツアーはいくらでもある。しかし、大型バスで行けるところだけ行っても、ガイドブックを見れば分かるし、よく見かける「かわいい、はちみつ色の街並み」という表現はあまりに短絡的だ。今回いろいろ、「へぇ」発見があった。
まず、現代イギリス人は思っていたより religious ではない。どの集落にも教会はあるが日曜礼拝は個人の問題、過半数は火葬らしい。へぇ!都会ならともかく、こういう集落はさぞかし保守的と思ったのに。レンガの色は村によって特徴的、淡いクリーム色から茶系まで、鉄分の割合によって違うらしい。色が濃くなるほど鉄分が多くもろいそうな。液体を垂らしたような跡は、タイガーアイのように石の模様でそこだけ成分が違うって、へぇ!建物に不規則に木材が塗り込められているのは、かつて入口か窓枠だったところ。後世にドアを付け直したりして、今の出口や窓の位置とちぐはぐになっている。経年劣化の補修は、必ずその部分だけ。よく見ると表面だけレンガの作りが違うところがある。後世になって、ガラスが安価になり、庶民でも手に入るようになってガラス窓とその周りのレンガ1層分だけ付け替えたかららしい。あちこちにある壁のX字の金属は何のマークか聞いたら、2つの建物を内部でくっつける際に補強のためつけたものらしい、へぇ!
Bibury は出発前にどうしても行きたいとリクエストしていたところ。 Jenny 曰く、そんなに特徴もないけれど、なぜか「あなたの国」の人は好きなのよね・・って、典型的日本人の自分に苦笑い。だって日本のガイドブックやツアーには必ず出てくるし、写真を見る限りいい感じ。なぜここが人気なのかこっちが聞きたいと言って、彼女の話の中で出てきた有力説は、大型バスが駐車可能であること・・それだきっと!大体、ゆったり駐車場があるところ他にないもの。しかも、コーヒーショップに土産店も。マスの養殖場見学は有料で、日本語の注意表示もあり。ちょっと日本語が変でしたけどね・・アジア系の観光客しかも団体に会ったのは、 Bourton-on- the- water 以外はここだけ。日本人、中国人、韓国人、インド人・・
ここにある家々は、かつて羊毛職人が住んでいた住居兼仕事場だったらしい。今は地元の人に賃貸されているらしいが、年中観光客が入れ代わり立ち代わり写真撮り、そぞろ歩くって状態。どんな人がこんなところに住みたいと思うのか・・ Jenny に聞いても肩をすくめてた。家の窓から覗くなと、以前苦情があったらしい。まあ、だってフェンスも何もないし、窓でも壁でも触り放題、お宅の玄関先にいつも知らない人がもたれて写真撮ってるって、どうよ・・で、奥に泊まっていた1台の車が「 World Famous 」らしい。写真を撮ると、どうしても映り込んで景観を損ねるからどうにかならないか、と地元で騒ぎになったらしい。Jenny 曰く2,3年前に買ったらしく、いつ来ても同じ場所に止まっている。なるほど目立つ、この古い家並みにちぐはぐな真っ黄色の車。持ち主にすれば「自宅前に自分の車を止めて、何が悪い。」というところなんでしょう・・きっと夜の仕事か、退職しているか。ま、どこの世界もいろいろありますな。
ランチの場所、Burford は比較的大きな街。車も観光客も多い。建物は、Jenny 曰く「 Nothing straight 」、全くねぇ・・何か皆かしいだり、ゆがんだり、でっぱったり・・・ありえない。災害復旧の後ですかって外観・・ネパールの状況は他人ごとではないのでは?と言うと、ここの石はもっと頑丈にできているから大丈夫と。まあねぇ・・でも石垣はどう見ても隙間だらけだわよ。2階の三角屋根はそれ自体が、かしいで隣に寄りかかっているし・・
ランチは伝統的なものが食べたいと言い続け、ハイストリート沿いのレストランを片っ端から2人でメニューチェック。チキンカレー?バーガー?やめて。却下ばかりで、道の両側の店1軒ずつ全部見てあきらめムード。あと1件となり、路地を曲がったところパブ「 The Royal Oaks 」に入ってみた。Jennyの勧めたチキンとマシュルームのパイ、これが大当たり。ホームメイドの大きなパイにグレービーソースがかかり、太くこんがり揚げたチップス、インゲンとアスパラガスも鮮やかなグリーンで歯ごたえよろし。レンジでチンではない、熱々のパブランチ。これを求めていたのよ、2日前から。表通りの店ほど混雑していないし、店内はゆったり、トイレはきれい。 Jenny も気に入ったみたい、また来るって、よかった。いくらプライベートツアーでも町中のレストランひっぱりまわして遅い時間になったから。ラストチョイスでハッピーエンドでした。
村と村の間は、なだらかに広がる丘陵地帯に羊がてんてん・・いかにもイギリスらしい風景。でもね、これ皆肉用らしい。人間はおそろしい。ガイドに言われなければわからないこと、たくさん。真っ黄色のじゅうたんは菜の花畑。かなりぞっくり伸びきっている。このまま7-8月までほっといて、菜種油をとるんだそうな、へぇ。かなりの量になるでしょう。輸出より自国内消費にまわるらしい。
17:30時間通りホテルに戻って、Jenny とお別れ。いろいろ勉強になった貴重な一日。お世話様でした。部屋に戻って、がっかり。タオルが交換されていない。2泊だからか・・そんなことどこにも書いてないし、最初に言ってくれればいいのに。この時間帯、マネージャー夫妻の姿ないし。仕方ないから、生乾きのタオルをヒーターにかけて乾かす。夜になると、バスルームのヒーターが作動するから・・なんですかねぇ・・どうも full 満足とはいきません。一晩だけだから我慢したけど。
5/3 (日)
ちょっと早めに下に降りていくと、まだドアが閉まっていて、先にイギリス人の年配夫婦が隣のリビングで待っていた。挨拶して、ソファの隣に座ると、奥さんが新聞を指して「生まれたわよ。」って、おお!ついにプリンセス誕生しましたか・・昨日だったみたい。大きな写真が新聞の一面に載っている。だいぶ予定日を過ぎていたもんね。まだ名前は決まってないらしい。
今日もたっぷり朝ごはん。今日は紅茶にしてみた。やはりご当地ものがおいしくできている。スクランブルエッグとスモークサーモンを注文したら、かなりこじんまりだったので、その分クロワッサンを食べておなかパンパン。
外は霧雨、昨日でなくてよかった。今日は移動日。気がかりはタクシーが時間通りに来てくれるか・・と心配していたら少し早めに来てくれた。マネージャーご主人に支払いを促され、えっ、また?だからもう、支払いしたってば!奥さんに確認して納得。やれやれ全く、頼むよ、ほんと。
インド系のお兄さん運転手、一言も話さず雨の中をすっとばす。駅に着けば、黙ってメータを指差す。ヤレヤレ・・まあ、だいたい運転手とか、ホテルのルームクリーニングとか、個人経営の雑貨屋の店主は移民が多い。経済構造上、どの国もそういう傾向にある。定例型以外はろくに言語が通じないことはしばしば、その国に住んで仕事をしていてもである。日本も少子高齢化の労働力不足をどう補うか・・単純労働で移民を受け入れるとこうなるのかな。さっきの運転手、端数の料金だったので、紙幣を渡しおつりはいいと言ったら、初めて「 Thank you! Have a nice day! 」だってさ!答える気にもならん。
駅舎はクローズ。え?日曜だから?傍でたばこを吸っていた白人男性が「閉まってるよ。切符は電車の中で買えるから。」と教えてくれた。切符はもう持っているけど、この国に来てちょっと感じるのは他の英語圏の国にはない寛容さ。他の英語圏では、何かガラスの壁を感じることが多い。聞かなければ誰も教えてくれないし、アジア人に対する上から目線、「自分たちと同じようにふるまって当然、できないのは劣っているから」という無言の圧力を感じることが多い。ここの人種の多様性は観光客も住人も、正に「るつぼ」。注文にまごつくと、すぐイライラするアメリカ人とは大違い。
ロンドン Paddington まで2時間。 Oxford で降りる人多し。こんなところで大学生活ってどうなんだろうと想像してみる。12:00ちょっと過ぎに到着。ホテルに行くと、案の定まだ部屋の準備ができていない。荷物だけ預けて、ランチへ。午前中何もしていないのに食べてばかり。レバノン料理店でラムシュワルマとファラフェル。やっぱりこっちの方がおいしいな。13:30にホテルに戻ると今度は OK.入口に立っていた男性と目が合う・・ん?どこかで見たような・・あ!朝食の給仕の彼だ。向こうも気づいてくれた。今回の部屋は別の建物だというので、彼に案内してもらう。って、隣じゃない、歩く歩く・・え?こんなに離れているの?しかも狭い階段上がる上がる。3階って聞いたけど・・息が切れたところでやっと到着。
我が家より狭い階段と間取り。建物の真ん中に螺旋階段を作るからこうなる。階段の踊り場にドアがあり、何かと思えばトイレ!客室ドアは我が家のドアよりちゃちいから、隣室の会話は音が聞こえるどころか、内容の理解可能。ドアというより、木板を持ってきて、鍵穴をドリルで開けて取り付け、ホームセンターに売っている引き出し用の金属取っ手をネジで止めました状態。はあ・・すごいね、笑える。このホテル、足腰弱い人はやめた方がいい。間違ってもヒールをはかないこと、階段が狭くてつま先しか乗らない、転げ落ちます。外を見れば、地上から5階の高さにあるのに、これで3階というか。地震火事、何も起こりませんように。部屋の内装は、前回よりずっと新しい。シャワー設備はごく普通、こういうものは普通が一番。フロントで、前回より広いからと言われちょっと期待して中に入って・・うーん、まあ日本のビジネスホテル並み。スーツケースをむりやり開けると足の踏み場がない。サイドテーブルは入院ベッドのわきにありそうなもの。
今日予定していた大英博はもう行ったから、午後は Bakarloo 線でロンドンアイまで明日の下見。今度の部屋は、毎朝朝食のために元の建物まで歩いて行かねばならない。明日は食べてそのまま出かけないと時間的にきつい。ツアー集合場所が不安・・で、行って見てよかった。教えてもらった出口の目印は Waterloo 鉄道駅の話であって、地下鉄駅の出口には店はない。キョロキョロしながら係員に聞くと、かったるそうにブツブツ・・はっきり話してくれなきゃ分からん!と2度聞きして外へ。鉄道駅でも地下鉄駅でも、そろいの蛍光ジャケットを着ている係員は、どういうわけか皆黒人。滞在中見た限り、どの駅も例外なし。何か聞いてもぼそぼそそっけないか、よくわからないのか、ろくな対応ではない。ここにも職業分離の例がみえる。
地図を片手に集合場所をチェック。ロンドンアイを眺めつつ、ウェストミンスターブリッジをわたり、Big Ben にご対面。しかし、この人の波、観光客でごった返す橋の上。さすがに壮大な国会議事堂、これを見るために世界中からやってくる人たち。 Westminster 駅から Circle 線で Paddington へ。前に学習したので、気を付けて。 District 線と同じラインだから電車を選んで乗り込む。この車両は新しく、きれいだし天井も高く日本と同じくらい。時々地上を走るので、地下鉄なんだか電車なんだかよくわからない。途中で一時停止した時は「今度は何?」とギョッ。信号が変わらないので停止しているとアナウンス。しばらくして今度は「理由はわからないけれど、グリーンになったから発車します。」って。何があるかわからないから、明日は早めに出よう。
5/4 (月)
今日はイギリスの祝日。さすがに祝日の朝8時前に地下鉄に乗っている人はまばら。昨日の下見のおかげで迷わず Waterloo 駅へ。ロンドンのトイレは有料が多い。ヨーロッパでは普通だが、めんどくさい。個人的には切符に転嫁している日本のシステムの方が効率的だと思う。有料だから、監視員がトイレの入口に常駐しているわけで(これも黒人)、その時間と労力を別の所にかけた方がいい。支払いは、限られた種類のコインしか受け付けないシステムなので、小銭を作るために余計な買い物。やれやれ。教わった集合場所でバスを待つが、やってくる様子がない。今日のツアー会社のHPに書いてあった場所は、教わったところとちょっと違うのよね・・と、通りの端っこに止まったバスが気になる。HP を信じるとあの位置が正しい。歩いていくと、そうだった。既にほぼ満席状態。
English Bus の Stonehenge & Bath ツアー。他のツアーに比べて結構割高で、しかも Stonehenge への入場料は別途支払い。少人数であることと、評判が良いのでここにした。結果的には・・少人数とはいえ、小型バスにほぼ満員。運転手+ガイド+乗客14名(アメリカ・オーストラリア・チリ・ブラジルと自分)。ガイドの知識は豊富だが、段取りがいまいち。停車時間、集合場所、トイレの場所、ランドマーク等説明がないから、皆がバスを降りてから個々に五月雨式に尋ねる。こういうことの説明は、それぞれのポイントに着く前にバスの中で済ませるべし。だいたい朝から1名来ない客がいて、15分遅れで出発。これに加えて、祝日渋滞にあちこちではまり、午前中はせかされ、ホテルに戻ったのは21:00過ぎ。祝日渋滞なんて、毎年のことで分かりきっているはず、いいわけにはならない。
このツアーの売りは「 secret place 」を訪ねること。今日はなぜか、午前中1番目にここを訪問。天気の良かった午前中がこれでつぶれ、最後のストーンヘンジに着いたのが遅くなり、ひどい雨に降られた。ストーンヘンジは天気以前に、混雑を避けて午前中に訪問が鉄則なのに・・ HP のスケジュール通りなら問題はなかったのに。自分は傘を持って行ってたから良いが、アメリカからの一人旅の女性はホテルにおいてきてしまったと、かなり濡れそぼっていた。バスに予備傘でもあるかと思えばそうでもないし。ガイドの力量って知識だけではない。説明は数をこなせば、立て板に水になるのは当たり前。ツアーのマネジメント能力が大切。バースで時間があったので、このガイド氏に聞いてみたらキャリアはそんなに長くないらしい。さもありなん。元々ミュージシャンで日本にも行ったことがあるらしい・・そうですか。
Secret place は口止めされているからここでは触れないが、別のツアーではきちんと明記してあるものもあるので、休憩場所としては位置的に便利かも。しかし、あくまでこのツアーの目的はストーンヘンジとバースですから。そちらをおろそかにしてまで、ことさら secret を強調する必要もなし。夜遅くなっても、ホテルまでは送ってくれないから、ある程度ロンドンの地下鉄に慣れてからこのツアーに参加した方がよい。他の大型バスツアーはもっとひどいのかな・・コスパ的には満足には程遠い。これで評判がいいのが不思議。もっと少人数だったか、さもなければ他のもっとよくできたツアーを知らないか、どちらかだろう。
夜道を歩いてやっとホテルに着く。と、建物の入り口に見覚えのある人が・・朝食給仕の彼である。あらまあ、よく会うこと。傘を差し荷物を持って、入口のカギがガタついてなかなかあかない。もたもたしていたら、彼が自分のカギで開けてくれた。ありがとう。あまり英語は得意でない彼、でも誠実な仕事ぶりと人柄がうかがえる。後で漏れ聞いたところによると、ギリシャ出身らしい。長い1日の唯一の救い。お休みなさい、また明日。
Stonehenge
5/5 (火)
起きてみてびっくり。机の上に置いたものが濡れている。何かこぼれたかと中をみても??もしかしてと、天井を見上げるとしみが・・雨漏りだ。夕べ降っていたもんね、ああなんてこと。大した量ではないけれど、やっぱり欠陥建築物だ。7:30朝食。今日は人がいない。ギリシャの彼と苦労してコミュニケーション。いつも大体混むのは8時過ぎ、でも日によって1度に大勢来てパニックになること、父母と家族でキッチンをまかなっていることなどなど・・
今日はあわてず、8:30すぎに出発。まずは Westminster 駅まで。District 線は3本も通過して、やっと Circle 線がきた。Westminster 寺院について驚いた。開館10分前で、この行列。入口からずっと列がのび、なんと最期尾が敷地の門から外に出ている。時間になってもなかなか動かない。今日は風が強く、目にゴミが入るし、くしゃみは出るし。そのうち係員が列の中から人を選んで別の入り口に誘導している。これはきっと・・と予期して首から下げたロンドンパスをよく見えるようにしたら、案の定選ばれてすぐ中に入れた。並ぶ前に聞いたときは、パス保持者もこの長い列に並べとのことだったんですけどね。オーディオセットをかりて、番号順にまわる。
しかし、何ですな・・ここは寺院である。ダイアナ妃の葬儀もここ。「寺」、そうご遺体の集合安置場所。どこもかしこも、王族のひつぎとその上に生前の形をした像が胸の上で両手を合わせて横たわっている。夫とその妻が並んでいるが、夫の方がどれも奥側でちょっと高めの位置。歴史的美術的価値もあるだろうが、歩いているうちにだんだん重苦しくなってくる。ぽっかり空いている段は、次の方用か。世界中で教会を見てきて、もう結構という心境。人間いつかは死ぬさ。どんなに偉くても・・一通り見て、隣のジュエルタワーへ。ここは拍子抜け。それほど見るものもない小さな塔。
予定よりずいぶん早いので、明日の予定のクルーズに向かう。朝の霧雨がやんで、強風だけれど雲の切れ間にやや青空あり。明日の天気の保証はない。雨の降らないうちに、Westminster Pier から Tower Pier まで11:00の出航にぎりぎり間に合った。ロンドンアイをテムズ川から眺め、川の両側の建物や橋についてコメンターがつく。ちょっとした息抜き。だんだん近づいてくるタワーブリッジ、ロンドン塔、ベルファスト号、素晴らしい眺め。あらためて、自分が今イギリスにいるのだと実感。
船を降りてから、タワーブリッジを歩いて対岸へ。ちょうど12:00。お目当てのパブランチ。伝統的な Shepherd’s pie と chips 、ギネスビールにした。なかなかタイミングが合わなくて飲めなかったビール、普段飲まないのでこれが最初で最後。Chips より半パイントのビールの方が安いのね、へぇ。ちゃんと冷えたものが出てきた。パイは・・ミートソースの具材(ひき肉・グリーンピース・にんじん)の上にマッシュポテトを置き、上からチーズでふたをしてオーブンで焼いたもの。まあ、一度試せばいいかな。
Tower of London
Tower Bridge
午後の予定を変更。川を渡るのは結構距離があると学習。明日また橋を歩かなくて済むよう、これから HMS ベルファスト号に行こう。第二次世界大戦と朝鮮戦争に使用された巡洋艦。クルーズ船からも見たけれど、この雄姿ほれぼれする。
全長187m、非常によく保存され、かなりの部分が見学可能。しかも艦内の当時の様子を、人形模型で再現してあるから面白い。水兵用のハンモック部屋、機関室、操舵室、調理室、武器庫。懲罰用の狭い牢屋も、小さな教会や歯科もある。手術の様子の再現にはギョッとし、病室のベッドの間にいるのは観光客かと思ったら人形だった。よくできていて触れるし、血だらけ包帯が痛々しい。
内部は複雑、はしごを両手でつかみ、上へ下へ。なんせ9階建て。艦橋から6インチ主砲を眺めて、船長の椅子に座ってみる。当時の記録映像があちこちに放映されているのでよく理解できる。当然我が日本の事も出てくる。当時としては「最上(もがみ)」クラスの建造が大きな衝撃だったこと、しかし時代は大艦巨砲から航空機に移っていったこと等など。船底を見学していると、上に8階が乗っているというその圧迫感と、もし今魚雷が命中したら、浸水したら、と思うとぞっとする。
デッキにでると、あまりの強風で後ずさりするほど。主砲を真下から仰いでみる。3連の6インチ砲が2基。大きいなあ・・北極圏を航行中には、この主砲に厚い氷がこびりつき、甲板の氷を手作業で水兵が取り除いている写真があったっけ。大変な時代でしたね。みんな、それぞれ一生懸命生きました。どの時代に生まれたかで、人の一生は大きく変わる。今の時代に生まれてよかったとしみじみ。
時間的にはもう1か所くらい行けるかも。でも今日はもう疲れた。歩きすぎて足腰が痛い。テムズ川を眺めながらコーヒーで一休み。しかし、この川はきたない。茶色に濁っているのは底泥かも、でも川岸にはゴミが吹きだまり、たくさん浮いている。強風でときどきしぶきが顔にかかるので、思わず背を向ける。どう見ても水質はよろしくない。
Belfast
5/6 (水)
7:30朝食。今日は人が多い。どうやら団体さんが泊まっているらしい。向こうに座っている人がスコーンを注文。後から来た3人組も。おいしそう。そんなものがあったんだと、私もギリシャの彼を呼び止めた。ちょっと躊躇してトレイに並んだスコーンを差し出し、彼がささやいたことには「これはホントは団体用なので・・」 あら、すみませんねぇ。半分切ったものにたっぷりのクロテッドクリームとジャム、かなり甘かったけどおいしかった。そしたら今度は別のオーストラリア人夫婦も、それを見て注文。彼は一度は断ったものの、後で夫婦にも持って行った。ホントにいい人だ。
8:15出発。昨日は8:30の Circle 線に乗れず、その後20分も待たされたので今日は早めに。目的地 Tower Hill 駅まで遠かった。地下鉄に40分も乗りっ放しってめったにない。日本と同じ朝の通勤ラッシュ。ロンドン塔の入り口に着いた時には9時を少しまわっていた。ビーフィーターガイドは10:00とあるので、自力で歩くことにする。クラウンジュエルは王室の宝物殿、確かにすばらしい。しかしまあ、結局は富と権力の歴史。即位を待っている間に塔の中で行方不明になったり、無実の罪で処刑されたり、血のつながりのドロドロ。日本の中世・戦国時代と同じ。英国には負の遺産も多い。敷地内には、当時のドレス姿で観光客の相手をするスタッフもいて、過去と現代が交錯する。よくみると、ドレスの裾を引きずって歩いている。石畳だから比較的きれいではあるが、当時洗濯はしたのかな、とつい現実的な心配をしてしまう。外は強風が吹き荒れ、まるで春一番が毎日吹いているようだ。
あちこち見ていたら2時間経過。少し早いけど、混雑を避けてランチにしたい。駅に戻る途中で見つけたパブに入ってみた。Steak & Kidney Pudding と Jacket Potato を注文。付け合せの peasをmashed にできるか聞いたら OK 。こういうフレキシブルさは日本で取り入れてほしいところ。しばらく待って出てきたものを見て驚いた・・どうみても2人前ですね、これ。フォークとナイフも2人分もってきたし・・店によって料理の分量に結構差がある。Jacket Potato は予想通り、巨大なジャガイモは水っぽくておいしくない。ま、イギリスに来て一度は食べないとね。Kidney pie がほしかったけど、pudding ってどんななんだろうと思ったら、pie 生地ではなくて、揚げパン生地だった。ちょっと生地が油っぽい。Mushy pea とホームメイドのチップスがおいしい。もったいないので、頑張って完食。でもおなかパンパンで胃薬飲み。食べすぎです、いくらなんでも。
地下鉄の路線図を確認して、午後はケンジントン宮殿へ。途中の乗換駅構内、歩いたあるいた・・地下道を上ったり下がったり、最寄り駅に着いた時には1時間経過。疲れた、移動に結構時間がかかる。
ブロードウォークを歩くと、ジョギングやサイクリングをしている人が多い。この都会にこんな広々とした一帯があるとはね。門の外とは別世界。左手に見えてきたラウンドポンド。宮殿先にとちょっと思ったけど、いや何だか雲行きがあやしい。先にそばに行って写真を撮っておこう。白鳥・かも・グースがのんびりくつろいでいる。宮殿の中はいわゆる、絵画やらドレスやらダイアナ妃のコーナーもあった。ビクトリア女王の晩年は若き日の面影もない。まだ若くして夫君をなくし、あまりの悲しみに黒い喪服姿で何年も過ごしたらしい。その喪服ドレスのウェストはまるで大木。現女王のエリザベスⅡの戴冠式のビデオも流れていて、今のお姿からは想像できない。時の流れは残酷だ。
外は雨が降っている、ポンドに先に行っておいてよかった。強風で傘が持って行かれる。足早に反対側のゲートを抜けて Whole Foods Market へ。大好きなスーパーめぐり、でもいまいち特色ない。出来合いのパック入り惣菜はどのスーパーでも非常に充実している。ロンドンは、皆忙しく一人暮らしが多いのが分かる。帰りは Highstreet Kensington から Paddington へ。
明日は帰国日。予定したことは全てこなした。今回ほど毎日大都市をセカセカ歩き回る旅は初めて。毎朝、地下鉄通勤している気分だったし、赤信号無視にも慣れた。でも、自分はこういう都会には住めないと確信。人込みと狭い空間には疲れる。
5/7 (木)
最後の朝食、ギリシャの彼はキッチンにこもって何か料理中、忙しそう。声をかけられなかった。毎朝ありがとね、さようなら。
さて、スーツケースを5階分下ろすのが大変。フロントに電話したところで、店番一人ではここまで来てくれるわけないし。螺旋階段が狭すぎて、持って降りられない。自分が下側に回り、左手で手すりの棒を1本ずつ順につかみ、スーツケースを傾けて右半身で受け止め、体で支えながら後ろ向きに一歩一歩降りるしかない。お年寄りはこのホテルはやめるか、部屋の位置を指定するしかない。やっとの思いで地上まで下ろしたら、幸運なことにホテルのスタッフが別の客の案内でちょうど入ってきた。彼がヘルプを申し出てくれたので、フロントのある元の建物までスーツケースを持って行ってもらう。助かった、ありがとう。チェックアウトして、Paddington 駅へズルズル引きずっていく。雨でなくてよかった。ヒースローエクスプレスで一路空港へ。
空港で残りポンドを使って土産物買い揃え。後は飛行機に乗るだけと思いきや、ここでこの旅ラストの負の事件発生。機内で食べようと、パン売り場に並んだ。カウンターの向こうには店員が何人も並んでいて、同時に複数の客の応対をしている。列の前の人が去ったので、一歩前へ。どの店員が相手してくれるのかと待っていても、目の前の男性店員はアイコンタクトしてこない。
しばらくして、上目づかいにちらっとこちらをみて、黙ってまた下を向く・・ん?・・また無言でちらっとみるので、クロワッサンをこれとこれ、と注文。見るからにやる気のない態度。40代半ばの白人男性、イギリス人だ。しかめっ面していやいやレジ打ち。支払い後、めんどくさそうにパンをガラスケースから取り出すその時、後ろに並んでいた客が隣に一歩前に出た。その途端、この店員の態度が豹変。「 Oh, hello!! You’re my favorite customer~!!」と始まった。「コーヒーいる?」「いいえ、結構」「コーヒー出してあげるよ~」(彼女、いらないって言ってるじゃん!)よそ見しているから、私のクロワッサンが袋に入っていないのに、トングを離そうとして気づかない。思わず「ほれ、ほれ!ほれ!!」よそ見しないで、自分のやっていることに集中しなさいよ、小学生並みだなこの人。客の彼女は苦笑いしつつ「あなた、他のお客さんにはあいさつしないの?」。それに対してこの店員「 I don’t care! 」ですと・・・あきれてものが言えない。いい歳して、隣に並んでいる若い店員の前でよくもそんなことが言えるものだ。
いったいこの人は、これまでどんなひねくれた人生を歩んできたのだろう。時給いくらもらってるのだろう。自分が店長なら、一度は口頭で注意し、態度に改善が見られなければ、去って頂く。こういう人を店頭に出しておくと、トラブル発生は時間の問題。店にとって大きなリスクだ。別に彼である必要はないわけで、誰でもできる仕事だし。ともかくも、まあ、世界中どこに行っても、まともな人とそうでない人間がいるということ。最後の最後で良くも悪くも、この原則を頭に刻むこととなった。
いろいろ凝縮された旅行でした。ポンドが安くなったら、次は湖水地方や、話題のスコットランドも一度は見てみるかな。
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