【研修レポート】 イタリア・ベネチア国際観光見本市参加7日間

期間:2015年10月13日~2015年10月19日
パーパスジャパン:中島

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10月13日~10月19日までの7日間の日程で、イタリア政府観光局主催による国際観光見本市参加のための研修旅行に参加してきました。

ベネチア再発見の旅。最新の現地情報をご紹介します。

10月14日(水)

前夜に関西国際空港を発ち、ドバイで乗り継いでベネチアにやって来ました。空は曇天、時折りの雨粒での歓迎でした…。

国際観光見本市の係員の出迎えを受け、水上タクシー乗り場までわざわざ送迎車で移動(徒歩なら10分程度)、水上タクシーで、今夜からの宿泊ホテルであり、見本市の会場となるヒルトン・モリノ・スタッキーへ向かいました。

曇天にも関わらず、波の状態は比較的穏やかで、ほとんど揺れることはなかったものの、たまに波に乗り上げ、水しぶきを上げながら海上を快走します。窓外の潟や島々から聳える鐘楼を眺めながら、30分ほど経って、ベネチア本島の南側、ジューデッカ島にあるヒルトン・モリノ・スタッキーHILTON MOLINO STUCKY に到着。この日は特にスケジュールはなく、チェックインを済ませると部屋に入りました。

私が宿泊した部屋は2階。窓を開けると、運河を挟んで向こう側には、ザッテレ ZATTERE の海岸通りが広がり、ヴァポレット(水上バス)や水上タクシーがひっきりなしに行き交っています。早く向こう側へ行ってみたい気持ちが逸ります。

ベネチア本島のホテルは、中世からの建物をそのまま利用しているために部屋も狭い印象を受け、ホテル自体が迷路の中に位置しているところが多く見受けられますが、ヒルトンは運河沿いにあってまず迷うことはなく、19世紀末に操業を始めた製粉所跡の建物を改装しており、全体的に規模が大きく、客室も広々としています。

ホテル専用の桟橋が設置され、1時間に2本程度、ザッテレ経由でサン・マルコ広場を結ぶ無料シャトルボートも運行されており、ベネチア本島観光にも不便を感じさせませんでした。

ヒルトン・モリノ・スタッキーに到着
ヒルトン・モリノ・スタッキーに到着

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10月15日(木)

国際観光見本市、当日。7時30分頃に日の出を迎えるはずが、今日もあいにくの曇天。まだ暗いうちから外は雨でした。

国際観光見本市といっても、日本で毎年、東京で開催されているツーリズム EXPO ジャパンのような盛大な祭典ではなく、いわゆる商談会です。
ヒルトンホテル内に特設会場を設け、世界24ヶ国から115社、日本からは弊社を含めて6社のバイヤーが参加。一方、見本市はベネチアを州都とするヴェネト州が主催しており、イタリアの他の州の参加はなく、サプライヤーはヴェネト州にある300社以上の旅行会社やホテルなどが一堂に会する大規模な催しです。昼食の時は、バイヤーとサプライヤーが同じレストランでビュッフェを楽しみましたが、大混雑だったことは想像に難くありません。

会場では、バイヤー用に1社に1台のデスクが用意され、午前9時30分から18時過ぎまで、あらかじめ主催者側に決められたアポイント表を基に、アポイント時間毎にサプライヤーが私の席にやって来ます。15分刻みの商談でしたが、約束の時間になっても来ないサプライヤーもいれば、約束をしていないのにやって来るサプライヤーも…。何はともあれ、このような大規模な商談会は初めてで、とても有意義な内容でした。

商談会終了後は、貸切ボートでベネチア本島に移り、スクオーラ・グランデ・サン・ジョヴァンニ・エヴァンジェリスタ内の特設会場で、バイヤー全員を招待して晩餐会がありました。挨拶に始まり、若手作曲家の演出によるオペラ劇の鑑賞の後、コースのディナーを楽しみました。

晩餐会も終わり、ホテルの部屋に戻った頃には既に日付が変わっていました。久しぶりに長く感じた一日でした。

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荘厳な会場での晩餐会
荘厳な会場での晩餐会

10月16日(金)

午前中は自由行動です。しかし、今朝もまた雨が降ったり、やんだり。長袖シャツにカーディガンを羽織っていましたが、やや肌寒い体感でした。でも、これから歩くので、恐らく暑くなることを見越して上着は置いていきました。私が訪ねた時期のベネチアの日中の平均気温は17度前後でした。

ザッテレで無料シャトルボートを降りると、まずはローマ広場を目指しました。しかし、ザッテレに降り立つと同時に強い風を伴った横殴りの雨。折り畳み傘は風ですぐに裏返り、役に立ちません。この時期のベネチアは、これから冬に向かうにつれ、天候も不安定になりがちのようです(ベネチアのベストシーズンは4月~5月です)。

人一人すれ違うのも困難な細い路地でも、ちゃんと通り名がついているので、地図を見ても本当にこの道で正しいのか不安になります。小さな運河が張り巡らされ、その度に小さな橋を渡ります。くねくねと細い路地を曲がり、ザッテレから歩いて30分ほどでローマ広場に到着。ローマ広場と言っても観光名所ではなく、バスターミナルです。

雨も益々勢いを増してきたので、カナル・グランデに掛かる、斬新なデザインが景観を損ねると物議を醸したというコスティトゥツィオーネ橋を渡り、サンタ・ルチア駅でしばらく雨宿りすることにしました。

駅の出入口の辺りでビニールの簡素なカッパを売り歩いている人たちがいました。雨の多い時期にはよく見る光景でしょうか?
構内の店やホームに停まっている電車を見たり、案内画面の行先を見て妄想旅行をして時間を潰し、小一時間も経った頃、ぱったりと雨が止み、一気に青空が広がりました。太陽が射すと体感温度も上がり、長袖シャツにカーディガンでちょうど良い装いになりました。

スカルツィ橋の上からカナル・グランデを眺めていると、ヴァポレットや水上タクシーが、今日も忙しく行き交っています。島内では車は走れないため、移動手段は徒歩かヴァポレット、水上タクシーのみ。

駅前のフェローヴィア ERROVIA からヴァポレットに乗ってみることにしました。
カナル・グランデを走るヴァポレットは1番と2番。1番は各駅停車、2番は快速みたいなもので、私は2番に乗りました。乗船券は12時間券や24時間券などもありますが、この後は乗る予定はないため、1回券(7.50ユーロ)を購入。

乗り場は既に多くの乗船客で溢れていて、1本見送る羽目になりました。やっとのことで乗り込むも、船内はぎゅうぎゅう詰め…。リアルト橋の桟橋を過ぎて、やっとゆっくり外を眺める余裕ができ、ここに来てようやく風光明媚な水の都を感じることができました。

右へ左へ建ち並ぶ建物を見ながら、やがてアカデミア橋をくぐり、サンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会の大きなクーポラに目を奪われ、サン・マルコ広場の桟橋まで、カナル・グランデクルーズを楽しみました。

こんな細い路地にもちゃんと通り名があります。
こんな細い路地にもちゃんと通り名があります。

ゴンドラ渋滞
ゴンドラ渋滞

アカデミア橋とS・マリア・デッラ・サルーテ教会
アカデミア橋とS・マリア・デッラ・サルーテ教会

道に迷ったらこの看板を目印に
道に迷ったらこの看板を目印に

リアルト橋
リアルト橋

サン・マルコ広場はベネチア本島観光のハイライトだけあって、大勢の観光客で大混雑でした。

広場周辺では潮位が上がり、水浸しになっていたようで、仮設の通路が設置されていました。観光客と違って、本島に暮らす人々は慣れたもので、やれやれと言わんばかりに、通路を手際良く設置します。私が着いた頃には概ね水も引いており、仮設通路も一部は積み重ねられていました。

人混みを掻き分けながら、溜息の橋、ドゥカーレ宮殿、サン・マルコ寺院、大鐘楼を見て、鳩だらけのサン・マルコ広場を抜け、アカデミア美術館方面へ歩きました。3月22日通りを西へ、広場で開かれていた蚤の市を少し覗き、先ほどヴァポレットでくぐった、カナル・グランデに架かる4本目の橋のアカデミア橋を渡って、アカデミア美術館の横の通りから、ザッテレの桟橋に戻ってきました。約3時間の散策でした。

ドゥカーレ宮殿
ドゥカーレ宮殿

サン・マルコ寺院
サン・マルコ寺院

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サン・マルコ広場
サン・マルコ広場

水浸しになった時の仮設通路
水浸しになった時の仮設通路

午後は、ヴェネト州を知るために、見本市の主催者側がいくつかツアーを用意してくださっていて、私は初めてのベネチアでしたので、ベネチア観光を選択。そのために、ホテルもチェックアウトする必要はなく、引き続き同じヒルトンに宿泊、他のツアーは正午に出発していきましたが、我々は14時30分の出発です。ベネチア観光組は、オーストリア、フランス、スウェーデン、カナダ、中国などから18名の参加でした。

最初に訪れたのは、ジューデッカ島から南へ約15分、貸切ボートで走ったところのローゼ島に建つマリオットホテルの視察。今春に開業したばかりのまだ新しいホテルで、その島にはマリオットホテルしか建っていません。大きなホテルですが、隠れ家的な要素もあり、のんびり滞在したい方にはお勧めです。

1時間半ほどを掛けてホテルを視察すると、再び貸切ボートに乗り、本日、2度目のサン・マルコ広場へ。相変わらず観光客で大混雑していました。ひととおりの説明を聞くと、細い路地を歩き、コンタリーニ・デル・ボーヴォロ階段や雨水を貯める井戸を見学。カナル・グランデ沿いに出て、アマンホテルや夕陽を運河越しに見て、リアルト橋を渡り、バーカロ BACARO (…ベネチア地方のワインとチケッティ(おつまみ)を気軽に楽しめる居酒屋)で小腹を満たしました。

18時半頃に日没を迎え、陽が沈むと一気に気温が下がり、午後は上着も着ていましたが寒さで少し震えました。レストランで夕食を摂り、ホテルに戻ったのは22時を過ぎた頃。こうしてツアー1日目が終了。明日のツアー2日目は島巡りです。

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10月17日(土)

午前7時30分頃、ベネチアに来て、初めて朝陽を見ることができました。今日は終日、ボートに揺られるので、好天になって本当に良かったです。

貸切ボートでまずはトルチェッロ島へ向かいました。本島を離れると、潟で餌を探す野鳥の姿も見られました。ホテルを発って1時間、トルチェッロ島に到着。

桟橋から運河沿いを歩き、悪魔の橋 PONTE DEL DIAVOLO を横目に、広場へ向かいました。ベネチア発祥の地とされる島ですが、栄えていた頃の名残をほとんど見つけることができない静かな島でした。広場にはサンタ・マリア・アッスンタ聖堂などがあります。

広場まで来る途中、運河が90度左へ曲がる角の辺りにレストランがあるのですが、そこは完全予約制で、ベネチアで暮らす人々の間では、サンタ・マリア・アッスンタ聖堂で挙式して、そのレストランでの食事が人気だそうです。

再びボートに乗り込み、次はブラーノ島に向かいました。

サンタ・マリア・アッスンタ聖堂
サンタ・マリア・アッスンタ聖堂

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トルチェッロ島へ向かう途中もブラーノ島は見えていて、島のランドマークとも言うべき鐘楼がずっと気になっていました。よく見ると傾いているのです。最初は見間違いかと思いましたが、ブラーノ島に着くや、それは確信に変わりました。やはり、僅かですが傾いていました。

ブラーノ島は漁師の島で、漁に出ても遠くからでも自分の家がすぐに判るようにと、外壁を色とりどりに塗られ、レース編みでも有名です。天気も良く、島には観光客で溢れかえっていました。

どれだけの人があの鐘楼が傾いていることに気づいているだろうかと思いながら、私はずっと傾いた鐘楼を眺めていました。鐘楼から正午を知らせる鐘が鳴り、続いてベネチアングラスで有名なムラーノ島へ向かいました。

傾いた鐘楼
傾いた鐘楼

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ムラーノ島の運河口辺りの NAVAGERO 桟橋近くのガラス工房を視察しました。飴細工のように白鳥や馬を作ってみせてくれました。ショールームには高価なグラスや置物があり、絶対に衣服や鞄が触れないように緊張して品定めをしました。とはいえ、どれも気軽に買えるような値段ではなく、天井にはいくつものベネチアングラスのシャンデリアがぶら下がっていて、最も高価なもので10万ユーロでした…。

その後、場所を移して、昼食。イタリアに来て、やっとパスタを頂きました。

固まらないうちに形を整えて馬の完成
固まらないうちに形を整えて馬の完成

ムラーノ島を後にして、最後に訪れたのはマッツォルボ MAZZORBO 島。
マッツォルボ島はブラーノ島と木製の橋で繋がっており、ブドウ畑の中に鐘楼が聳えています。

オステリアで、バーカロ風にオリジナルのスパークリングワインとチケッティを頂いて、のんびりした時間を過ごしました。

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10月18日(日)

とうとう出国日。昨日に続き、今朝も綺麗な朝陽が見られましたが、朝陽に照らされた巨大な船のシルエットも。

ベネチアはクルーズでは外せない寄港地で、ちょうどこの時間帯は入港ラッシュのようです。この後も2~3隻の巨大船が入港してきました。昨夕も、ベネチアを出港した巨大なクルーズ船がタグボートに曳航されて、ジューデッカ運河を東へゆっくりと次の寄港地へ向かっていきました。このような迫力のシーンが見られるのも、ジューデッカ運河沿いでの宿泊ならではです。

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つい立ち止まってしまいます
つい立ち止まってしまいます

今日は、ホテル前のジューデッカ運河でレガッタ(ボートレース)が開催され、運河が閉鎖されるために午後からヴァポレットや水上タクシーも運行できなくなるとのことで、前日まではホテルの出発は13時30分でしたが、急遽、11時15分に変更となりました。そもそも、これだけ大きな規模の大会にも関わらず、前日まで判らなかったのか、不思議ですが…。

それでもまだ少しは時間があるので、再びシャトルボートで本島に渡り、最後にもう一度、サン・マルコ広場を見に行きました。8時過ぎの時間帯はほとんど観光客もおらず、広々と(?)広場周辺を見ることができました。

細い路地をわざわざ入り、リアルト橋まで歩いてみました。橋上の土産店はまだ開いておらず、すべてシャッターが下りていて、その先の魚市場も日曜日で休みのため、再びサン・マルコ広場に引き返しました。するとさっきまでの光景は一転して、サン・マルコ広場は観光客で大混雑していました。今朝、入港してきた巨大クルーズ船の乗船客のツアーがやって来ていたのです。

サン・マルコ広場に面するカフェ・フローリアン CAFFE FLORIAN に入って、エスプレッソ(6.50ユーロ)を注文しました。1720年創業の老舗で、バイロンやディケンズら文学者が愛したカフェだそうです。格式の高さを感じます。

エスプレッソを飲みながら、いつかまた来る時は、サン・マルコ広場の大鐘楼を登り、サン・マルコ寺院やドゥカーレ宮殿に入場し、ゴンドラに乗ろうと思いました。

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10月19日(月)

往路同様、ドバイで乗り継ぎ、関西国際空港に無事に帰着。ヴェネト州はベネチアだけでなく、ロミオとジュリエットの舞台のヴェローナやヨーロッパ最古の植物園があるパドヴァ、パッラーディオの建築が溢れるヴィチェンツァ、ティラミス発祥の地のトレヴィーゾなど、ベネチアから日帰り圏内の見どころもたくさんあります。

他にも、足を延ばして、ドロミテ山塊の東側の観光拠点となるコルティナ・ダンペッツォ、イタリア最大の湖のガルダ湖やポー川のデルタ地帯など、自然も溢れています。魅力が尽きないヴェネト州で、スローな旅もいかがでしょうか?

(本文中に記載の情報は2015年10月現在のものです)

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