私たちは中高年3人の旅行でした。
企画を組んでいただいたとき、ウヰスキーの島アイラはとても遠い、地の端までの旅行だなと感じました。案の定、待ち時間を入れて24.5時間位の旅をしていアイラ島にようやく到着しました(飛行機2時間遅れ)。
出発の前にアイラ島に渡る飛行機は揺れて怖いと聞いておりましたが、着陸寸前強い西風に煽られ翼が地上に接触しそうになり、右に左にと大きく傾きました。一瞬事故になるかと思いましたが、無事アイラ島に降り立つことが出来ました。空から見たアイラ島はピートで出来た荒涼とした大地が広がり、所々に村が点在しておりました。
ホテルまで予約いただいたタクシーに乗り、やっとホテルに到着いたしました。ホテル( lochside Hotel )はアイラの中では良いと思いますが、古い建物で素朴でラフでした。
食事はスコットランドの規格品(ポテト、魚の揚げ物、ステーキ、芋サラダ、ヨーグルト等)ですが、行く前の噂より遥かに美味しかったのが印象に残りました。
但し、種類は多くありませんが、量が多いので料理を注文するときに注意が必要です。私達は3人で三種類の料理を注文しましたが、量が多く半分残ってしまいました。
それ以来少量ずつ何回かに分けて注文することを学びました。
ウヰスキーの会社ではボウモアがサントリーの資本に入ってから、個性がなくなりガッカリしていましたが、その代わりブナハーブンという小さなメーカーを訪れ、カスク樽(13年物)3個(オーク、シェリー、スモークシェリー)を並べてスポイトでウヰスキーを自分で取り出し、テイスティングさせて頂き、その出来の良さと行為に感動いたしました。
他に4か所ほどメーカーさんを回り、テイスティングさせて頂きました。何処も出来が良かったと感じました。
3日目 飛行機と列車でネス湖の北にあるインヴァネスに移動いたしました。移動中の列車の車窓に裸山が連なっており、私は牧草地として利用が山の上まで進んでいるのかと思っておりましたが、注意して見てみると表土が氷河で削り取られ、やせた土地で、樹木が成長しづらく、はげ山に近い状態であることに気づきました。
そして、この地方は農業には適さない厳しい土地であることを車窓から感じ取りました。インヴァネスは古い地方都市で歴史を感じさせる建物がたくさんありました。
私達の宿泊したロイヤル・ハイランド・ホテルも歴史と格調のあるホテルでした。
食事はホテルでも町でも良いと思いますが、量はまちまちでした。特に美味しいと思ったものはハイランドカウ(cows)というスコットランド牛のステーキです。赤身で柔らかで、しつこく無く、とても美味しく感じました。
町は酒場やレストランが多く、我々でも気楽に入れます。夜はそこに音楽が入りますが、楽器の演奏や歌は若い素人の事が多いようです。遅く入ると大分込み合うので早めに入ったほうが良さそうです。飲み物はウヰスキーもありますが、クラフトビール(エール系)が手ごろで美味しいです。
ウヰスキーはマッカランがサントリーに買収され大きな工場を建設中でした。大工場が平凡な規格品を送り出すのかと思うと、その寂しさが印象に残りました。
しかし、昔からの小さい工場(Benromach、Lagavulin、Tomatin、Glenfarclas 等々)では相変わらず、美味しいウヰスキーを造っておりましたが、時間の関係で一部しかテイスティング出来なかったことは残念でした。これからもこの様なところがスコットランドウヰスキーの個性を引き継いで行くものと感じました。
タクシーの運転手さんは帰りがけ、イングランドとの戦争の歴史、過去と現在の状態を頻(しき)りに説明していましたが、その熱心さが印象に残りました。
三日目にインヴァネスからエジンバラに列車で向かいました。エジンバラはエジンバラ城を中心とした城下町で、私たちのホテル(Radisson Blu Edinburgh Castle Hotel)は繁華街の真ん中で、外観はお城、内は最新のホテルでした。サービス面では良い評価に値するものであると感じました。
ホテルの前のイシダダミの大通りでは、大道芸が毎日盛んに行われ、道の両側はお土産品のお店がびっしりと並んでおりました。多かったのはサッカーやラグビーのパーカー類とウール又はカシミアのタータンチェック柄織物(襟巻、スカート類)等でした。パーカー類は30~50ポンド、タータンチェックの襟巻はウールで15~40ポンド、カシミアのショール類は150~250ポンド位でした。
この町のバーにはビールやウヰスキーがとても豊富で、それに合ったいろいろな食べ物がありましたが、アイラ島やインヴァネス地方の料理に手を加えたようなものが多いようにも感じました。味付けは店によって変わりますので、人が多く入っている店を選べば良いと思いました。
気候は7月末で昼17度、夜12度位です。行く前に言われましたが、まさにスコットランドでは一日の中に四季がありました。一回だけですが雪も降りました。頭からすっぽり被れる薄手のポンチョみたいな物を持っていくと便利です。物価は大体日本と同じくらいと感じました。
スコットランドを約7日間、ウィスキーを求めてさまよいましたが、伝統の価値を見直した旅でした。