絵の好きな妻はフィレンツェのウフィッツィ美術館でボッティチェルリの絵を見るのが夢でしたが、6年前、脳梗塞に罹り、その後遺症で障がい者に。
当初は旅行など考えられず、夢は諦めかけていましたが、リハビリを重ね、少しずつ回復してきたある日、車椅子の方のフィレンツェ旅行記をパーパスさんのHPで見ました。これなら妻にも行けるんじゃないか、と昨年秋、パーパスさんを訪ね、今年の8月に旅行が実現しました。
夫婦+サポート役の娘の計3人で8月10日から14日までの5日間、妻の体力的に長期の滞在は厳しく、現地での観光は実質2日間の弾丸ツアーで行って来ました。
□ 8/10:出発
12時35分、羽田を出発、ミュンヘン空港で乗り継ぎフィレンツェへ。
各空港では障がい者にスタッフが付き、乗り継ぎや乗降時の移動や手続きなどを全面的にサポート。ミュンヘン空港の乗り継ぎでは、女性スタッフが私たちをカートに乗せて、歩行者がたくさんいる通路をぶっ飛ばしてくれました。気さくで責任感の強いプロフェッショナルな人でした(ちょっとこわかったですが...)。
フィレンツェ空港では現地ガイドの小泉さんと運転手のステファーノさんがお出迎え。
□ 8/11:フィレンツェ市内観光
朝9時、小泉さんたちが迎えに来てくれてホテルを出発。
ミケランジェロ広場から市街を一望した後、今回の旅行の一番の目的、ウフィッツィ美術館へ。
ボッティチェルリのプリマヴェーラをはじめ、たくさんの絵画、彫刻を(駆け足で)見ました。ウフィッツィ近くのレントランで昼食後、ドゥオモとアカデミア美術館を見学。
ステファーノさんはフィレンツェの狭い路地を大型ワゴンですいすい。「こんなところまで車で入るの?」と驚きの連続でした。
夕食はホテル近くのトラットリアへ。楽しみにしていたディナーでしたが、昼に食べたものが消化し切れず控え目に。残念。
□ 8/12:サンジミニャーノ・シエナ観光
観光二日目は、中央市場で買い物の後、サンジミニャーノとシエナのトスカーナの古都巡り。
サンジミニャーノではチステルナ広場やドゥオモ周辺を観光。お昼には城壁都市モンテリッジョーニでランチ。シエナではドゥオモとカンポ広場へ。ドゥオモの密度の高い空間は圧巻。
フィレンツェへの帰路はステファーノさんの提案で、高速道路は使わず、キャンティ地方の小さな町を巡りながらゆっくりと。ステファーノさんのサービス精神に感謝。
夕食は「今日こそは」と昼食を軽めにして意気込んで臨んだものの、思ったほど食欲が湧かず、意外と小食に。それでも何とかTボーンステーキ(ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ)を食べ、とても美味しく満足しました。
□ 8/13:帰国
8/13の13時30分の飛行機でフィレンツェを発ち、フランクフルトで乗り継ぎ、8/14昼頃、羽田に無事到着。
今の日本では、障がい者への配慮は善意や厚意の範疇のように思いますが、ヨーロッパでは、もちろん善意や厚意もあるものの、その前提として権利と義務が強く意識されているように感じました。石畳の路面の凸凹や古い建物の段差などハード面での不便は日本よりもむしろ多いかも知れませんが、ソフト面がそれを補って余りある、という感じです。
今回の旅行では、フライト、宿泊、現地でのガイドや移動のことなど、パーパスさんにきめ細かく計画を立てていただきました。また、現地ガイドの小泉さんの丁寧な案内とやさしい心遣いはすばらしく、感謝の言葉もありません。いずれも今回の車椅子での旅行を十分に楽しめた大きな要素です。パーパスさんにお願いして本当によかったと思っています。