エメラルドの島 アイルランド紀行8日間
期間:2017年8月17日~2017年8月24日
根本 滋 様
大学で英文学を専攻し、Swift、Joyce そして Yeats の作品に接していた私には、アイルランドはいつか訪れたい国でした。
英国と米国では大学研修をした経験もありますが、ぜひアイルランドの地を踏みたいと思ったのは昨年のことでした。
私は退職して8年目になりますが、現在でも高校の非常勤講師をしています。
昨年度1年生と学習した教科書に The Emerald Isle という題名の課があり、この国がエメラルドのように一年中緑に覆われた島であること、4人のノーベル文学賞受賞者を輩出していること、19世紀半ばの大飢饉で百万人が餓死し、百万人が海外へ移住したという歴史や、聖パトリックとその祝日について改めて学びました。教材の内容をこの目で確かめ、大学時代以来愛読してきた文人たちの足跡も辿ろうと、今回の旅行を決意しました。
ダブリン、ゴールウェイ、コークの順に移動し
最後にダブリンに戻る8日間の旅でした。
初日は便の遅れのため、アムステルダム経由でダブリンに移動するだけで終始しましたが、2日目は精力的に市内を歩き回りました。
最初に市民の憩いの場セント・スティーブンス・グリーンを訪れ、James Joyce の像で記念撮影。W. B. Yeats に捧げられた記念碑も確認しました。
W. B. Yeats に捧げられた記念碑
アイルランド最古の大学トリニティー・カレッジでは構内ツアーに参加。
図書館には卒業生の Jonathan Swift の胸像がありました。図書館の蔵書数は約500万。
トリニティ・カレッジ
オールドライブラリー
次に隣接する国立考古学・歴史博物館と国立図書館を訪れました。
国立図書館では W. B. Yeats Collection を開催中で、詩人に関する豊富な資料と映像に接することができました。
W. B. Yeats の展示をしていた国立図書館
昼食は図書館に近いデービー・バーンズというパブで、その日の特別料理とギネス1パイントを楽しみました。ここは、Joyce がよく訪れ、作品中に登場させた文学ファンの聖地です。
Joyce がよく訪れたデイビー・バーンズ
午後は、リトル・ミュージアムと聖パトリック大聖堂を訪問。ミュージアムでは館長の楽しい解説に聞き入り、アイルランド最大の大聖堂では、聖パトリックがこの国にキリスト教を布教して以降の長い歴史に思いをはせ、Swift が18世紀に司祭長を務めたことを確認しました。
聖パトリック大聖堂
夕方に列車でゴールウェイに移動しました。
3日目は朝食後に散歩に出かけ、聖ニコラス教会に入りました。
そして、そこが1477年にコロンブスが大西洋に船出する前に旅の安全を祈願した教会であることを知りました。
ゴールウェイの親子のストリート・ミュージシャン
聖ニコラス教会
その日は10時にスタートして8時間半のバスツアーに参加。
ダンガイアー城や巨人のテーブルなどを見て回りましたが、圧巻は何と言ってもモハー断崖です。
その圧倒的な迫力を噛みしめながら、約90分ゆっくりと散策。
モハーの断崖
巨人のテーブル
ツアーから戻り、夕方ゴールウェイ大聖堂を訪れ、その後聖ニコラス教会で開催されていたアイルランド音楽のコンサートを午後8時から2時間楽しみました。
4日目は9時30分にシャトルバスでロッサヴィール港へ移動し、フェリーでイニシュモア島を訪れました。島では雨に降られましたが、約3時間のミニバス・ツアーに参加して、島内の主要な観光地を回りました。特にドン・エンガスはモハー断崖に負けない迫力がありました。
ドン・エンガス
ナ・ショフト・ジャンピルという5紀以降に建てられた修道院も印象的でした。アランセーターの店で€30の手袋を家族へのお土産に購入。
ゴールウェイに戻り、午後6時頃にホテルを出て、伝統音楽の演奏が行われるパブが集まり、路上アーティストのパフォーマンスが見られるキー・ストリートへ行きました。
その通りにほど近いザ・クレーン・バーという老舗パブに入り、ジェイムソンとギネスを味わいました。生演奏は終わったばかりでしたが、ミュージシャンたちと歓談していると、はるばる日本から来てくれた客へのサービスだったのでしょう、私のために、彼らが次々と演奏を聴かせてくれたのです。
彼らの優しさとアイルランドの音楽の素晴らしさとで、忘れられない夜になりました。
ザ・クレーン・バーにて
ザ・クレーン・バーにて
5日目はタクシーでゴールウェイからコークへ移動。
Charles Foy という名の気さくなドライバーの運転するトヨタ車で、途中エニスに立ち寄り、13世紀に建てられたエニス修道院とクレア博物館を見学しました。
次にアデアを訪問。そこは1976年の「かわいい村コンテスト」で優勝した村で、その中心街のバーでその日の特別料理とギネス1パイントを堪能。
朝は小雨が降っていましたが、次第に天気が好転し、車からは「エメラルドの島」の美しい景色を楽しみました。
車は午後3時頃にコーク市郊外のブラーニー城に到着。広大な敷地を約1時間散策しました。
ブラーニー城
ホテルでの別れ際に、Charles にドライブと会話を楽しんだことへお礼と、遠路ゴールウェイまで気をつけて帰るように伝え、チップをはずみました。夜はコークで人気の音楽パブであるオリヴァー・プランケットでアイリッシュ・シチューとギネスを満喫。
6日目は乗り降り自由のコーク市内観光バスを利用して、聖アン教会、コーク大学、イングリッシュ・マーケットなどを見学。
コーク大学
聖アン教会
昼食は老舗パブのル・シャトー・バーでその日の特別料理とギネスを味わいました。少し買い物をして、その日の午後15:20の列車で Cork Kent Station を立ち、ダブリンに移動。初日に宿泊したホテルにチェックインをして街へ出ました。
お土産にジェイムソンを大小数本購入。
夕食はテンプル・バーにある人気パブのジ・オリバー・ジョン・ゴガティーズでアイルランド音楽を楽しみ、郷土料理とギネスを堪能。
7日目は実質旅の最終日。朝食を早めに済ませ、ホテルを8時に出ました。
どの施設もまだ開いてないので、2日目と同様にセント・スティーブンス・グリーンへ行き、James Joyce の像と共に再度記念撮影。
James Joyceの像と共に
その後でリフィ川に停泊するジーニー・ジョンストン号まで歩いて、そこでのツアーに参加しました。
この船は19世紀の大飢饉の最中に16度の航海で約2,500人のアイルランド人をアメリカに運んだ帆船を復元したもので、船内は当時の様子を忠実に再現していました。職員の超高速の英語の説明と格闘しましたが、最後の質問時間には J. F. ケネディの祖先と大飢饉の関係について質問しました。
ジーニー・ジョンストン号
次にクライスト・チャーチ大聖堂とダブリン城を見学。最後にホテル近くのダブリン・ライターズ・ミュージアムに入りました。
クライスト・チャーチ大聖堂
ホテルに戻り、タクシーで空港に移動。
帰路は予定を少し遅れてダブリンを立ち、パリ経由で帰国しました。
愛飲したギネス1パイント
夏休み明けの授業で、早速生徒たちにアイルランドでの体験を熱く語りました。今回の旅行は1年生の教材で「エメラルドの島」を学んだことがきっかけで出かけたものでしたが、教材の内容を自分の目で確かめただけでなく、たくさんの観光地を訪れるともに、3人の文人の足跡を辿り、アイルランドの音楽、料理そして酒を楽しむことができた贅沢な8日間でした。
アイルランドは、ケルト文化が色濃く残り、自然が美しく、人々はおおらかで心優しい国でした。
また訪れたいと思います。
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