9月9日~17日までの9日間の日程で、ダボスで開催されるスイス・トラベル・マート2017(STM2017)に参加のため、スイスへ行ってきました。9月前半のスイスの様子をレポートします。
期間:2017年9月9日〜2017年9月17日
パーパスジャパン:中島
GON-001253
9月9日~17日までの9日間の日程で、ダボスで開催されるスイス・トラベル・マート2017(STM2017)に参加のため、スイスへ行ってきました。9月前半のスイスの様子をレポートします。
成田 → チューリッヒ → サンモリッツ → ポントレジーナ
気温24度の成田空港から、定刻より少し早い午前10時20分、
スイス航空( https://www.swissair.com/jp/ja/ )の直行便(161便)で12時間超の飛行を経て、15時40分(日本時間:同日、22時40分)頃、気温14度のチューリッヒのクローテン国際空港(標高432m)に到着。到着早々、雨模様でした……。
時計を7時間(サマータイム)戻し、入国審査を経て、移動はまだ続きます。空港ターミナルを出て、道路を渡り、向かいのエアポートセンターに入ると、エスカレーターで地下へ降りて、空港駅へ。
エアポートセンターには、スーパーのミグロス MIGROS やフードコートもあります。
17時18分発のインターシティ( IC )に乗って、チューリッヒ中央駅で一旦、列車を乗り換え、進行方向の左側に、南東に向かって三日月形に伸びるチューリッヒ湖を何気に眺めながら、クールへ向かいました。
スイス旅行では、列車移動が主流です。
スイス国内の鉄道駅の多くは、1つのプラットホーム( GLEIS )をA、B、C、D……と区画( SEKTOR )分けしており、どの区画内に列車が停車するか、プラットホームの上部に設置されている案内画面に表示されます。さらに1等、2等も判るようになっていて、自身の予約クラスがその区画のどの辺りに立っていれば停車するのか、ある程度判ります。
列車は1等の場合、ドアの上部辺りに黄色のラインが入っています。列車によっては2階建て車両もあり、1階席が2等、2階席が1等と分けられている場合もあります。ドアは手動のため、列車が停まってもドアは自動で開きません。
ドアの横にボタンがありますので、緑色のランプが点いていることを確認して、ボタンを押すとドアが開きます(閉まる時は自動です)。列車から降りる時も同様です。待っていてもいつまで経っても開きませんので注意してください。
ほとんどの鉄道駅では、スーツケースを転がせるよう、階段の他にスロープも設けられていて、旅行者にも優しい構造になっています(恐らく、本来の目的は、車椅子の乗客向けかも知れませんが……?)。
クール CHUR 駅(標高593m)で18時59分発の列車に乗り換えると、レーティッシュ RHATISCHE 鉄道のベルニナ線に入ります。しかし、残念ながら、世界遺産のエリアが始まるトゥージス THUSIS 駅(標高720m)に着いた19時30分頃には日没間際……。見どころのランドヴァッサー橋(高さ65 m、長さ136 m)は闇の中でした。
21時過ぎにサンモリッツ駅(標高1822m)に到着。相変わらず、雨が降っていましたが、気温は4度! 体感温度は氷点下ほどに感じ、凍えてしまいました。
駅から貸切バスで約10分、今夜の宿泊ホテルは、サンモリッツの隣町のポントレジーナ PONTRESINA(標高1805m)に位置する5ツ星クラスのグランド・ホテル・クロネンホフ GRAND HOTEL KRONENHOF( http://www.kronenhof.com/en/ )。
チェックイン後、すぐに夕食でした。日本時間は午前4時30分頃(9月10日)。日本時間で考えると、チューリッヒから徹夜で移動し、早過ぎる朝食の感覚で、眠気を我慢しながら、夕食を頂きました。ちなみに、このホテルのレストランで食事をするにはドレスコードがあり、スマート・エレガントの服装が必要です。今回、私たちは特別にカジュアルでも咎められませんでしたが、ご利用の際はご注意ください。
夕食後、少し館内を自主視察し、23時過ぎ、長かった1日をようやく終えました。
ポントレジーナ → ディアボレッツァ → サンモリッツ → ダボス
時差ボケでなかなか寝つけず、夢うつつの中で輾転反側を繰り返し、何気に聞こえた雨の音で完全に目が覚めました。昨夜からの雨はまだ降り続けていたようです。
朝食の後、先にチェックアウトを済ませて、宿泊ホテル内の視察から2日目は始まりましたが、ロビーに集合している時、窓外を見ると何と雪!
最初はみぞれの様相でしたが、だんだん白い塊になっていきました。
ひととおり館内を視察させていただき、午前8時30分、傘を差して、最寄りのポントレジーナ駅まで10分ほどの距離を歩いて移動。
スーツケースは、エクスプレス・ドア・ツー・ドア・ラゲージ・サービスを利用しましたので、先に今夜の宿泊ホテル(ダボス)まで送っていただきました。安くはない料金ですが、大きなスーツケースを持っての観光も大変不便です。駅のコインロッカーもスーツケースが入る大きさの数は少数で、必ず空いている保証もありません。移動途中に観光を挟む場合は、こういったサービスの利用もお勧めです( https://www.myswitzerland.com/ja/within-switzerland.html )。
ポントレジーナ駅から9時4分発のレーティッシュ鉄道(アルブラ線)に乗って南下。ティラーノ(イタリア)方面を進行方向に、右側の景色がお勧めのはずですが、ポントレジーナ駅を出て早々、一面の銀世界でした。アルブラ線沿線のこの景色も世界遺産なのですが……。
このまま終点のティラーノまで乗り続けると、後半にループ橋などの見どころがあり、クール-サンモリッツ-ティラーノ間を走る、パノラマ車両を使ったベルニナ・エクスプレスの乗車もお勧めですが、私たちは普通列車で20分ほど乗車して、ベルニナ・ディアボレッツァ BERNINA DIAVOLEZZA 駅で下車。積雪の無人駅に降り立ち、坂道を登ってすぐの所にある山麓駅からロープウェイに乗りました。
標高2978mからの展望台の景色も言わずもがな、最高峰のピッツ・ベルニナ PIZ BERNINA(標高4049m)を始めとするベルニナ山群はホワイトアウト……。軒下に吊してあった温度計を見ると-2度。ダウンとマフラー、トレッキングシューズも持ってきて正解でした。雪を手に取ってみるとパウダースノーでした。
レストランでカプチーノを啜り、窓外の真っ白な景色を見やりつつ、絶景を虚しく想像しました。レストランをぐるりと見渡しても、客は私たち以外に見当たりません。麓から見上げても一目瞭然で、景色が容易に想像できるのに、わざわざロープウェイで上がってくる人はいないでしょう。ちなみに、このレストランでのパスタは、19スイス・フラン( CHF )でした。
ロープウェイで山麓に降りると、ベルニナ・ディアボレッツァ駅前から貸切バスに乗ってサンモリッツ方面へ戻り、次はプント・ムライユ PUNT MURAGL(標高1738m)からケーブルカーに乗ってムオタス・ムライユ MUOTTAS MURAGL(標高2453m)へ上がりました。
プント・ムライユ周辺では雪景色は消くなっていましたが、ムオタス・ムライユに上がるとやはり雪。そこから見えるはずの、画家セガンディーニが愛したオーバー・エンガディンの景色は見る影もありませんでした(9月上旬の降雪は稀との話もありますが、実際、サンモリッツ地域ではこういう気候もあり得るということで、9月にスイス旅行でサンモリッツ辺りをお考えの際は念頭に置かれるとよいでしょう)。
自然に逆らえない私たちは絶景を諦め、ムオタス・ムライユにあるホテルのレストラン
( https://www.mountains.ch/en )で昼食を摂りました。
再び貸切バスでサンモリッツへ向かうと、サンモリッツ湖を望みながら、市街地を少し車窓観光。
そして、サンモリッツ駅から列車に乗って、ダボスへ向かいました。
15時2分にサンモリッツ駅を発車した列車は、ベルニナ線を北上。雪景色はすっかり消え、山の木々の濃緑や谷に沿って綺麗に整備された牧草地の淡い緑が広がっていました。そして、昨夜、暗くて見ることができなかった窓外の景色を、私は脳裏に焼き付けるように見入っていました。
ベルニナ線の乗り換え駅のフィリスールまでは世界遺産の登録範囲。ベヴェーア BEVER(標高1708m)- プレダ PREDA 間のアルブラ峠を越えるために掘られた約6kmのアルブラトンネル、プレダ(標高1789m)- ベルギューン BERGUN(標高1367m)間の約400mの高低差を解消するために掘られた5つのループトンネル。
私は進行方向の左側に座っていましたが、フィリスールに近づく頃、窓外の下の方に目をやると、深い谷が広がっていて、列車は山の中腹辺りの崖の上を、フィリスールへ向けて下っていくように走っていました。よくこんな所に線路を敷いたものだと感心し、大変な難工事だっただろうことが容易に想像できました。世界遺産に登録された理由も頷けます。
16時頃、列車はフィリスール FILISUR 駅(標高1032m)に到着。ダボス・プラッツ DAVOS PLATZ 行きの列車に乗り換えました。定刻より少し遅れて列車は出発。ツェルマットから来た氷河特急が、サンモリッツへ向けてベルニナ線を南下していきました。
単調な景色の中、16時40分頃、ダボス市街の西側に位置するダボス・プラッツ駅(標高1558m)に到着。
ダボス市街は東西に広がっていて、駅前からバスで東へ約10分、ダボス・ドルフ DAVOS DORF 駅よりやや東側に位置する、今夜からの宿泊ホテル、4ツ星クラスのトゥルムホテル・ヴィクトリア TURMHOTEL VICTORIA( http://www.victoria-davos.ch/en/ )へ向かいました。
今朝、ポントレジーナのホテルで預けたスーツケースは無事に到着しており、簡単に荷解きを済ませると、すぐに出発。スイス・トラベル・マートの開会式に出席すべく、バスで市内のアイス・スタジアム VAILLANT ARENA へ向かいました。
会場前は多国籍な顔ぶれで溢れ、やがて開場が始まるとウエルカムドリンクを片手に、観客席へ誘導されました。アイス・スタジアムの名のとおり、アリーナはスケートリンクになっていて、地元のアイスホッケーチームの子供たちが練習に励んでいました(開会までの前座だったのか、本当に練習していたのかは不明でした)。紅白戦の練習試合で得点すると、客席にいる私たちから拍手喝采。
18時30分、照明が落とされ、スイス政府観光局の CEO がアリーナに登場すると、アイスリンクに映し出されたプロジェクション・マッピングを背景に、今年の開催の喜びや出席の御礼などを述べ、スペシャル・ゲストを紹介しました。この時、初めて、開会式の会場にここを選ばれた理由が理解できました。
スイスの元フィギュアスケート選手でトリノ五輪(2006年)の銀メダリスト、ステファン・ランビエールさんが登場。エキシビジョンを2演目披露してくれました。初めて生で見たフィギュアスケートでした。
セレモニーが終わり、大混雑の中での立食の簡単な夕食も終えると、21時30分頃、やっとホテルの部屋に入り、2日目も長かった1日が終わりました。
ダボス
スイス・トラベル・マート2017(以下、STM )のワークショップ1日目。今日も小雨が降ったり、時折、青空も覗かせながらも曇天でした。
STM は2年に一度、スイス国内の都市で開催されており、日本で毎年、東京で開催されているツーリズム EXPO ジャパンのように一般の方も入場できる祭典ではなく、いわゆる商談会ですが、スイスにおける旅行業界最大のイベントです。
毎年1月に世界経済フォーラム(通称、ダボス会議)が開催されている国際会議場 KONGRESSZETRUM を会場に、今年は世界50ヶ国から480名、日本からは23名の各旅行会社の社員が参加。一方、スイス国内のサプライヤー(観光局やホテル、鉄道会社、旅行会社など)は340以上が参加、220以上のブースが設けられており、国内外からの関心の高さが覗えます。
私たちバイヤーは事前に各サプライヤーへアポイントの時間を予約して、2日間に渡って、各サプライヤーと20分刻みで商談します(私も8月中、ああでもないこうでもないとアポイントをみっちり入れていました)。1日目は午前9時から17時まで、21のサプライヤーの担当者と話しました。
昼食は、同じ会場内にレストランスペースもあり、適当な席に着くと3コースでサーブされました。ビュッフェを予想していましたが、意外なサービスでした。
17時頃、憔悴気味で1日目の商談会を終え、バスでホテルに戻りました。しかし、まだ3日目は終わりません。1時間ほど休憩すると、ホテルの最寄り駅のダボス・ドルフ駅から列車で約20分、クロスタース KLOSTERS へ向かいました。
クロスタース・プラッツ駅(標高1191m)前を会場に、STM主催のストリート・パーティーが催されました。特設会場でビュッフェ形式の夕食。雨模様でしたが、スイスでも人気の和食もビュッフェ台に並んでいました。
再び列車でダボス・ドルフ駅へ戻ると、駅構内のミグロス MIGROLINO を覗き、21時半頃にホテルの部屋に戻りました。
ダボス
夜明け前、窓外を覗くと、街灯に反射して道路が濡れていて、乾いた様子はなかったので、昨夜から雨は降り続けていたのでしょう。傘を差して歩いている人もいました。4日目もあいにくの天気でした。
ワークショップ2日目は15時までで、昨日同様、3コースの昼食を挟み、15のサプライヤーとの商談に臨みました。
長いようで早く感じた2日間の商談会も無事に終え、15時半頃にホテルに戻ると、ほとんど見ていなかったダボスを少し歩いてみることにしました。しかし、通り雨に遭い、ほとんど歩けませんでした。なかなか天気は味方についてくれません。
そして、夕方、STM のクロージング・パーティーのため、貸切バスで約30分の所のセルティック SERTIG(標高1861m)に向かいました。
特設会場が設けられていて、このパーティーのために、わざわざシャレーを3棟も建てたそうです。食事はビュッフェ形式で、本場のチーズフォンドュも頂きましたが、何よりも嬉しかったのは、セントバーナード犬がそこに居たことでした。スイスに行ったら、是非、セントバーナード犬に会いたいと思っていましたが、どこで会えるのか判らず、まさかここに居てくれたことはサプライズでした。そして、天気も何とかもちこたえてくれました。
ダボス → インターラーケン → ミューレン
5日目からは、STM の主催者側がいくつかツアーを用意してくださっていて、私はミューレン(シルトホルン)とベルンを訪ねるツアーに参加しました。
ベルナー・オーバーラントでの大きな荷物の持ち運びの不便さを考慮して、ラゲージ・サービスを利用することにしました。通常のラゲージ・サービスは、最寄駅から翌々日に滞在する都市の最寄り駅で受け取るシステムになっており、1個につき12スイス・フラン。そのため、2泊3日分の荷物を別途作っておく必要があるのですが、2日間の STM の商談会で貰った資料などでスーツケースははちきれんばかりになっており、前夜のパッキングがひと苦労だったことはお話しするまでもありません。
駅での手続きが必要になるのですが、ダボス・ドルフ駅では受付窓口がないため、ダボス・プラッツ駅へ向かいました。STM参加者の多くはダボス・プラッツ駅を利用するため、大混雑を予想して、列車の発車時刻の1時間前にダボス・プラッツ駅に行こうと思い、ホテルをチェックアウトしたのは午前7時半。
ひと駅ですが、7時53分発の列車でダボス・プラッツ駅へ向かうため、ダボス・ドルフ駅のプラットホームで列車を待っている時、5日目にして初めて朝陽を見ました。ダボス・プラッツ駅では、予想に反して窓口は空いていました。翌々日(9月15日)の最寄り駅はベルン駅。ベルンの発音(英語では、「バァーン」)が上手くできずに少し戸惑いましたが、手続きは難なく終えることができました。
午前9時2分発の列車の発車時刻まで小一時間ほどを過ごし、発車のベルもなく定刻に出発。
再びダボス・ドルフ駅を経て、クロスター方面へ普通列車で約1時間10分、まずはラントクワルト LANDQUART(標高563m)まで向かいます。その後、インターシティに乗り換えてチューリッヒ中央駅まで約1時間、またインターシティに乗り換えてベルンまで約1時間、またまたインターシティに乗り換えてインターラーケン・オストまで約1時間。ベルンまでは単調な景色でしたが、トゥーン THUN からインターラーケン・ヴェスト INTERLAKEN WEST の手前まで進行方向の左側にトゥーン湖が広がり、しばらくその景色を楽しむことができました。
時計を見ると、13時30分。インターシティではカフェ車両も連結していたのですが、インターラーケン・オスト OST(標高566m)で列車を1便遅らせて、30分ほど休憩。各自、自由に昼食を摂ることにしました。私は駅周辺を少し見て回り、駅前のコープ COOP でサンドイッチ(約5スイス・フラン)を買いました。
インターラーケン・オスト駅前に中国人観光客の団体が貸切バスで乗り付けていて、駅前の建物の2階にはチャイニーズ・レストランで昼食を摂った後のようでした。インターラーケンの街に、何となく中国色を感じました。どこへ行っても、中国人客を始め、アジア系の観光客がよく目につくようになりました。
さて、ミューレンまでの道のりはまだ続きます。ここで1つ気をつけていただきたいのは、インターラーケン・オストからグリンデルワルト、ラウターブルネン方面へ向かう列車は、分岐駅のツヴァイリュチーネン ZWEILUTSCHINEN で切り離され、それぞれへ向かっていきます。インターラーケン・オストで列車に乗り込む際は、列車の側面に行き先が表示されていますので、よく確認しましょう(間違って乗ってしまっても、車内では移動できません)。
間違えないようにラウターブルネン行きを確認して、14時5分発の列車で約20分、ラウターブルネン LAUTERBRUNNEN(標高802m)へ。ミューレンへはラウターブルネンでロープウェイと登山列車で上がっていくのですが、私たち一行はトゥルンメルバッハ滝 TRUMMELBACHFALLE を見るため、141番のポストバスに乗りました。
アルプスの少女ハイジがブランコで遊んでいたラウターブルネンの谷を走ること、約10分で到着。
トゥルンメルバッハ滝(落差140m)はバス停の目の前で流れ落ちているのかと思いきや、バス停から入口まで5分ほど歩き、傾斜エレベーターに乗って、滝の三分の二辺りまで上がります。そこから滝の頂上まで階段やスロープで上がっていきました。
滝は崖の合間を豪快な音を響かせて、毎秒2万トンの水量の水がウォータースライダーのように流れ落ちていきます。激しい水の流れによる浸食で崖が丸く削られ、その勢いの強さに迫力と恐怖を感じさせます。チムニー状の滝のため、全景を見ることができませんが、滝の飛沫から出るマイナスイオンを浴びながら、随所で覗き込んで見物しました。聞けば、この滝は個人所有だそうです。
そして、参考までに、スーツケースなどの大きな荷物を預ける所はありませんでした。
再び5分ほどポストバスに乗り、シュテッヘルベルグ STECHELBERG(標高922m)へ向かいました。そこからロープウェイに乗って、途中、ギンメルワルト GIMMEWALD で乗り換え、やっとミューレン MURREN(標高1650m)に到着(16時頃、16度)。
ロープウェイの駅を出ると、青空が広がっていて、手前からユングフラウ(標高4158m)、メンヒ(標高4107m)、アイガー(標高3970m)の3名山を望むことができました。5日目にして、やっとスイスに来たという実感を持つことができた瞬間でした。
今夜からの宿泊ホテルは、ロープウェイ駅のすぐ目の前にあるホテル・アルペンルー HOTEL ALPENRUH( http://alpenruh-muerren.ch/en/Offer/Willkommen )。とりあえず、不要な荷物を置くと、アルメントフーベルを訪ねました。
ミューレンからケーブルカーに乗って、約5分のアルメントフーベル ALLMENDHUBEL 展望台(標高1907m)から望む3名山は、より一層綺麗に望むことができ、カメラのシャッターが止まりませんでした。この景色も世界遺産です。
ケーブルカーは17時が最終便とのことで、アルメントフーベルには僅かな滞在でしたが足早に乗り込みました(1時間ほど掛かりますが、ハイキングコースで歩いてミューレンへ下ることもできます)。
ミューレンに下りると、宿泊ホテルの反対側の鉄道駅方面まで散歩しました。ミューレンは東西に1km程度で、鉄道駅側の方が3名山、特にメンヒやアイガーが手前の山に邪魔されずに望むことができます。そして、鉄道駅近くでは、住民によって保護されているゲムゼ(アルプス・カモシカ)たちがのんびり草を食べていました。
ミューレン
6日目にして初めて、ゆっくりの朝。8時30分頃のミューレンの気温は13度でしたが、ホテルのフロントに設置してあるライブカメラの映像を見ると、シルトホルンの山上は気温3度とのことで、ダウンなどの真冬支度で出かけました。そして!曇り時々雨……。
天候の回復を祈りながら、8時40分発のロープウェイでシルトホルン SCHILTHORN へ上がり(途中、ビルクで1回乗り換え)、ピッツ・グロリア PIZ GLORIA(標高2970m)の360度回転レストラン( https://schilthorn.ch/en/Welcome )で遅めの朝食を頂きました。
ホテル・アルペンルーはシルトホルンの系列のため、ホテルでの朝食を山上の回転レストランで摂ることもできます。ホテル・アルペンルーは3ツ星クラスのホテルですが、改装されたばかりでお勧めです。
天候は回復の兆しがありませんでした。2日目のオーバー・エンガディンに続き、晴れてほしかった日に、シルトホルンからも3名山を望むことができませんでした。1周約45分の間、インターラーケン方面は晴れている様子で、虹も見えましたが、3名山方面は真っ白。朝食後、展望台に出てみると、立っているのもやっとの強風でした。天気が良ければ、モンブランも見えるそうです。
もう1つの見どころとして、シルトホルンが映画「女王陛下の007」(1969年)のロケ地にちなみ、1階下のボンド・ワールド007を覗きました。撮影は1967年に行われ、2017年が50周年の節目をアピールされていました。
ロープウェイで1駅下のビルク BIRG(標高2677m)へ下り、気温4度の中、2016年に完成した「スリル・ウォーク」を歩きました。急峻な岩肌にへばりつくように造られていて、足下は崖下まで見えるようになっており、その名のとおり思わず足がすくみました。
だんだん雨が強くなってきて、垂直に切り立った絶壁から空中にせり出した形で設置された展望デッキ「スカイライン・ウォーク」からは、依然、3名山は望めず、この後、予定していたグラウゼーリ GRAUSEELI 湖までのハイキングもやむなく中止に。仕方なく、ロープウェイでミューレンへ戻りました。
午後からはヴィア・フェラータ VIA FERRATA へのハイキングも予定していましたが、こちらも中止になり、私は一人、グリンデルワルトへ行ってみることにしました。身支度を済ませてホテルを出ると、雨は本格的に降っていて、鉄道駅までの約1kmを10分足らずで向かいましたが、すっかりびしょ濡れになってしまいました。
12時58分発の登山列車でグリュッチアルプ GRUTSCHALP(標高1486m)へ下り、プラットホームから直結しているロープウェイでラウターブルネンまでさらに下りました。ミューレンとラウターブルネンの高低差は約800m、時間にして約20分の移動でした。
ラウターブルネンからインターラーケン方面へ列車に乗って、雨は依然、降り続ける中、途中、ツヴァイリュチーネンでグリンデルワルト行きに乗り換えます(ラウターブルネンからヴェンゲン WENGEN 方面へ向かうと、クライネ・シャイデック KELINE SCHEIDEGG を経て、ユングフラウヨッホへ上がることもできますが、今回は時間がなかったので断念しました)。
ツヴァイリュチーネンからグリンデルワルト GRINDELWALD(標高1034m)までは列車で約20分。14時10分頃に到着。
天候も幾分か変わっていることを期待していましたが、グリンデルワルトでも雨。グリンデルワルトに来た目的は、この町からアイガーがどのように見えるのか? さて、アイガーはどこに……?
雨の中、とりあえず駅前から伸びる大通りを歩いてみましたが、周りの景色はガスで真っ白で山の見当がつきません。通りに並ぶ店を覗いたり、各ホテルの様子を確認したりしながら、町中を散策しました。
そうこうして、2時間ほど経った頃、天気が急変!雨が上がり、青空が出てきました。山々を覆っていたガスも晴れてきて、山の頂まで見え始めてきました。よし、アイガーはどれだ……?
灯台下暗し、アイガーはグリンデルワルト駅のすぐ隣で悠々と聳えていました。あの北壁が多くの登山家を魅了したのです。
目的を果たし、往路と同じルートでミューレンへ戻りましたが、グリュッチアルプからミューレンまでの登山列車の車窓から、ユングフラウヨッホのスフィンクス展望台まではっきりと望むことができました(17時45分頃、途中駅の WINTEREGG で気温は7度)。再度、シルトホルンに上がれば、絶景が望めると思いましたが、シルトホルンへ上がるロープウェイの最終便は行った後でした。残念。山の天候は変わりやすいので、景色を楽しむことが目的の場合は、3泊以上した方が良いとつくづく思いました。
グリンデルワルトの賑やかさと比べると、ミューレンはのんびりした時間が流れていました。ゆっくり過ごしたい方にはミューレンはお勧めです。
また、私は大丈夫でしたのでこれまでの文中では触れませんでしたが、3000m前後からの高地では高度障害(高山病)の危険もあります。体質やその日の体調によって程度は異なりますが、水分補給と深呼吸、ゆっくり歩くことも心がけましょう。
ミューレン → ベルン
ミューレンを後にして、7日目はスイスの首都、ベルンへ向かいました。この日のシルトホルンの山上は-2度(午前7時30分)だったようで、ライブカメラを見ると展望台は雪で白く染まっていました。
ミューレンの鉄道駅から午前8時58分発の登山列車、ロープウェイを乗り継ぎ、ラウターブルネンからインターラーケン・オストへ。インターラーケン・オストでインターシティに乗り換え、ベルン BERN(標高540m)に到着したのは午前10時50分頃。
ベルンまでの車中、窓外を眺めながら思いました。スイスは鉄道が張り巡らされ、あらゆる山にロープウェイやケーブルカーが設けられています。高い山も簡単に登ることができ、終点で降りると容易に絶景を楽しむことができます。大自然の中に来ているのに、ある意味、運動不足を感じる旅になりかね、物足りなさを感じる人もいるのではないでしょうか? 一度はどこかでハイキングを入れてみるのも、メリハリがあって良いと思います。ただし、天候と要相談ですが……。
ダボス・プラッツ駅から送ったスーツケースをベルン駅で無事に引き取り、駅前にある今夜の宿泊ホテル、5ツ星クラスのホテル・シュバイツァーホフ・ベルン HOTEL SCHWEIZERHOF BERN
( http://www.schweizerhof-bern.ch/en )で不要な荷物だけ置くと、そのままベルン観光に出かけました。
今朝までの気候を疑うほどの汗ばむ陽気の中、ガイドさんの話を聞きながら、世界遺産の旧市街を歩き、アーレ川を渡った所にあるクマ公園の中のレストラン「 ALTES TRAMDEPOT 」
( https://www.altestramdepot.ch/en/home )で昼食。昼食後は、市民の憩いの場にもなっているバラ公園からベルンの景色を楽しみ、市民は金曜日の昼下がりのひと時をのんびり楽しんでいました。条件が整えば、ベルンからもユングフラウを望むことができるそうですが、天気は良かったものの見ることはできませんでした。
そして、ベルンを歩いていて所々で目についたのが、セントバーナード犬のオブジェ。BernARTiner( http://bernartiner.ch/en/ )のイベントで、様々な色に塗られて、街中の至る所に置かれています。観光名所を見ながら、ついセントバーナード犬のオブジェも探してしまい、36匹を見つけました。
バラ公園の後は路線バスに乗って、パウル・クレー・センター( https://www.zpk.org/en/ )を訪ねました。
日本人の学芸員さんの案内で、今まで名前すら知らなかったパウル・クレーの作品に興味を持ち、建物が関西国際空港をデザインした建築家(レンゾ・ピアノ氏)と同じことを知って、親近感も覚えました。
夕方、ホテルの館内を視察させていただき、シュニッツェルの夕食で、スイス最後の夜を迎えました。ちなみに、このホテルのエレベーターや411号室のバルコニーも、映画「女王陛下の007」の撮影が行われたそうです。
ホテル内にカタール大使館が入っていたのも驚きでした。そして、客室やパブリック・スペースには、パウル・クレーの作品(レプリカ)も飾られていました。
ベルン → チューリッヒ空港
とうとう出国日。ベルン駅からチューリッヒ空港まで、直行のインターシティで向かい、10時15分頃に空港に到着。エアポートセンターや空港を慌ただしく自主視察すると、思いのほか混雑していた出国審査を経て、搭乗口にたどり着いたのは出発の45分前でした。
復路はビジネスクラスに試乗させていただきました。
人生2度目のビジネスクラスにワクワクしながら、優先搭乗のアナウンスが始まると、早々に機内に乗り込みました。そして、座席に腰掛けると、早速、ウエルカムドリンクのサービス。
安定飛行に入ると、座席のいろんなスイッチを押して、快適な角度を見つけてリラックス。マッサージ機能も付いていました。昼食後は座席をフルフラットシートにして、ひと眠り……zzz。
成田
台風18号の動向が気になりながら、往路同様、スイス航空の直行便(160便)で、定刻より少し早い午前7時30分頃、成田国際空港に無事に着陸(気温20度)。
* * * * *
今回、私にとって初めてのスイスでしたので、新田次郎が初めてスイスを訪ねた時の紀行本、「アルプスの谷 アルプスの村」(新潮文庫)を旅の供に持参しましたが、毎日の行程が忙しくて三分の一程度しか読めませんでした。帰国してからも、スイスを思い出すように、毎日、ページを捲っています。
スイスは一生に一度は行ってみたいと多くの人が思うでしょうし、今回の研修で、スイスに魅了される気持ちを実感しました。私もスイスはまだまだ見たい所がたくさんあるので、近い将来、再びスイスを訪ねると思います。その時はユングフラウヨッホに行ってアレッチュ氷河も見たいし、氷河特急にも乗って、マッターホルンも見てみたいです。レーティッシュ鉄道のリベンジも……。
魅力が尽きないスイス、皆さんも次の旅行にいかがでしょうか?