初めてのヨーロッパ、初めての北欧
学生時代に東南アジアやアメリカ、カナダ、ニュージーランドなど様々な国を旅する機会はありましたが、「いつか行ってみたい国」それが北欧という国でした。
今回は保育園からの幼馴染との二人旅。
偶然現在の職業が同じ「保育士」という私たち。私自身は去年からこの仕事を始めたのですが、幼馴染の話からもフィンランドの教育がずっと気になっていました。お互いに仕事も少し落ち着き、ある日話の中「一緒に行こう、もう二人でなんて行けないかもしれない」そんな思いに駆られてこの旅を決意しました。
私は以前介護の仕事をしており、北欧に行くのであれば保育施設だけでなく高齢者施設との両方を見学したい。そんな思いで旅行会社をいくつかあたりました。しかしながら、そんな贅沢な注文を受け入れてくれるところはなく、どうしよう…と途方に暮れていた数日間。ダメ元で電話したのが、パーパスジャパンさんでした。
快く承諾していただいてから、あっという間に月日がたち一週間前に。とうとう工程表も届き、二人で「いよいよだね」と気持ちが宙に浮いたような気持ち。わくわくとドキドキが止まりません。
前日にあわただしく荷物の最終確認と残っていた仕事を片付けていると、時刻はすでに夜中の三時。徹夜ができない私は「少しだけ…」と横になり眠り、朝起きるとすでに電車に乗る時間でした(笑)。
大慌てで準備して空港へ。到着すると「やはりやったな」という苦笑いで幼馴染が出迎えてくれました。そんなフィンランドの旅の始まりです。
朝に出発したのにお昼頃に到着するというお得な気分。ついにヘルシンキに到着。まずは歩いて土地感覚をつかもうと、ホテルから外にくりだしました。この日は視察の予定もなかったため、行ってみたかったかもめ食堂へ。
ここで食べたフィンランド料理(サーモンとミートボール)は絶品!!私たちの旅の大切な味になりました。
【 二日目 】
フィンランドの人はちょっと恥ずかしがり屋、でも話してみると暖かい。
昨日の到着当初からバスドライバーさん、ホテルの従業員の方、町の人に助けてもらいっぱなしの私たち。
この日は日曜日。お店などもしまっているところが多く、それなら自然をみにいこうということでヌークシオ国立公園へ出発しました。バスを降りると、乗客はそれぞれのルートに分かれて見えなくなり不安を抱く私たち。慌てて後をついて山に入ります。
そこにはあふれる緑と初秋の香りが漂う森があり、黄色い木の葉がひらひらと舞い落ちる姿はまるで時間が止まったかのようでした。
フィンランドには「自然はみんなもの」という法律があるそうで、自由に木の実や山の幸をバスケットに入れてる姿がみられました。なんと自然とうまく共存しているんだろうと、参考にしたい暮らし方です。
この日は早めにヘルシンキに戻り、フィンランドの短い夏を楽しむようにテラスでビールやワインを楽しむ人々とともに私たちも交じりビールで乾杯しました!
【 三日目 】
さあ、いよいよ今日からまちに待った視察のスタートです。
初日はヴァンター市にあるコルソ高齢者介護施設。
緑の多い公園を抜けると、とても綺麗な外観の施設がありました。
こちらではサービスハウス(賃貸し型の高齢者住宅)と呼ばれ、ケア付き住宅のようなもののようです。
この施設にきて驚いたのが
・利用者さんのデータ、書類のデジタル化
・住民会議、婦人クラブ、室内クラブの多様性
日本でも機能改善、機能回復が謳われている施設はたくさんありますが、ここでは理学療法士だけでなく利用者の取り組んだメニューや数値をデジタルで記録しています。また、その情報を理学療法士、ケアワーカーが話し合い利用者の機能改善につなげているそう。
利用者はアラームリストバンドというものを装着しており、心拍数の変化などを読み取り容体が急変した場合は駆けつけることができるようになっていました。日本でいうナースコールのように自分からも人を呼ぶことができます。
室内クラブも充実しており、婦人クラブ、家族クラブや、住民が問題について話し合う住民会議もあります。外出に関してもタクシーを使って出かける機会もあり、定期的な気分転換が図れるのは素晴らしいことだと思いました。
話している中で、この施設の説明をしてくれていたケアワーカーの方が東日本大震災の時に日本にボランティアとして来ていたことを知りました。その時の話の中で日本の介護は人力に頼る(事故が起きないか)と心配になるシーンが多かったようです。フィンランドだと法律で身体的な介助はここまでと決められているようでした。
たくさんのお話と情報を詰め込んで、最後には団らんのひと時もいただき、この日は幸せな気分でぐっすりベットにイン。
いよいよフィンランドの旅も残り一日です。
隣のベットでは「帰りたくないー」と嘆く相棒の姿がちらほら(^^)
【 四日目 】
今日はいよいよ最終日。
朝早くからのスタートでしたが、バスでは通訳のヨーナスさんと日本とフィンランドの文化の違いに話の花が咲きました。
ヴァンター市、カルタノコスキ保育園
町全体が赤煉瓦調に統一されており、一足踏み入れるとヘルシンキや近郊の町とは全然違った雰囲気。ヨーナスさんによると、こういった形の建物は新しいそうで、保育園は今年11年目とのことでした。
少し肌寒さもありましたが、中に入ると木のぬくもりが感じられるとても素敵な雰囲気の保育園。
ちょうど朝ごはんを食べ終わった子供たちが先生たちと食事を片付けているところでした。
代表の方につれられて自由活動中のお部屋を見せてもらいます。
まず最初に驚いたのが少人数のグループ編成でした。少ないと3~4人のグループ(縦割り)、に分かれ活動を行っているようで、お散歩など近くの森に出かけるときはいくつかのグループが一緒になって出かけます。
グループは異年齢で構成されていて、この日は九月。新しいタームということでグループの名前決めをしているところにお邪魔させてもらいました。それぞれに色の違うブロックを持ち、多数決で名前をきめていきます。
「先日行った森の中で何を見つけた?」との先生の質問に「お花」「リス」「雲」といろいろな意見が飛び交います。その中から名前を決めることを選んだ子たち。年齢の差は関係なく、それぞれが投票していく姿に関心しました。
「デモクラシー」を体感する時間、とても大切な時間だそうです。
この保育園にはとにかくたくさんの部屋があり、工作の部屋、身体を動かすことのできる部屋、グループで分かれても十分な環境が整っています。
自分で選択する力、認める力、育てる力、それを後押しする環境や先生たち
すべてが重なりフィンランドの子どもたちを育てている
そんな風に感じられた瞬間でした。
保育園からの帰り道もヨーナスさんと日本との教育・福祉の違いについて語り切れない話をしながらヘルシンキに到着。お別れのさみしさと感謝の気持ちでいっぱいになりました。
*
この旅の中でたくさんのフィンランドの方に助けられ、フィンランドという国を感じることができた五日間。ぜひまた行ってみたい、帰りたい、そんな国ができたことをうれしく思っています。
本当にありがとうございました。