その旅行は友人の一言で決まった。「食文化ならサルディーニャじゃない?」
イタリアのサルディーニャ島を知るきっかけは各国の食文化に関心があったからだ。様々な国の料理を食べてきたがサルディーニャの面白さは群を抜いていた。
特にパスタとパンの種類の多いこと!実際に行ってみたい。それが実現することとなった。
イタリア自体、行ったことがなく、突然のサルディーニャ島。ツアーを探していて、パーパスジャパンのツアーが目にはいった。お祭り二ヶ所の見学と、料理教室、チーズ作り見学もある!しかも日本人の料理研究家のガイド付き。なんと私たち二人だけのツアー!即決まった。
サルディーニャ島に長く住む藤田さんのコーディネートで三ヶ所に滞在した。
空港のある一番南の海が近いカリアリ。島の中ほどにあたるオリスターノの都会、そして牧場やワイナリーを持っているアグリツーリズモ。どの場所も違う顔を持っていた。
特に山側のバルバージア地方と呼ばれる地域は独特な文化を感じた。パーネカラザウというパンもその一つ。クレープをさらに薄くしてパリパリに焼いたパンだ。昔は羊飼いの保存食だったという。
昔ながらの作り方で作り続ける家庭を訪ねた。壁に石窯の穴があいていて、薪をくべながら焼くと600度の熱でパンが風船のように膨らむ。それを熱いうちに半分に割いてさらに焼くとパリパリになる。オリーブをかけたものに、ガーリックをすりつけ、羊のチーズをかけ、焼きたてのパリパリを食べると、とまらなくなる!
小さな双子の兄弟がいて賑やかで楽しいひととき。
お祭りも独特だった。
仮面に興味があり、マモイアッダでは仮面博物館に行って地中海沿岸の国々の仮面を見比べることができた。家畜と人と神様の三役あり、それぞれが独特の仮面をつけている。衣装は毛むくじゃらで重たいカウベルを背負い飛びはねながらカウベルを鳴らす。お面を造るお店に入り、藤田さんの通訳でお面の話を聞くことができた。
お祭りはオリスターノでも見ることができた。こちらは、中世の衣装で、オペラ座の怪人のような白い表情のない仮面を被り、着飾った馬を走らせ吊るしてある小さい星の中心の穴めがけて剣で突き刺す競技。道路を土で盛り、馬が走る道を作っている。大変難しいこの、競技。120人もの人が挑戦したった10人も成功しない。
この後に三頭の馬を並べて走らせ三人が息を合わせて馬の上に立ったり逆立ちしたり。こちらも大迫力。合間に屋台を冷やかし、つたないイタリア語と身振り手振りでパニーニを作ってもらい食べ歩くのも楽しい。
夜は漁師町で店を貸しきりで魚料理を満喫した。鰻は茹でてぶつ切りにしチーズをかけて。名物のボッタルガ(カラスミ)もふんだんに使われる。ワインもついついすすむ。
カリアリの料理教室も楽しいものだった。
あらかじめ要望を出していた、フレーグラというパスタを教わった。魚の卵という名前の通り、丸い粒に仕立てる。これがなかなか難しく、卵水とセモリナ粉を少しづつ加えながら混ぜるが、配合と混ぜ具合を間違うと粉に戻ってしまう!クルルジョネスという、葉っぱのような模様のパスタも作った。
食事が終わると、スイスの有名なレストランでパティシエをしている息子さんの写真を見せてくれたり、飾ってある工芸品の説明をしてくれたり、あっという間に時間が過ぎた。
農場のアグリツーリズモでは、絞りたての羊の乳でチーズを作ってくれ、それを使ったラビオリ作りを見学し、夕飯に食べた。乳飲み子のラムの丸焼きも大変美味しく感動した。
夕食は藤田さんが帰ったので、通訳をするひとがいないため、携帯電話の通訳ソフトを利用して羊の話を聞いたのも忘れられない思い出になった。
オリスターノの伝統的な織物の見学やカリアリの市場、フリータイムの博物館見学など盛りだくさんの楽しい旅となった。