海外旅行を計画する時、毎回必ず候補として
ランクインしている国がギリシャです。二十数年前のエーゲ海クルーズで見た海の青さが忘れられず、あれからずっとギリシャを訪れたいと思っていました。海水浴には興味がないので、きれいな海と遺跡を見るのが旅の目的です。
どこに滞在するか選択肢がたくさんあって迷いましたが、トルコの面影が色濃く残るロードス島、美食のクレタ島、大都市アテネの三箇所に滞在することにしました。行先は決まったものの、私たちが満足するプランはなかなかありません。困ったときのパーパスジャパンさんということで、今回もまたお願いさせていただくことにしました。
ロードス島は遅いバカンスシーズンのまっただ中で、多くの旅行者で賑わっていました。私たちは旧市街にある Camelot Hotel というこじんまりしたホテルに滞在しました。出発前日に、ホテルのマダムがパーパスジャパンさんにわかりにくいホテルへの行き方を電話で教えてくださり、出発前からいい旅になりそう、と期待に胸が膨らみました。
ホテルは旧市街の賑やかな広場からすぐのところで、普通に歩いていると見落としそうな、名前のない細い路地を入ったところにあります。路地は広場の喧噪とは打って変わって静かで、初めてこの石のアーチのある路地に入ったときは、中世に紛れ込んだかのようなでとてもわくわくしました。
このホテルの魅力は、マダムのニーナさんのお人柄と朝食です。
その朝食は、搾りたてのオレンジジュースのほか、手作りのほうれん草パイやマスティハのリキュールが隠し味に使われているカスタードパイなどバラエティにとんでいて、滞在中毎朝違うものを楽しむことができました。日本でもよく見られるようになったグリークヨーグルトは、クレタ島とアテネで食べたものよりずっとおいしく、ニーナさんは、おなかがいっぱいだという人にも半ば強制的に(笑)勧めていました。きっと、自慢のヨーグルトなのでしょう。
このホテルに7回も滞在しているウェールズからのご夫婦がいて、朝一人で忙しく切り盛りするニーナさんを手伝おうと、ご主人がコーヒーやオレンジジュースをサーブしていました。こういう雰囲気なので宿泊客同士の距離も近く、昨年日本を旅行したというイギリス人夫妻の話を聞いたり、ホテルの名前の由来や、石を買い込んで一人でホテルを造り上げたニーナさんの苦労話を聞いたり、また、おすすめのスポットなど教えてもらったりすることができました。
外出時は外の空気が気持ちよいこともあって、中庭に面した部屋のドアと窓を開けたまま(個人の感想ですが、安心して)出かけるほどでした。
旧市街の騎士団長の宮殿、考古学博物館などおもな見どころのほかに、バスでリンドスまで足をのばしました。船で移動するより時間はかかりましたが、風光明媚な海水浴場や施設の整ったホテルが立ち並ぶスポットなど、ロドスタウンとリンドス以外に見どころがあるのを知ることができました。
リンドスではアクロポリスのある丘に上りました。暑い中20分ほど丘を上るのは大変でしたが、青い海をぐるっと見渡し、青空の下白い神殿跡を見ると疲れも吹き飛びました。海と遺跡を同時に満喫するには最高の場所です。
ロードス島は、ニーナさんをはじめ、ホテルへの道に迷っていた私たちに声をかけてくれたカフェの店員さん、その店員さんが教えてくれたお薦めのレストランの、奥様が日本人だというギリシャ人など、親切な人に出会えた場所でもありました。またいつか訪れてみたい街です。
クレタ島は想像していたよりもはるかに都会でした。近代的なホテルに滞在したのも理由の一つかも知れません。イラクリオンでは、クノッソス宮殿跡と考古学博物館を訪れました。ガイドブックの写真とは違い、オリーブが茂った低い山々を背景に宮殿跡を見るのは感慨深いものがありました。
翌日はバスで2時間半かけてハニアへ行き、ベネチィアンハーバーと旧市街を歩きました。小さい街なので、一日滞在すれば十分見て回れます。
クレタ島は横に長く、見所が散在しているので、訪れたいところが決まっているなら、宿泊先を移動しながら滞在するというのもいいかもしれません。
今回、クレタ島からアテネへは夜行フェリーで移動することに決めていました。これも楽しみにしていた一つです。
個室のキャビンを予約したので、ベッドのほか、シャワーもトイレもテレビもあります。部屋はきれいに掃除されており、シャワーのお湯も勢いよく出ました。船は新しく大きいので揺れを感じることはなく、夜はぐっすり眠ることができました。
船内は、セルフサービスのレストラン、カフェ、コース料理を食べられるレストランなど充実しています。私たちはセルフサービスのレストランで食事をしました。値段は街のタベルナと比べるとほんの少し高めに設定してあるようです。至る所にイスやソファがありゆっくり過ごせるようになっていて、多くの人がソファで横になり夜を過ごしていました。
ピレウス港には朝6時に到着しましたが、港付近は土曜日だというのにすでに活気があって、シンタグマ広場方面への地下鉄もかなり混雑していました。
アテネでは、デルフィ遺跡への一日ツアーに参加しました。ここは、パルナッソス山の麓にありとても見晴らしがよく、神々しい感じのする場所でした。古代劇場を上から眺めると、渓谷の谷間まで見え、遺跡がいかに高いところに作られているのかがよくわかります。あんな大きな石を山の上に運ぶのはさぞ大変だったことでしょう。
私たちが訪れたのは日曜日だったので、近くの町のお店はほとんど閉まっていました。なんとか開いていたタベルナでグリークサラダとパイのようなものを食べたのですが、おもいのほか、トマトやチーズが新鮮でとてもおいしくいただくことができました。
この旅行全体を通して感じたことですが、食事は都会より地方の方が材料も新鮮でおいしかったと思います。また、どこでもリーズナブルにフレッシュオレンジジュースで渇いた喉を潤すことができたのはよかったです。
ギリシャを発つ最終日は、アクロポリスの丘に上りパルテノン神殿を見学しました。以前に比べると、補強工事中のための支えが増えていたり、ものすごい数の見学者でなかなか前に進まなかったりしましたが、パルテノン神殿を見るとやっぱり胸が躍ります。
二十数年ぶりのギリシャ旅行でしたが
街の雰囲気はあまり変わっていないように思いました。下水事情もすっかり改善されているだろうと思い込んでいましたが、島ではまだまだのようです。特にロードス島の旧市街は建物の増改築がとても厳しいとのことなので、しばらくは現状のままでしょう。
ギリシャの島は、それぞれ個性があって島によって雰囲気が違うそうです。今回、ロードス島とクレタ島から、ワンデートリップとしてトルコや他の島に足を延ばすつもりでいましたが、滞在した島にみどころがあって、そこまで時間がありませんでした。次にギリシャに行くことがあれば、今回訪れることのできなかった島に行ってみたいと思います。