スコッチウイスキーの本場と絶景を巡るスコットランド周遊の旅
期間:2019年7月5日~2019年7月14日
H.T 様 & S.T. 様
「あなたの予約はキャンセルされました」
思えばこの旅行はそんな「衝撃の一文」から始まったのでした。乗るはずだった羽田-ロンドン便は欠航となり、どういうことだかわからないまま急いでパーパスさんに連絡しました。代わりに成田発の便が取れたとご連絡いただいた時には本当にほっとしました。
当日は羽田空港でスーツケースとレンタルしたWiFiを受け取ってから、成田空港へ移動。無事にロンドンへ出発しました。混雑することで有名なヒースロー空港では、顔認証ゲートのおかげで入国もスムーズ。画期的です。
喜んでいたのも束の間、今度はインヴァネスへの乗り継ぎ便が遅延したため到着が遅れ、インヴァネス空港でもタクシーがなかなかつかまらず、ホテルに着いた時には夜12時近くになっていました。ホテルの方は温かく迎えて下さったのですが、早口な英語とスコットランド訛りのせいなのか、あまり言葉が通じずへとへとのまま1日目が終了しました。
2日目はプライベートツアーで
トマーティン蒸留所、フォート・ジョージ、コーダー城へ行きます。昨日のこともあって英語が得意ではない私たちは若干不安でしたが、ガイドのJohnさんはとてもフレンドリーで、分かりやすい英語で話してくださったので一安心です。
トマーティン蒸留所では1時間の見学ツアーに参加。砕いた麦芽と水を混合するマッシュタンという大きな機械の中に直接入って見学することができ、試飲も2種類あって充実していました。
フォート・ジョージは現在も兵舎が使われている現役の軍事要塞ですが、広大な敷地を自由に歩くことができ、日本語のオーディオガイドもあります。こぢんまりとした教会には、バグパイプを持つ珍しい天使のステンドグラスが在りました。岬の突端からは「運が良ければイルカに会える」と聞いていたのですが、見ることはできませんでした。残念…。
コーダー城ではコーダー伯爵自らが書いた「コーダー城ガイド」の日本語版パンフレットをもらい、城内へ。フラッシュなしなら写真撮影OKと知り、たくさん撮ることができました。庭には季節の花が咲いていて、日本でもよく見かけるヤマボウシの花が満開。お城を背景に見る風景はとても美しかったです。
マッシュタン/トマーティン蒸留所
バグパイプを持つ天使のステンドグラス
コーダー城
フォート・ジョージ
3日目、午前中はインヴァネス市内を散策しました。
日曜日でお休みの場所も多く、候補に挙げていた場所の半分も行けませんでしたが、街並みを見ながらネス川沿いを散歩するのは案外気持ちよく、程よく小さなこの街の雰囲気が大好きになりました。海が近いせいかカモメが多く、まるで日本のハトのように「怖いもの知らず」です。
午後はネス湖とアーカート城を見学するツアーに参加しました。ネス湖といえばネッシー!子供のころに想像したネス湖のイメージとは違ってとてものどかです。ただ、水の色は黒く底が見えない感じがいかにもネッシーが出てきそうな雰囲気を醸し出しています。
アーカート城は有名なお城だけあってたくさんの人が訪れていました。ネス湖を望む湖畔に廃墟となって佇む城は、当時の様子など想像を掻き立てられます。
カモメが!
アーカート城
ネス湖
4日目は、インヴァネスからオークニー諸島カークウォールへ
ローガンエアで向かいます。小さなプロペラ機ですが、ヘッドカバーがハリスツイードの布を使っていていかにも地元らしい飛行機です。この日は港に大型客船が着いていて、小さなカークウォールの町はたくさんの人で賑わっていました。お天気も良く快適な1日でした。
ランドマークである聖マグナス大聖堂は、赤と黄色の2色の砂岩を利用していて独特の雰囲気があります。近くにあるオークニー博物館、アールズ・パレス&ビショップ・パレスも見学しました。廃墟となった石造りの宮殿には各部屋が何に使われていたか説明があり、当時の様子を想像することができます。見学者も少なくゆっくりと見ることができました。
聖マグナス大聖堂
アールズ・パレス
5日目、いよいよ蒸留所と世界遺産見学のツアーです。
ガイドのRosemaryさんはとても気さくな方ですぐに打ち解けて話すことができました。
ハイランドパーク蒸留所は世界最北端の蒸留所で、フロアモルティングなど昔ながらの製法を守りながらウィスキーを作っています。見学ツアーの最後に試飲をさせていただいたのですが、水を1滴加えるだけでガラッと変わるのには驚きました。香りがより立ち、味も鋭さが緩和されてまろやかになります。これには感動でした。
ハイランドパーク蒸留所
世界遺産見学ツアーは混載のはずでしたが、ラッキーなことに2人のみのプライベートツアーになりました。
チャーチル・バリア、イタリア人捕虜によって作られたイタリアン・チャペルを見学しました。廃材を利用して作られたというチャペルは、とても廃材とは思えないほどの芸術品で、手描きの装飾もまるで彫られているかのように3Dに見えます。小さな教会ですが思った以上の美しさでした。
スカラ・ブレイ(B.C.3100年~2500年頃の住居の遺跡)では、レプリカの家で実際に住んでいた時の様子を見てから遺跡へ向かいます。住居と住居をつなぐ地下道や排水施設、住居の中にはトイレや生簀などもあり、かなり賢く文化的な生活を送っていたように感じます。隣には遺跡を発見、発掘した人の邸宅(スケイル・ハウス)もありました。
イタリアン・チャペル
スカラ・ブレイ
イタリアン・チャペル
リング・オブ・ブロッガー(ストーン・サークル)は、少し前まで間近で見ることのできる遺跡だったのですが、今は周囲に造られた小道からしか見られなくなっていました。観光客がたくさん来る中、遺跡を守るためには仕方ないことだと思いますが、少し残念です。スカラ・ブレイで降りだした雨がストーン・サークルを見学しているうちに上がり、ゆっくりと絶景を堪能することができました。
近くにはもう一回り小さい遺跡、スタンディング・ストーンズ・オブ・ステネスがあります。こちらは観光客が少ないせいか、まだ近くに寄って見ることができます。世界遺産なのに周りには羊が放牧されていてびっくり。近寄ってみると、古くなって摩耗した石の表面などの様子がはっきりと見え、その大きさも実感できます。
リング・オブ・ブロッガー
石の表面
スタンディング・ストーンズ・オブ・ステネス
今回のツアーは、車でドライブしながら島の自然も見ることができました。車を運転しながらガイドのRosemaryさんが「シールがいるから、写真を撮ってきたら。」と路肩に車を止めてくれました。望遠がなかったため小さくしか撮れなかったのですが、帰ってから写真を拡大してみるとカメラ目線のアザラシがしっかりと写っていました。運転しながらあの小さなアザラシを見つけるとは、ガイドさん“恐るべし”。
この時期、緯度の高いオークニー諸島では日が暮れるのが遅く、かなり遅い時間まで明るいので1日が有効に使えます。まだまだ明るいので暢気にしていて時計を見てびっくりなんていうことも…。
アザラシが!
夕暮れ
6日目、オークニー諸島を離れエディンバラへ。
エディンバラはさすがに大きな都市だけあって人が多い!
聖ジャイルズ大聖堂では入り口で£2を払うと、写真撮影の許可証であるステッカーをくれます。ゴシック様式の教会で、大きなパイプオルガンが輝き、ステンドグラスがとても美しく荘厳な雰囲気がありました。
セント・ジャイルズ大聖堂
7日目、朝からエディンバラ城の前は
開場を待っている人たちでごったがえしています。雨も降ってきたので尚更です。私たちはチケットを事前購入していたので、開場とともに入ることができました。
エディンバラ城は市内で一番高いところにあるので眺めがよく、上から市内を見渡せます。周りには大砲が並び、下から見上げると断崖絶壁の上に建つこのお城は、王族が住むためのお城というよりは城塞そのものです。城内の王宮ではいわゆる三種の神器(王冠、御剣、王笏)や運命の石を見学しました。
エディンバラ城
エディンバラ城
スコッチ・ウィスキー・エクスペリエンスでは1時間のコースに参加しました。最初はウィスキーの樽を模した乗り物に乗って、製造工程の中を進んでいきます。日本語のオーディオガイドもあり、説明がわかりやすく楽しめました。試飲でも5つの地域の特徴を知った後で選べるようになっていたので、2人で別々のものを選んで2種類試飲できました。
スコッチ・ウィスキー・エクスペリエンス
ジョンストン・テラスを通り、裏側からお城を眺めつつ新市街へ。ロイヤルマイルとは全く趣の違う新市街は同じようなタウンハウスがずらりと並び、まさしく計画都市。その中にあるジョージアン・ハウスでは当時の富裕層の暮らしを見ることができました。
ジョージアン・ハウス
ホリールード宮殿もチケットを事前購入していたので、あまり並ぶこともなく入場することができました。(エディンバラ城とホリールード宮殿は混雑するので、チケットの事前購入はおすすめ。こちらはチケット代にオーディオガイドの料金も含まれています。)
この宮殿は現在でもエリザベス女王が避暑に訪れていて、内装や調度品も華やかです。貴重な宝飾品も展示されていましたが、ひときわ大事にされていたのはメアリ女王が作ったという刺繍の作品です。陽が当たらないように覆いが掛けられていました。細かいステッチでいろいろな柄が刺されていて、特に猫の柄が多くあしらわれていました。
ホリールード宮殿
ジョージアン・ハウスやホリールード宮殿では裕福な人たちの生活を垣間見てきましたが、次に訪れたピープルズ・ストーリーやエディンバラ博物館では、ごく一般的な人々の暮らしの様子や産業を、資料とともに展示してあります。どこの世界でも同じですが煌びやかな生活がある反面、多くの人たちは堅実に暮らし、貧困に苦しんでいた人達もいたのでした。
とうとう帰国の日になりました。
エディンバラ空港では搭乗の時間まで、「BREWDOG」でビールを飲み納め(?)しました。最初はパブも要領がわからず戸惑うこともありましたが、ビールはこんなに種類があったのかと思うほどいろいろとあり、結局ビール三昧の毎日でした。
ビールを飲み納め(?)
今回の旅行は私たち夫婦にとって、色々な意味で記念となる旅でした。2人ともスコットランドへ行きたいという思いが一致したのは幸いで、歴史のある街並みに興味があり、お酒好きの夫はエディンバラと蒸留所、ストーン・サークルや手仕事に興味のある私はキルトの本場であるハイランド地方や島、とそれぞれの目的を達成でき、最高の思い出ができました。(キルトに関しては心残りもありますが…)
実際に旅をしてみて、スコットランドは想像していたより何倍も良いところでした。最初はオークニー諸島にはあまり興味のなかった夫もその魅力にはまり、2人で「今度は島めぐりをしたいね。」と帰ってきたそばから次に行く話をしています。
私たちの様々な注文や疑問に良いアドバイスを下さった木村さん、ありがとうございました。次に行く時にもよろしくお願いします。
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