定年退職後、例年、夏の終わりか秋に海外旅行に出かけるのですが、2019年は夫が入院し、その季節の旅行はやめにしました。その後無事退院。体調も回復してきたので、冬場にどこかに出かけたい、と思ったときに、何年か前に旅行雑誌で見たシチリアのアーモンドの花を思い出しました。
そのころ、なんとか見たいと思い、いろいろ資料を集めたりしたのですが、なかなか思うようなツアーがなかったので、いつの間にか「そのうちね」リストに入ってしまっていたのです。
70歳を越し、実は「そのうち」が自分たちにはもういくらも残っていないという気持ちがわいてきて、ぜひともシチリアへ!と改めて情報集めに入りました。いろいろ旅行社のパックツァーを当たりましたが、駆け足の旅行が多く、どっぷりアーモンドの花に浸りたい我々の希望にはそいませんでした。そのとき、以前一度お世話になった御社のことを思い出し、依頼のメールをしました。担当してくださったのが、以前の旅行の方と同じでしたので、ついつい気軽に好き勝手な希望を並べ立てたり、分かりきったことをお尋ねしたりしましたが、一つ一つ丁寧にお返事をくださり、安心してお任せすることができました。
1週間ほど前に日程表が届き、わくわくしながら出発の準備を進めました。
2月13日、アリタリアローマ直行便にて成田発。
ローマにてカターニャ行きに乗り継ぎ、定刻に着陸しました。新型肺炎の流行中で、この空港で発熱の検査を受けました。無事通過。
空港出口では予約したタクシーの運転手さんが待っていました。この方は、以後の2日間も専用車の運転をしてくれました。ホテル着10:30。
14日 カターニャ市街散策
ウルシーノ城では、シニア割引がありました。65歳以上で入場券6€が4€に割引になります。
カラバッジョの特別展をやっていたので見て来ましたが、CGを使った展示をやっていて興味深かったです。
15日 専用車にてバロックの街へ
ラグーザ、ノート、シラクーザと回り、カターニャのホテルに戻りました。運転手さんが、「Mandorlaの花はノートへ行けば見られるよ。」と言っていたので楽しみにしていました。
ノートに近づくとレモン、オレンジの畑に混じってマンドゥーラ(?発音が難しいです)が出てきました。メインキャストが早々と現れちょっと拍子抜けです。
16日 専用車にてカルタジローネ、
ピアッツァアルメリーナを経てアグリジェントへ
この日はずっとドライブ中アーモンドの花が眺められました。また、ミモザも花盛りで、どんどん期待が高まります。ホテルは、神殿の谷が一目で見渡せるところで、その向こうに地中海が穏かな姿を見せていました。
夜になって、何気なく窓から外を見ると、ライトアップされた神殿が見えました。向かって左橋のヘラ神殿からコンコルディア神殿に続く並木道もライトアップされていました。
17日 神殿の谷散策
神殿の谷まで、徒歩で15分ほどでした。ホテルを出たところからマンドゥーラ攻撃!
やっと、永年の望みがかないました。セキュリティを通りチケット売り場から入場し、少し登ると並木道が始まりました。古代の城壁の向こうには地中海がきらめいていました。午後からは州立考古学博物館へ行きました。
早い時刻にホテルに戻れたので、市バスで旧市街まで出かけました。夕陽を浴びて真っ赤に染まる教会のファサードが美しかったです。
18日 ホテル周辺散策 → トレニタリアでパレルモへ
すみません。せっかく高速バスについて調べていただいたのに、現地で気が変わってしまいました。のんびり走る列車で、沿線のこれぞシチリアという景色も素晴らしかったです。パレルモに近づくにつれ、平坦な土地が多くなり、野菜(アーティチョーク・フェンネルなど)の畑も増えてきました。
パレルモのホテルは、クアットロカンティの真横でどこへ行くにも便利でした。
19日 パレルモ市内散策
またもや、予定変更です。乗り降り自由市内観光バスというのに乗るつもりでしたが、主な見所はホテルから徒歩圏内だったので、歩きました。(24836歩!)
パラティーナ礼拝堂では、シニア割引がありましたが、「Only European!」と言われました。更に、希望していない特別展も勝手に抱きあわせで代金請求され、更に更に売店で買い物をしたのですが、計算が合わないので抗議したところ、「バッグ代が含まれている。」と欲しいと言っていないバッグ代をとられ、「バッグはいらない。」と言っても無視されました。カターニャのウルシーノ城を思い出し、いろいろなところがあるものだと思いました。何事も経験です。
20日 専用車にてモンレアーレ、トラパーニ「塩の博物館」
塩田では、珍しいフラミンゴも見られ、見つけるたびに運転手さんは指差して教えてくれました。
今回の運転手さんは「No problem!」1点ばりの方で、スマホの翻訳機能を使って意志を通じ合いましたが、スマホがおばかで「えっ?ええっ!」と言うこともありました。楽しい方だったです。
20日 パレルモ空港 → ローマ → 成田 → セントレア
運転手さんのお迎えでパレルモ空港へ。海際のきれいな空港でした。
成田、セントレアと閑散としていて、状況が出発前より悪くなっている感じがひしひしと伝わってきました。自宅に戻り、一週間ほどしたときにNHKの「空港ピアノ」という番組でパレルモ空港が出て、夫と二人で思い出にふけってしまいました。
どこに行っても眺められる地中海と車窓に次々現れるたわわに実るレモン、オレンジの畑、行儀よく並ぶオリーブの木、ミモザそしてアーモンドの花と、まさに春爛漫のシチリアを旅しました。田舎の道をのんびり走りながら、若々しい緑の牧草地のなだらかな斜面の向こうに地中海の青い海を眺めたときなど、心が晴れ晴れして、思わず「ヒャッホー!」と声をあげたいほどでした。本当にいろいろとありがとうございました。