ローマ・バリアフリー旅行6日間

期間:2019年8月9日~2019年8月14日
S様 ご夫妻

GON-001643

2年前の2017年8月、妻と娘の3人でフィレンツェ旅行へ行ってきました。
妻は脳梗塞の後遺症で車椅子生活ですが、車椅子ではとても無理だと思っていた海外旅行が、パーパスさんに相談して何とか実現できました。色々な困難が予想されましたので、妻が障がい者になって「最初で最後の海外旅行」だと思っていましたが、実際に行ってみると、思いのほか体力的にも負担が小さく、それ以上に旅行先での楽しさや刺激が忘れられず、また行きたい、行ける、という気持ちになり、今回、二度目のバリアフリー旅行に行って来ました。

旅行先はローマ。ジャン・ロレンツォ・ベルニーニの彫刻を見たい、という妻のリクエストです。私にとっては19年ぶり3回目のローマ。前回に引き続きパーパスさんにお願いして、2019年の8月9日から14日までの6日間のローマ旅行を手配してもらいました。
今回はサポート役の娘はおらず、妻とふたりだけでしたが、前回の旅行で体力的にもちょっと自信がついたので、今回は前回より1日長い日程に。それでも現地の観光が実質3日間の弾丸ツアーです。

■8月9日(金):出発

13時15分発のアリタリア航空機で成田空港を出発。

19時にローマ・フィウミチーノ空港に到着。空港で現地ガイドさんと運転手さんがお出迎え。ホテルまで黒塗りのベンツで移動。何だか分不相応で面映ゆい感じ(結局、翌日以降も黒塗りのベンツだった...)。

ガイドの加藤さんによると、ここのところローマは毎日40度越えの猛暑で、明日以降も続くとのこと。果たして耐えられるか?しかし、翌日からのローマ観光への期待はその不安以上に大きかった。

■8月10日(土):観光1日目

観光初日。まずはバチカン美術館へ。観光シーズンなので入場者は長蛇の列。私たちは妻が車椅子利用者なので、別入口からすぐに入場。何だか申し訳ない気分。絵画や彫刻が置かれた回廊をいくつも抜け、ラファエッロの間からシスティーナ礼拝堂へ。

バチカン美術館は建物が古いため、見学者の動線が交錯する箇所が多く、狭いところで行く人と戻る人が行き違わなければならない場面がたびたび。その都度、車椅子の私たちは肩身の狭い思いをしたのだが、ほとんどの場合、「どうぞ、どうぞ」と道を譲っていただけた。前回のフィレンツェ旅行の時にも感じたが、ローマでも「障害者優先」が普通に行われているようである。

システィーナ礼拝堂はやはりすごい人出。ここでは「静粛」が求められ、おしゃべりをしていると注意される。バチカン美術館のあと、サン・ピエトロ大聖堂、昼食後にパンテオン、サンタ・マリア・マッジョーレ教会でベルニーニのお墓を見て、観光初日は終了。

ホテル近くのレストランのテラス席で夕食。

サン・ピエトロ大聖堂:エントランスに上がる巨大スロープ
サン・ピエトロ大聖堂:エントランスに上がる巨大スロープ

ホテル近くのレストラン:テラス席で夕食
ホテル近くのレストラン:テラス席で夕食

■8月11日(日):観光2日目

今日のメインイベントはボルゲーゼ美術館見学。11時の予約なので、その前にサンタ・マリア・デッリ・アンジェリ教会(ミケランジェロ設計のローマ時代の浴場遺構を利用して建設された教会)、ナヴォーナ広場を観光。ボルゲーゼ美術館ではたくさんのベルニーニ作品を満喫。有名な「プロセルピーナの略奪」では、プルートの足元にいる地獄の番犬ケルベロスの顔がちょっとマンガ的で、他のとてもリアルな部分との対比が面白かった。

ボルゲーゼ美術館のエレベーターは、螺旋階段の中央の円い吹き抜けを利用して設置された極小サイズ。利用者は超小型の専用車椅子に乗り換えなければならない。しかも狭いエレベーターの中にはエレベーターの操作のために美術館の職員が同乗。かなりアクロバチックだが、歴史的な建物のバリアフリー対策がこんな風になるのはやむを得ないのだろう。

午後にはトラステヴェレのサン・フランチェスコ・ダッシージ・ア・リーパ教会でベルニーニの晩年の傑作「福女ルドヴィカ・アルベルトーニ」を、共和国広場に近いサンタ・マリア・デッラ・ヴィットリア教会で「聖テレーザの法悦」を見る予定。しかし、これらの教会は午後3時まで昼休みとのこと。ローマ市内の観光名所以外の多くの教会も同じらしい。それまでピラミデ近くのイータリーというナチュラル志向のショッピングセンターで買物と昼食。2つの教会で目的の彫刻を見る。ふたつとも宗教的悦びというよりも濃艶な感じだが、その表現力に圧倒されて2日目終了。

部屋の冷房が効きすぎたのか、この日の朝からのどが痛み始め、だんだん声がかすれてきた。室内の温度設定では調節できず、フロントに室温設定を上げるようにお願いすると、これ以上上げるには冷房を止めるしかない、と言われ、外気が40度を超える中で冷房を止める勇気もなく、毛布をもらって寒さをしのぐことに。体調が悪いのでホテル近くのテルミニ駅のスーパーCONADへ行き、食料を調達して本日の夕食。

サンタ・マリア・デッリ・アンジェリ教会の前で
サンタ・マリア・デッリ・アンジェリ教会の前で

ボルゲーゼ美術館:殺人的な日射しの中、かろうじて日陰に避難
ボルゲーゼ美術館:殺人的な日射しの中、かろうじて日陰に避難

■8月12日(月):観光3日目

今日は観光最終日。
スペイン広場、チルコ・マッシモ、コロッセオなどを見た後、ローマ市街からアッピア街道を南下し、郊外の水道橋の遺跡や古代のお墓などを見学。今日も猛暑。ただ、直射日光は厳しいものの、日陰に入ると意外と過ごしやすい。

のどかな郊外を楽しんだ後、市内に戻り、ユニットハウスを組み合わせたような現代的なデザインの市場、テスタッチョでトリッパをはさんだパンを購入。昼食にするつもりだったが、夏休みのせいか、閉店している店が多く、ここで食べるにはちょっと閑散としすぎていたのでチルコ・マッシモの近くのバールへ移動しランチ。食事後、カピトリーノの丘、カンピドリオ広場へ。カンピドリオ広場では、通常車で入れないところを運転手のマルコさんの交渉で通行許可をゲット。妻は車に乗ったまま広場近くまで行くことができた。

カンピドリオからフォロ・ロマーノを見て、最後に新しいイタリアの建築を見学。私が建築関係の仕事をしているのを知ったガイドの加藤さんご自身もイタリアの新しい建築に明るく、近場にある現代建築の見学を提案をしてくれた。

まずは日本の国立競技場建て替えコンペで話題になったザハ・ハディドが設計した国立21世紀美術館へ。しかしこの日は閉館日。次は関西空港を設計したレンゾ・ピアノのパルコ・デッラ・ムジカ。ここでも交渉上手なマルコさんのおかげでゲートを通って建物近くまでいくことができた。最後にマルコさんの提案で、折衷様式の街、コッペテ地区を見てホテルへ。

のどの状態はかなり悪化。声はほぼ出ない状態。最後の夕食はホテルのレストランで。声が出ない客を相手にカメリエーレも苦笑いしていた。

スペイン広場:ベルニーニ作品バルカッチャの前で
スペイン広場:ベルニーニ作品バルカッチャの前で

タフネゴシエーター運転手のマルコさんと
タフネゴシエーター運転手のマルコさんと

■8月13日(火):帰国

帰国の日。
チェックアウト前にテルミニ駅のCONADでお土産を購入。駅の構内を少し見物。19年前に来た時にはなかった自動改札ができていた。悠久の都ローマで、ここが一番変化を感じたところかも。

空港ではガイドさんに免税店の買物までお手伝いいただき、とても助かった。13時の便で帰国。

ローマ・フィウミチーノ空港:お世話になったガイドさんと
ローマ・フィウミチーノ空港:お世話になったガイドさんと

ローマは2年前に行ったフィレンツェよりもひと回りもふた回りも大きな街で、中世からルネッサンスの雰囲気が濃いフィレンツェに対し、ローマは古代から現代まで幅広くバラエティに富んでいる感じで、また違った良さを感じました。
今回は体調を崩してしまいましたが、幸いなことに調子が悪いのはのどだけで、寝込むようなことはなかったので助かりました。出発前の健康管理ができていなかったかな、と反省しています。

ローマではガイドさんの圧倒的な博識とバイタリティで希望通りたくさんのベルニーニ作品を見ることができ、すばらしい観光ができました。また、毎日の運転手さん、特に2日間つき合ってくれたマルコさんのネゴシエーターぶりと、狭い路地を車幅ギリギリで走り抜け、車線の区分がはっきりしない道路を他の車と絶妙の間を取りながら走る運転技術は脱帽ものでした。

帰国してからさほど疲れは感じず、心地よい軽い疲労感と素敵な思い出だけが残った感じです。これならもう1回、もう少し長く、海外旅行に行けるような気がしてきました。また、次もパーパスさんにお願いして。

ツアープランナーからのコメント

酷暑のローマの日差しを肌で感じるように旅行記を拝読させて頂きました。2日目から冷房の効きすぎで喉を痛めてしまったのが残念ですが、ご希望通りベルニーニの彫刻巡りを存分にお楽しみ頂けたようで大変嬉しく思います。またご旅行の計画を立てられる際はいつでもお気軽にお声がけ下さい。いつも弊社をご利用頂きまして誠にありがとうございます。

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