【研修レポート】南極クルーズ

期間:2022年11月18日~2022年12月02日
インターナショナル・クルーズ・マーケティング株式会社:今川 聡子様

GON-001684

<期間> 2022年11月18日~2022年12月2日(乗船:11月20日~11月29日)
< 船 > シルバー・エンデバー


世界最高峰のクルーズラインと言われるシルバーシー・クルーズより、ウルトララグジュアリーな探検船シルバー・エンデバーの処女航海への乗船の機会をいただき、南極クルーズに行ってまいりました。

11月19日に命名式を終えたばかりのシルバー・エンデバーは、総トン数約2万トン、乗客定員200名、乗組員数200名、すべての客室がバルコニーつきという、現在南極クルーズを運航している客船でもっともラグジュアリーな客船となります。

南極クルーズといえば、アルゼンチンのウシュアイアまたはチリのプンタアレナス発着で、世界でもっとも荒海と言われるドレーク海峡を片道1.5日かけて越えるのが通常ですが、今回のクルーズはドレーク海峡を飛行機で超える『Antarctica Bridge』のコースです。

クルーズ自体は6泊7日ですが、乗船前にサンチャゴとプンタアレナスで1泊ずつ、下船後もプンタアレナスで1泊が含まれ、トータルで9泊10日となります。自身で手配が必要なのは日本からサンチャゴまでの往復フライトのみです。

持ち物は悩みました。どの程度の寒さなのか・・・
パルカ(防寒ジャケット)と防水パンツは貰え、長靴のレンタルも含まれているので、ネットからサイズを事前にオーダーします。それ以外のものとして、極暖のヒートテックやレギンス、厚手のソックス、手袋、耳当て付きニット帽などを買いそろえてみました。
同時に、ラグジュアリークラスのシルバーシーなので、ディナー用にはちょっとドレスアップのワンピースも準備しました。

11月18日(金) 成田出発

17:25発のユナイテッド航空を利用し、ヒューストン経由でチリのサンチャゴへ。所要時間は、乗り継ぎを含め約27時間半。サンチャゴ到着は現地時間の19日8:50(日本とチリの時差は12時間)。

11月19日(土) サンチャゴ

空港到着後、タクシーでマンダリンオリエンタルホテルへ。
このクルーズは、このホテルが集合場所となっています。ホテルに到着すると、シルバーシー・クルーズのホスピタリティデスクがあります。11時前でしたが、レセプションで鍵を受け取り、そのまま部屋に入ることができました。

18時より、レセプションルームでブリーフィング。翌日からのスケジュールや、南極条約に基づく乗船にあたっての注意点などの説明が行われます。

元々のスケジュールでは、翌日(20日)はプンタアレナスで1泊し、21日に南極のキングジョージ島に移動して乗船する予定でしたが、20日のうちにキングジョージ島まで行くことが告げられました。天気予報によると、21日のキングジョージ島は悪天候で視界不良が見込まれ、飛行機の離発着ができない可能性があるということが変更の理由。
予定より1日早く乗船できるということで、一同大歓声!

飛行機にチェックインするスーツケースは、この日の23時までにお部屋の外に出します。

マンダリンオリエンタルのホスピタリティデスク
マンダリンオリエンタルのホスピタリティデスク

ブリーフィング
ブリーフィング

11月20日(日) サンチャゴ → プンタアレナス → キングジョージ島

朝食後、バスで空港に向かいます。大型バスに30名程度しか乗せないのがシルバーシー流。バスの中でプンタアレナスまでの搭乗券が配られました。

空港では、一般のチェックインは通らず別ルートで搭乗ゲートへ。

プンタアレナスまではLATAMのチャーター便で約2時間のフライトです。プンタアレナスからキングジョージ島へは、機体がペンギンペイントされたDAP Antarctica Airwaysのビジネスクラスチャーター便。プンタアレナス空港の待合いスペースはシルバーシー専用のラウンジになっており、飲み物やお菓子が用意されていました。

搭乗すると、事前オーダーしたパルカ/防水パンツ/長靴が席に置かれていました。機内食をいただいた後に着替え、南極到着に備えます。

DAP チャーターフライト
DAP チャーターフライト

チリの南極観測基地Frei Stationに下り立ち、小型バスで海岸に到着すると、ゾディアックボートが待っており、沖合にシルバー・エンデバーが見えます。

ライフジャケットを付けてゾディアックに乗り約5分、シルバー・エンデバーに乗船です。
ゾディアックから本船に入ったところは長靴を着脱する場所で『マッドルーム』と呼ばれます。脱いだ長靴はお部屋番号のついたフックに掛け、普通の靴に履き替えます。

レセプションで簡単なチェックイン手続きを済ませ、お部屋に向かうと、すぐにバトラーが挨拶にきてくれ、お部屋の説明をしてくれました。間もなく、スーツケースも届きました。移動の1日でしたが、1度もスーツケースを運ぶ必要はありませんでした。

出航前には、義務付けられている避難訓練が行われますが、皆さまお疲れということで、簡単に済ませてくれました。詳しくはお部屋のテレビで見るようにとのこと。

ゾディアックボート
ゾディアックボート

マッドルーム
マッドルーム

11月21日(月)~11月28日(月) 南極エクスペディション

南極クルーズでは、スケジュールが決まっているわけではなく、キャプテンとエクスペディションリーダーが天候などの状況をみながら相談して決まります。船を接岸できる港はありませんので、すべて沖泊めです。

毎日ディナー前にブリーフィングがあり、翌日の予定について説明されますが、それも当日の状況で変更になることがあります。

ブリーフィング
ブリーフィング

ブリーフィング
ブリーフィング

南極エクスペディションのアクティビティは、おもに『上陸』と『ゾディアッククルーズ』です。状況が許せば、一度の停泊で上陸とゾディアッククルーズの両方を楽しむことができますが、南極では、一度に上陸できるのは100人までと決まっているため、最初に上陸した後にゾディアッククルーズをするグループと、逆のグループに分かれます。

上陸人数以外にも、いろいろなルールがあります。たとえば、ペンギンなどの動物とは最低でも5メートル以上離れること、雪の上に寝転がることや、膝をついて写真を撮ること、バッグや手袋を地面に置くことさえも禁止、また、長靴は上陸の前後に靴底を消毒し、南極には何も持ち込まない・持ち出さないことを徹底します。

上陸するのは、おもにペンギンのコロニーのある場所です。雪の上をコロニーの近くまで歩いていくのですが(体力に応じて好きなところで引き返すことができます)、パルカを着て歩いていると暑くなってくるくらいです。

ゾディアックからの上陸
ゾディアックからの上陸

上陸風景
上陸風景

今回のクルーズのエリアで見ることができるのは、ジェンツーペンギン、ヒゲペンギン、アデリーペンギンの3種類。本当にかわいくて、見ていて飽きることはありません。

11月末は繁殖期の最初の時期、抱卵が始まる頃でした。1月半ば頃になると雛が生まれ、南極クルーズシーズン終盤の3月頃には、100グラムほどで生まれた雛は3キロ程まで成長するそうです。

ペンギン以外にも、アザラシや野鳥も見ることができます。クジラ(ザトウクジラ)が見えた時には、船内にアナウンスが流れました。

ジェンツーペンギン(1)
ジェンツーペンギン(1)

ヒゲペンギン
ヒゲペンギン

写真

写真

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ジェンツーペンギン(2)
ジェンツーペンギン(2)

アデリーペンギン
アデリーペンギン

写真

写真

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今回上陸した中で唯一、デセプション島だけは雪がほとんどなく、地表がむき出しになっています。
活火山の島で、かつての捕鯨基地や英国基地の跡を見ることができます。

デセプション島の基地跡
デセプション島の基地跡

ゾディアッククルーズは、氷山に近づいたり、上陸できない場所にいる動物を見たりすることができます。氷山はひとつひとつ色や形が違いますが、色の違いは、氷山に含まれている空気の量によって、光の反射が異なるためだそうです。ブルーの氷山、とても神秘的です。

南極半島でもっとも風光明媚といわれるルメール海峡も、ゾディアックで通過するという特別な体験もできました。

写真

写真

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上陸とゾディアッククルーズ以外のアクティビティとして、希望者はカヤックに乗ることもできます。また、南極の海に飛び込む『ポーラープランジ』というイベントも行われました。私には到底無理でしたが、これを楽しみにしていたお客様も多く、半数近くがチャレンジしていました。

船内ライフもこのクルーズの大きな楽しみでした。
シルバー・エンデバーには4か所のレストランがあり、美食のクルーズラインとして評されるシルバーシーのお食事は極地でも変わりません。
その他、いつでも入れたてのコーヒーと軽食をいただけるカフェ、ラウンジが2か所、シガーバー、スパ、インドアプール、ジャグジー2か所、ライブラリー、ブティックなどがあり、オールインクルーシブ制なので、ほとんどのものは無料です。

別料金なのは、一部の銘柄ワイン・シャンパン、ラ・ダム(フレンチレストラン)のカバーチャージ、スパでのトリートメント(サウナ・スチームルームは無料)、ブティックでのお買い物くらいです。

食事

食事

食事

イタリアンレストラン
イタリアンレストラン

ブティック
ブティック

ライブラリー
ライブラリー

セルフランドリー
セルフランドリー

食事

食事

メインダイニング
メインダイニング

ブリッジ(操舵室)
ブリッジ(操舵室)

フィットネスセンター
フィットネスセンター

インドアジャグジー
インドアジャグジー

乗客数は130人程度で、国籍は30か国以上、年齢も7歳から70代までと様々ですが、アクティビティやブリーフィングで顔を合わせますので、すぐに仲良くなります。お食事をご一緒したりすると、南極に来るような方々ですので、世界中を旅行している方が多く、楽しいお話をたくさん聞かせていただくことができました。

客室も快適そのものです。寝心地の良いベッド、広いシャワールームバルコニーからは常に絶景。コーヒーマシンもあり、フルーツや冷蔵庫の飲み物は常に補充してくれますが、ルームサービスも24時間いつでも頼むことができます。南極とはいえ、WiFiもつながるので、仕事のメールをチェックしたり、友達に写真を送ることもできました。

客室
客室

11月29日(火) キングジョージ島 → プンタアレナス

28日に下船の予定でしたが、視界不良が予想されたため、予定より1日遅れの下船となりました。そのため、帰国フライトの変更手配が必要となり焦りましたが、パーパスさんのお世話になり、事なきを得ました。南極クルーズは不測の事態が起こりますので、航空券は変更可能なものにしておくことが重要だと感じました。

ゾディアックで下船した後、フライト搭乗まで、〝キャンプ"と呼んでいるプレハブ小屋で待機します。プレハブ小屋とはいっても、ストーブがあり、ドリンクサービスも用意されています。

DAPのチャーター便で夕方プンタアレナスに到着し、この日はプンタアレナスのホテルに宿泊しました。ホテルでのビュッフェディナーが含まれていました。

11月30日(水) プンタアレナス → サンチャゴ

早朝5時集合で空港へ向かいました。朝食のレストランは開きませんでしたが、ロビーにサンドイッチやコーヒーが用意されました。

サンチャゴへのチャーターフライトは2便に分かれるので、別のフライトとなる方たちとは、搭乗ロビーでお別れでした。1週間あまり、一緒に様々な体験をしたので、本当に名残惜しかったです。

お昼前にサンチャゴに到着したので、私を含め、遅い時間のフライトの人たちにはデイユースのホテル(ヒルトン)が提供され、夕方16時から30分毎に空港へのシャトルバスが運行されました。
22:45発ヒューストン行きのフライトで帰路につきました。

12月2日(金) 成田着

スケジュール通り、15時半頃に成田に到着しました。帰国便の所要時間は約29時間でした。

                  * * * * *

2週間の旅となりましたが、期待をはるかに超える、素晴らしい経験でした。
言葉では伝えられない、感動の連続でした。

時間と費用は、一般的な旅行と比べてちょっと余計にかかりますが、その何倍も価値のある経験、感動、思い出を得られること、間違いありません。また、“探検”船とはいっても、知識と経験豊かなエクスペディションスタッフが安全にお膳立てしてくれていますので、どなたでも参加できます。

南極は、観測隊員でなくても、旅行として行くことができるということをもっと知っていただき、ぜひおすすめしていきたいと思いました。

◆ シルバーシー・クルーズ : https://www.icmjapan.co.jp/silversea/

◆ シルバー・エンデバー デッキプラン https://cdn.sanity.io/files/rd0y3pad/production/83ef752f03353255467afeca8b3e35dfde599a42.pdf

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