イタリア・ペルージャの旅6日間

期間:2024年12月05日~2024年12月10日
ペンネーム:MATTSULIN 様

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2024年12月5日から6日間、車いすの母とイタリア・ペルージャにバレーボール観戦旅行に行きました。

車いすでの海外旅行初めてで、ましてやイタリアは坂道や石畳が多いため車いす移動はハードルが高いということもあり不安な部分もたくさんありました。ですが、私たちのツアー旅行を担当してくださった方の多大なるサポートと、石川祐希選手を始めSir Safety Perugiaへの大きな愛で、大満足な旅行となりました。本当にありがとうございました。

もしイタリア(に限らず)旅行を検討されている車いすユーザー様や同行者様がいらっしゃいましたら、この旅行記が少しでも参考になりましたら嬉しいです。そして、行きたいところがある方は是非パーパスジャパンさんに一度ご相談されることをおすすめします!

日本出発 ~ ペルージャ到着

5日の深夜便で羽田空港を出発しドバイ空港で乗り継ぎ、現地時間6日昼頃ローマ・フィウミチーノ空港(以下ローマ空港)に到着。事前にパーパスジャパンさんが申し送りしてくださっていたおかげで、乗り継ぎの際も私たちは空港の係の方に言われるがままについて行くだけで、気付いたらローマ空港に着いていたというくらいスムーズに辿り着くことができました。

車いすは羽田空港からずっと預けていたので、ドバイ空港では母は電動カートに乗せていただいての移動だったのですが、そのカートがとんでもなく速くて私は走りっぱなしだったため、次回は手荷物を少なくして身軽にしておくということを備忘録として残しておきます。

ローマ空港からペルージャまではパーパスジャパンさんが手配してくださったハイヤーで送っていただきました。道中は緑空羊牛羊緑緑羊緑というのどかな景色がずっと続いていて快適なドライブだったため、心癒されすぎて私も母もせっかくイタリアに到着したばかりなのに半分くらい寝ていて、またしても気付いたらペルージャに到着していました。羊はかわいかったです。

ペルージャに着いたのが夕方でまだ暗くはなかったので、荷解きしたらホテル近くのクリスマスマーケットを堪能しよう!と母と話していたのですが、ここで母が自前の杖をどこかで紛失したことが発覚し、ホテルの方に教えていただいた近くのドラッグストアで新しい杖を手に入れることから私たちのペルージャでの滞在がスタートしました。

幸運にも、教えていただいたドラッグストアにはどれにしようか迷うくらい素敵な杖がたくさんあり、思わぬお土産が買えて良かったなと今では思っています。新しい杖を母は大変気に入って、もちろん日本に帰ってきてからも愛用しております。(結局帰りにローマ空港でなくした杖を探していただいたのですが見つからず……どなたかが大切に使ってくださっていますように!)

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ペルージャ2日目

2日目は、昼間はホテル近くのクリスマスマーケットを練り歩き、夕方からSir Safety Perugiaのチーム練習を見学しに行きました。ホームアリーナまではミニメトロという電車に乗って行くのですが、駅に向かうための唯一の手段であるエレベーターが点検中で乗れず……右往左往していたところ、どこからともなく現れた人が強引に立入禁止柵をどかし係の人を呼ぶボタンを押し、エレベーターを動かしてくれました。あの時のあの人ありがとうございます!ミニメトロは日本の電車と違いホームと電車の隙間がほとんどないため、車いすでもスロープなど使わず自力で簡単に乗ることができました。日本もああなってほしい……!

アリーナはミニメトロ終着駅からすぐ見える距離にありましたが、アリーナ前の大きな道路には中央分離帯があり、私たちは車いすがあったので他の方のように乗り越えて突破することはできず……30分ほどさ迷い歩いて横断歩道を発見しやっと辿り着いたと思ったら次はアリーナ入り口前の小さめの急斜面に行く手を阻まれ……なんやかんやで練習開始から30分ほど遅れてついにアリーナ内に入ることができました。練習始まる1時間前には駅についていた(しなんなら旅行前に事前にチームに問い合わせして練習が何時からか確認までしていた)のでこの失態はとても悔しく、特に私たち車いすユーザーは海外旅行では行きたい場所の交通事情を事前にGoogleマップで見ておくことが大事だなと思いました。

練習見学は、試合よりも一人ひとりの選手をじっくり観ることができてとても刺激的でした。いつも配信で画面越しに見ていた選手たちが目の前で動いていることに感動して、瞬きすら惜しかったです。見学時間は1時間ほどでしたが、撮影禁止だったおかげで選手を観ることだけに専心でき、人生で一番集中を研ぎ澄ませた1時間でした。

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ペルージャ3日目

待ちに待った試合観戦の日。あいにくの大雨でしたが、私たちには日本から持って来たレインコート(100均)があるので余裕です。ビショビショになりながら駅まで強い気持ちで車いすを押しホームアリーナを目指しました。普段日本では雨予報の日は極力出掛けない方針をとっていたため雨場数が圧倒的に少なく、激弱装備でイタリアで初大雨に立ち向かうことになってしまったのですが、これからはレインコートは上下セパレートタイプを準備しておくか、コートタイプを2枚買って1枚は膝にかけるなどしようと思います。でも雨でも意外と出掛けられることを知れたので、私も母も車いす経験値を上げることができました。圧倒的成長。

私が強めの雨女なためホテルから駅まではとんでもない雨に打たれましたが、母が屈強な晴れ女だったおかげで、ホームアリーナ最寄駅に着くころにはさっきまでの雨が嘘のように晴れ、天日干しされつつ開場を待っていたら無事乾いた状態で試合開始を迎えることができました。

試合はフルセットまでもつれ込み、3-2でSir Safety Perugiaの勝利!ホームゲームということもありサポーターの応援が本当にアツく大変盛り上がりました。私も家で配信を見ている時と同じテンションとバカでかい声量で応援することができ、とてもとても楽しかったです。チームの応援歌を生で聞くことができたのも嬉しかったです。試合後のファンサービスも海外リーグならではのものなので、その貴重な時間も含め改めて行って良かったと心から思いました。

また、試合前には会場にいらっしゃった日本人の方々がグッズを買うのを手伝ってくださったり、試合後にはプライベートで観戦に来ていた福士蒼汰さんそして一緒にいらした方々が、母が階段を下りるのを手伝ってくださったり車いすを階段下まで運んでくださったりと、終始人の優しさに触れる心温まる1日となりました。

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ペルージャ出発 ~ 日本帰国

帰りも行き同様、ペルージャからローマ空港まではハイヤーで送っていただきました。チェックアウト後ハイヤーが来るまで時間があったので、荷物をホテルに預けてお土産を買いにミニメトロでスーパーまで行きました。街中のお店もどこもかわいくて素敵で入りたかったのですが、今回の旅行では私たちは飲食店含めほとんど入らなかったため、お土産は主にこのスーパーで調達しました。

理由としては、入り口前が段差だったりそもそも地下だったり店内がこぢんまりしていたりと車いすでは少し大変そうだなと思ったのと、そもそも今回は観光ではなくバレーボール観戦が目的だったので買い物にもそこまでこだわっていなかったからです。ですが、入ろうとすればお店の方や周囲のお客さんが絶対に手を貸してくれる優しい街だったので、次回はお店巡りもしてみたいなと思っています。

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乗り継ぎ含め15時間ほどのフライトの末日本に帰国。行きも帰りも機内では母がトイレに並んでいると順番を譲ってくださる方ばかりで、おかげで母が旅行前に一番心配していたトイレ問題は杞憂に終わりました。羽田空港到着後は、まず荷物は空港の宅配サービスを利用して自宅まで届けていただき(有難いことにバゲージクレームから宅配カウンターまでも航空会社の方が荷物を一緒に運んでくださりました)、自宅まではタクシーで自宅まで帰り(バゲージクレームから荷物を回収した時点で電車がなかったため)、こうして最後の最後までたくさんの方のお力をお借りして旅行を終えることができました。

今回の旅行では車いすを押しながらスーツケース押すことを想定して、1個のスーツケースに2人分の荷物とお土産を強引に詰め込んだのですが、色々な方々が助けてくださったおかげで、結局、“自分たちだけで車いすもスーツケースも押す”という場面がほとんどありませんでした。対策として買ったスーツケースと車いすを繋ぐアイテムや一緒に押し歩く練習なども特に披露する瞬間もなく……世界は優しさで溢れているんだなということを随所で感じられる心から幸せな旅行でした。

おわりに

6日間のイタリア・ペルージャ旅、もちろん、車いすがゆえの避けられない苦労もありましたが、パーパスジャパンのご担当者様から始まり、家族、航空会社の方、機内で出会った方、現地で出会った方など、最後の最後まで本当にたくさんの方々に助けていただいたおかげで、苦労を補って余りあるほど良い思い出ばかりの旅行になりました。

今回の旅行で出会った皆様に、この場をお借りして改めて心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

ツアープランナーからのコメント

「車いすでは難しいですよね」というお話から始まったことを覚えています。車いすだから行きたい場所にいけない、見たいものを見れないで断念されることは残念なので、車いすでいける形のご旅行で諦めないで目的を達成されたことに心から嬉しく思います。杖をなくされたのですね。でも思い出の品になるものがイタリアでご購入出来て良かったです。そして何より人の優しさに触れたことはとても貴重なご経験をされましたね。また、ぜひ行きたい場所に行っていただきたいと心より願っておりますので、次回のご旅行もお待ちしております!

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